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◇企業システム◇マイクロソフトのOpen XMLがISO/IECで国際標準規格として承認受ける

2008-04-13 18:31:43 | アプリケーション
 マイクロソフトは、米マイクロソフトが推進してきたEcma Office XML文書フォーマットがISO(国際標準化機構)/IEC(国際電気標準会議)標準として承認されたことを明らかにした。これは14カ月以上にわたり集中審議を経て、Ecma Internationalが提出したOpen XML(Office Open XML)が全体の86%賛成により承認されたもの。これにより、Open XMLはHTML、PDF、ODFと並んでISO/IECによって認められたオープンな文書フォーマット規格となる。(08/04/02発表)

 【コメント】マイクロソフトのOfficeソフトがいよいよOpen XMLとして国際標準規格として承認された。これにより今後の世界のソフト産業に与える影響は計り知れない。これまでオープンソースソフトのODFが国際標準化され、マイクロソフトのOfficeソフトは国際標準化されていなかった。このため、特に各国の政府機関を中心として、ODFを採用して、マイクロソフトのOfficeソフトを不採用とするケースが目立ち始めてきていた。このことに危機感を募らせたマイクロソフトは、ジュネーブに本部があるヨーロッパ各国による国際標準化団体Ecma Internationalに働きかけ、Ecma Office XMLとしてEcmaすなわちヨーロッパ各国を中心とした国際標準化規格として認められルことに成功。しかし、世界全体としての標準化規格はどうしてもISO/IECにおいて認められなければ本物という認識が得られない。そこでマイクロソフトは、Ecma Office XML文書フォーマットをISO/IECに提出したが、これまでは承認を得られるまでには至らなかった。

 今回もOpen XMLが承認される可能性は五分五分と見られ、その結果が注目されていたが、マイクロソフトはようやく承認に漕ぎ着けることに成功した。これによって、マイクロソフトのOfficeソフトが国際標準規格でないという理由で不採用にされるケースはなくなる。なくなるどころか、お墨付きを貰ったマイクロソフトのOfficeソフトは、OSS系のODFに対し圧倒的に優位に立つことになる。それはOSSのOpen Officeはまだユーザーが少なく、これから唯一の国際標準規格のOfficeソフトとして普及を図ろうとしていた矢先のことであったからだ。唯一の国際標準規格のOfficeソフトという錦の御旗が使えなくなったOSS陣営が大打撃を被ることは確実だ。これにより、マイクロソフトのOfficeソフトが、半永久的に全世界の市場に君臨することになる。

 しかし、国際標準規格という言葉は一件疑う余地がないことのように思われるが、厳密に製品に反映されるとは、必ずしも断言できない。さらにデファクトスタンダード(事実上の標準)という言葉があるように、圧倒的なシェアを持つ製品は、それだけで国際標準と認められがちだ。すなわち国際標準と独自標準の境目があいまいになってくる。昔、UNIXの仕様がばらばらなので国際標準化の必要性が高まり、2つの陣営に別れ激しい標準仕様の戦いがあり、結局はUNIXの国際標準仕様化の目論みはもろくも崩れ去ってしまった。その1つの理由は、ある有力ベンダーが「いろいろあるUNIXの仕様をすべて包含した仕様を当社は採用したので、当社のUNIXが国際標準仕様そのもの」と主張し始めたことにある。ことほどさように国際標準規格というものは一筋縄では収まらない、複雑な事柄を内包している。その意味ではOSS陣営は、今回のマイクロソフトのOpen XMLの国際標準化にがっかりせずに、ODFこそが真の国際標準規格だというキャンペーンでも展開すれば、道は開けるかもしれない。(ESN)

http://ja.wikipedia.org/wiki/Office_Open_XML

http://ja.wikipedia.org/wiki/OpenDocument