縁側でちょっと一杯 in 別府

東京から別府に移住してきました。
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夢に見た生活を楽しんでいます。

夢の夢 ~ 凋落の続く日本の国際競争力

2008-05-29 23:25:59 | お金の話
 先日、IMDというスイスのビジネススクールが世界各国の競争力の評価を発表した。世界55カ国を対象に、各国の経済状況、政府の効率性、ビジネスの効率性、ビジネスインフラ等から順位を出したものである。1989年から毎年行われており、今回は20回目だ。
 日本は何位かというと、なんと22位。これでも昨年から二つ順位を上げている。一方上位はというと、1位はアメリカで、2位シンガポール、3位ホンコン、4位スイス、5位ルクセンブルクと続く。又、アジアの中で見ても、日本はさらに台湾(13位)、中国(17位)、マレーシア(19位)の後塵を拝し、6番目となっている。

 が、ここで衝撃の事実というか、今から思うと夢のような話がある。日本は第1回の89年から92年までトップに君臨していたのである。IMDによると、当時の日本は、他の追随を許さない不動のトップに見えた、とのことだ。
 しかし、バブル崩壊後、日本はアメリカに1位の座を譲り、そして金融機関の破綻が相次いだ90年代後半に至っては、一気に20位台までその順位を落とした。1位に返り咲くなど、夢のまた夢である。

 さて、今回の調査の大きな話題は「アメリカのトップはいつまで続くのか」だった。初回トップであった日本の凋落ぶり、そしてサブプライム後のアメリカの状況が当時の日本と酷似しているのではないか、というのである。
 サブプライム前のアメリカは好景気が続き不動産価格が高騰していた。又、金融技術の進歩や自由化に制度や枠組みが追いついていないところも同じだ。そこにサブプライム問題が発生し、証券会社や銀行に多額の損失が生じた。まさにかつての日本を髣髴させる。ご存知のように、その後の日本は、証券市場の暴落が不動産市場へと広まり、大銀行や証券会社まで破綻する未曾有の金融危機へと発展して行った。デフレが進み、超低金利が常態化。こうした中、後追いで、それも小出しにしか対応できない政府。いわゆる「失われた10年」であった。

 果たしてアメリカは今後どうなるのだろう。

 IMDの専門家は楽観的である。なぜか。第一にアメリカの金融当局は日本の失敗を見て何をなすべきかを知っていること。金融市場に大胆に流動性を供給し、金融機関、更には市場全体に安心感を与えた。又、巨大化した中東やアジアの政府系ファンドも、多額の損失に苦しむ金融機関の資本改善に一役買っている。加えて、世界経済が総じて成長を続けていることもプラスに働いている。
 もう一つ、日本とアメリカには大きな違いがあるとIMDは指摘する。それは企業家精神の有無。日本に創造的破壊は皆目見られないが、アメリカは違うと言う。90年代、日本の企業はトヨタやキャノンなどごく一部の企業を除き、有効な策を打ち出せず、瀕死の状態にあった。その点、アメリカ企業は企業家精神に満ち溢れており、加えて経済の対外的な開放度は高く、よってアメリカ経済には自らを立て直す術を見つけ出す力、ダイナミズムがある、と言うのである。

 当らずとも遠からず、か。確かに日本にマイクロソフトやグーグルのような新しいビック・ビジネスはない。日本の有名なベンチャー企業といえば、ソニーでありホンダであるが、いずれも戦後まもなく生まれた企業である。次回、この違いについて考えて見たい。

(もっともIMDも、最近の原油をはじめとする資源・エネルギー価格や食物価格の高騰、アメリカの抱える貿易赤字と財政赤字など、アメリカにも不安材料はあると付け加えている。まあ、驕れる平家は久しからず、なのだろうか。来年以降の調査が楽しみである。)

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2 コメント

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運がいい (えんちゃん)
2008-05-30 21:20:24
いやあ、最近サボりがちなので、ちょうど更新にあたった“ひでちゃん”さん、あなたはラッキーです!  (なんて言う前にもっと書けって、すみません)

それはさておき、自分の仕事を考えると、パソコンを使うようになって下手な字を書いたり、電卓を使わなくなったりした分、若干効率は上がったかなと思う一方、年とともにボケつつあるのでトータルはどうでしょうね、あまり効率性は変わらない気がします。

いずれにしろ、日本の場合、ホワイトカラーの効率というか、生産性は総じて低いと思います。
やっぱり、製造業の方、それも現場の方(ロボットも含め?)に日本は支えられているのです。
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タイミングばっちり? (ひでちゃん)
2008-05-29 23:58:16
ブログの更新をタイミング良く見つけたようです(今日は軽井沢の帰り、高崎のホテルにいます)
日本が1位だったなんて信じられませんね。社会人になって20数年、会社も、仕事の仕方も随分変わったように見えて、核心部分の効率の悪さは変わっていないように思います。この非効率性は、もう日本人の国民性でしょうね。
若い頃は効率の悪さに我慢できませんでしたが、今では、それでも会社は儲かってるんだから、まあいいのかな、などと、達観しちゃってます(歳取ったなぁ)
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