【事業継続】日新製鋼は日本IBMの協力の下、自然災害などでホストコンピューターが被災し停止した場合でも、安定して製品の生産・供給を継続させる災害対策システムを構築し、運用を開始した。同社のホスト機は堺製造所(大阪府堺市)に集中設置しているため、同機が停止した場合、全事業所に大きな支障が出る懸念があった。このため、呉製鉄所(広島県呉市)のバックアップコンピューターに常時12秒間隔で基幹業務データを送信、約半日以内に全事業所のシステムを復旧させることが可能になった。初期投資額は26億円。 (08年7月22日発表)
【コメント】最近大地震が多発している。専門家によると日本中どこに大地震が起きても不思議はないという。こうなると、企業がシステムのバックアップ体制を確立させることは必須の要件となる。つまり、遠隔地にバックアップマシンを設置し、バックアップデータを取ることは当たり前の時代になってきてはいるが、問題は復旧までに要する時間をいかに短縮できるかという点になってくる。
今回、日新製鋼では被災していない事業所の生産を継続させながら約半日以内に全事業所のシステムを復旧させることに成功した。これは、IBMの災害対策ソリューション「GDPS(広域分散並列シスプレックス)/グローバル・ミラー」を採用したことによって実現させたもの。
最近の企業での災害に対する取り組みは、事業継続計画(BCP)として、いかに事前に十分な準備が行われているかが問われている。つまり災害対策システムをいくら構築したとしても、どのような手順で、誰が、如何に行うのかを、事前にマニュアルでドキュメント化されていなければ、絵に書いた餅に終わってしまう。今後、事業継続計画(BCP)に基づいた事業継続管理(BCM)の整備が、地震大国である日本の企業には強く求められる。(ESN)