【アプリケーション】NTTデータは、金融業界向けXMLであるXBRL(イクステンシブル・ビジネス・レポーティング・ランゲージ)をベースにした財務情報流通ゲートウェイサービス「Zaimon(ザイモン)」の第1弾のASP対応サービス「Zaimon e‐Taxデータ受付サービス」のファーストユーザーである三井住友銀行に続き、このほど、みずほ銀行、埼玉りそな銀行で採用されたことを明らかにした。同サービスは、国税電子申告・納税システム「e‐Tax」に提出された電子データ(XBRL)を企業から受け取り、銀行業務に活用することができるもの。今回のような複数のステークホルダー(利害関係者)間におけるXBRLデータの2次利用の仕組みは、まだ世界的に見ても例がなく、XBRLデータの本格的流通を実現する初めてのサービスとなる。 (08年7月22日発表)
【コメント】世界は今XMLの本格普及に向け動き出している。HTML(ハイパー・テキスト・マークアップ・ランゲージ)が文書の電子化に限定されていたのに対し、XMLを使うことにより、インターネットを介して複数のコンピューター同士が自動的にアプリケーションを稼働させ、データを交換することが可能になる。これはインターネットの世界が新しい世代へと突入したこと意味している。ただ、XMLを本格的に使いこなそうとすると、業種ごとに特化させたXMLが必要となり、現在これらの普及が焦点となっている。汎用の企業間電子商取引向けのebXMLに対して、例えば電子・電気業界向けは「ロゼッタネット」、マスコミ業界向けでは「NewsML」、旅行業界向けでは「TravelXML」、地理関係向けでは「G-XML」、そして財務関係向けが「XBRL」というわけである。
このような世界的な大きな変革の時代に当たり、日本政府はこれまでの財務データの電子化での遅れを一挙に取り戻し、さらに財務データの電子化で世界の先頭を走る手段としてXBRLに着目、国税電子申告・納税システム「e‐Tax」の決算書部分にXBRLを採用した。「e‐Tax」は平成19年度末現在で利用率が16%(約51万件の法人税申告)を超えており、この結果、現在世界的に見ても例を見ない大量のXBRLデータが利用されてるという。日本政府の狙いは的中したといえそうだ。しかし、各国もXBRL化は急務と見ており、今後日本は追いつかれる立場になる。現在、XBRLは金融庁の「EDINET」や東京証券取引所の適時情報開示システム「TDnet」でも使われ、財務データの標準としての地位を確立しつつある。
NTTデータは、このような国家プロジェクト的なXBRLに対して、企業と利用者の間の財務情報のやり取りを、XBRLを用いてワンストップでセキュアかつ利便性多角サポートするASPサービスとして「Zaimon」を提供しているもので、今後、大手ITベンダー間ではXBRLシステムをめぐり激しい攻防が繰り広げられることになろう。(ESN)