縁側でちょっと一杯 in 別府

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中央青山の処分とコーポレート・ガバナンス

2006-05-13 23:59:00 | お金の話
 金融庁は10日、中央青山監査法人に監査業務の2ヶ月停止の行政処分を行った。(先週に続き、今週も業務停止命令の話ですみません。)カネボウの粉飾への協力と、内部管理体制の不備がその理由である。
 新聞などでは、中央青山の監査先企業がどのような対応を取るのかという点と、監査法人の監視をどうすべきかという点が話題になっている。加えて、私はコーポレート・ガバナンスについても考えるべきだと思う。

 カネボウの粉飾決算については、まずカネボウそのもののコーポレート・ガバナンスが問題とされるべきである。次に、不正があれば企業にそれを正すよう求めるべき役割の監査法人が、逆に粉飾に加担していたという、企業と監査法人との癒着の問題である。又、これは先のライブドアにおいても同様といえる。

 企業が不正を行っている場合、それをチェックするのは監査役はじめ内部監査に携わる者である。だが現実はどうだろう、それは有効に機能しているだろうか。
 内部監査を行っているのはその会社の社員である。不正が企業ぐるみであった場合、チェック機能が働くとは到底思えない。これは監査役にしてもそうだ。わが国の企業の監査役には、元・経理部長などの社員、取引銀行や取引先のOB・役員などが多い。彼らがその企業から独立した存在とは思えないし、彼らにどこまで権限があるのか、又、どこまで監査に携わっているのかも疑問である。
 では、外部監査はどうか、その独立性は保たれているであろうか。わが国の場合、これも疑問である。長い取引関係の中で馴れ合いになっているケースもあれば、仕事を失うことを恐れ監査先の言い成りになっているケースもあるかもしれない。

 日本とアメリカの監査体制を比較したとき、最大の違いは、わが国においては監査役が、アメリカにおいては社外取締役からなる監査委員会が監査の責任を担っている点である。アメリカに監査役の制度はない。
 監査法人の独立性にも違いがある。わが国の場合、監査法人は経営陣から仕事をもらっている。まさに経営陣はクライアント、お客様である。監査法人を決めるのも、その報酬を決めるのも経営陣であり、これでは監査法人の独立性は弱い。監査法人を他に変えられることを恐れ、経営陣の圧力に屈することがあるのも想像に難くない。中央青山の責任は否定できないが、もしかすると彼らにも被害者としての一面があるのかもしれない。
 一方、アメリカの場合、監査法人の任命やその報酬額の決定は、企業から独立した監査委員会の役割である。監査委員会が本当に会社や経営陣から独立した存在かという問題は残るが、経営陣から直接仕事をもらう日本よりはまだましな気がする。更に、アメリカではエンロン事件を契機に、2002年にサーベンス・オクスレー法が制定され、監査法人の独立性に対する規制が強化されている。

 わが国においても、コーポレート・ガバナンスの観点から監査役、そして監査法人の独立性を高める仕組み作りが望まれる。社長が悪意を持って、会社ぐるみで不正を働こうとした場合、それを防ぐのは難しいかもしれないが、対抗勢力と成り得る独立した監査役、監査制度の確立が必要だ。

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