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◇企業システム◇ウルシステムズと富士ソフトDISが次世代のXML‐EDI「流通BMS」で提携

2008-07-29 16:20:36 | アプリケーション

 【アプリケーション】ウルシステムズと富士ソフトDISは、流通ビジネスメッセージ標準(流通BMS)分野で協業し、小売業向け「流通BMS対応サービス」の提供を開始する。ウルシステムズは流通BMS対応EDIソフトウエア「UMLaut/J-XML」導入数が100社以上の実績がある。一方、富士ソフトDISは流通業界における実績とノウハウが豊富。サービス内容は①流通BMSシステム構築サービス(富士ソフトDISが提供)②流通BMS ASPサービス(富士ソフトDISがウルシステムズの「UMLaut/J-XML」を用いて提供)③流通BMS導入コンサルティングサービス(ウルシステムズが提供)―の3つ。 (08年7月25日発表)

 【コメント】流通業界におけるEDIは、これまで1980年に制定されたJCA手順によって、小売りから卸・メーカーへ注文の発注作業を推進してきた。この30年ほど前に制定された従来型EDIのJCA手順は、通信速度が遅い、漢字が使えない、海外では受け入れられないなど多くの問題点を抱えている。この解決策としてこれまでJCA-手順、JEDICOS、JEDICOS-XMLなどが提案されてきたが、根本的な解決には至らなかった。

 このため経済産業省は03年から流通業界の次世代EDIであるXML-EDI「流通BMS」の検討を開始した。BMSとは流通システムの国際標準化団体であるGSIが策定した「ビジネスメッセージ標準」であり、流通BMSはこれをベースに日本の習慣を取り入れて開発された。流通BMSは①EDIメッセージ(取引業務プロセス〈メッセージ種〉、データ項目、コード〈GTIN、GLN〉、データ表現形式〈XML〉)②通信インフラ(通信手順〈ebXML MS、AS2、JX手順〉、通信基盤〈インターネット、TCP/IP〉)からなっている。通商産業省は06年度にグローサリー、07年度にはアパレルと生鮮の共同実証を行い、現在これらの本番化と普及を図っているところ。08年度は「新たEDI標準への移行の促進」および「標準維持管理に向けた体制の確立」を重点課題としている。

 ウルシステムズの「UMLaut(ウムラウト)/X-XML」はインターネットを活用した流通BMS対応ソフトウエアで、企業間取引を導入コスト・期間とも約1/3で実現することが可能。同ソフトにより、取引先との単なるデータ交換の仕組みを構築することができるだけでなく、BPM(ビジネスプロセス管理)を行うことができ、質の高い業務を効率的に実現できるようになる。

 次世代EDIであるXML-EDI「流通BMS」は今後JCA手順にとって代わることは明らかだが、さりといって手をこまねいていては普及の速度は速まらない。日本は先進国の中で最も労働生産性が低い国と名指しされている。今回産業通産省が先頭に立って普及させようとしている流通BMSを、流通業界が一体化して取り組むことが強く求められている理由の一つがここにある。(ESN)