縁側でちょっと一杯 in 別府

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消え行く長プラ(?)

2006-04-08 20:46:03 | お金の話
 今日ネットを見ていたら、「長プラ、社債利回り基準に=金融債発行取り止めで-みずほコーポ銀」という記事があった。ほとんどの人に関係のない、何の意味もない記事なのだが、以前銀行で働いていたこともあり、ちょっと目に留まった。

 長プラ(長期プライムレート)は、訳せば長期最優遇金利、つまり最も信用の高い企業などに適用される銀行の貸出金利である。因みに今は年2.1%である。
 今まで長プラは、みずほコーポレート銀行(旧 日本興業銀行)の発行する機関投資家向け利付金融債の金利に0.9%上乗せした金利が適用されていた。ところが、同行はその基準になっていた金融債の発行を先月で取り止めたことから、今月から長プラは同行の発行する普通社債の金利に0.9%上乗せした水準とする方向で検討、というのが記事の内容である。

 金利には長期もあれば短期もある。短期プライムレート(短プラ)は、以前は公定歩合に連動して決められていたが、1989年から各銀行が自らの総合的な調達コストに応じて独自に決める方式になっている。しかし、この“総合的”というのが曲者で、銀行によって調達コストは違うはずなのに、何故かほとんどの銀行で同じ金利である。今だと年1.375%である。
 すは、談合か、独禁法違反か、というとそうではない(ことになっている)。プライスリーダーの銀行があって、他の銀行はたまたま同じ金利になりましたと追従しているのである。ビールや以前の新聞の価格に近い。銀行業界が寡占だから通ってきた仕組みである。

 この記事を見て一つの時代の終わりを感じた。戦後、日本の金融は長短分離が原則となっていた。長期信用銀行(長信銀)は金融債を発行し長期資金の貸出を行い、都銀など普通銀行(普銀)は預金で短期の資金を集め短期の貸出を行う、というものである。そのため普銀は長期資金の吸収に繋がる社債の発行はできず、一方、長信銀は店舗数や預金口座開設で制限を受けた。99年に銀行の普通社債発行が解禁されているが、今後みずほが社債の発行を増やすのに合わせ、他行も発行を増やす可能性が高い。又、信用力に応じ社債の金利水準は違うため長プラが銀行によって大幅に違ってくることも考えられる。短プラのように“総合的”な決め方ではないからだ。
 既に“最優遇”という意味では形骸化しているプライムレートだが(現実にはそれ以下の金利での貸出が多く行われている)、いずれ、その言葉すら無くなる日が来るだろう。その始まりとなる出来事のように思う。

 いずれにしろ、ほとんどの人に関係のない話で恐縮である。同じ金利の話なら消費者金融の金利の方がおもしろかったかな、と反省している。“お金の話”というより、今日は“歴史の話”になってしまった。
 

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