縁側でちょっと一杯 in 別府

東京から別府に移住してきました。
のんびり温泉に浸かり、美味しい魚で一杯。
夢に見た生活を楽しんでいます。

映画の中のクラシック音楽

2006-09-15 23:53:00 | 芸術をひとかけら
 前回書いたショパンのノクターン9-2。この曲は映画『愛情物語』のテーマ曲「 To Love Again 」としても知られる。『愛情物語』はピアニスト、エディ・デューチンの人生を描いた映画である。主人公をタイロン・パワーが演じていた。映画をご覧になったことのない方でも、この「To Love Again」はご存知のはずだ。甘く、切ないショパンの調べ、ロマンチックなスタンダード・ナンバーである。
 又、誰が訳したか知らないが、ノクターンを夜想曲としたのは本当に天才的だと思う。静かな夜に物思いしながら聴く曲、といった意味だろうか。「To Love Again」を聴き、甘いポートワインでも飲みながら、一人、夜を楽しみたい。

 というわけで、今日は思いつくまま、映画に使われたクラシックの名曲を見て行きたい。

 はじめに頭に浮かんだのは『2001年宇宙の旅』。映画の冒頭、リヒャルト・シュトラウスの交響詩『ツァラトゥストラはかく語りき』の導入部が それは劇的に使われている。そもそも 『ツァラトストラ~』は導入部、最初の2分くらいが超弩級の迫力、強烈なインパクトのある曲である。残りの30分以上は極めて退屈な曲で(失礼)、初めの2分があればこそ、100年以上経った今も聴かれている曲である。ここだけ聴くと まったくクラシックとは思えない。現代音楽としても立派に通用する曲だ。
 この劇的かつ壮大な曲を、更に劇的に使った監督のスタンリー・キューブリックの才能には恐れ入ってしまう。また、あれだけ難解な映画を作ったキューブリックには正に脱帽である。僕は映画館で1度しか見たことがないが、正直言って、何が何だか よくわからなかった。

 劇的といえば、コッポラの『地獄の黙示録』のワーグナーも凄い。ワーグナーの『ワルキューレの騎行』をバックに、ベトナムの村を爆撃する戦闘ヘリ。ワーグナーは反ユダヤ的思想を持っており、死後、彼の曲はナチスのプロパガンダに利用された。そんなナチスの狂気と、ベトナム戦争の狂気とが相俟って、高揚あるいは興奮する、一種異様な雰囲気を醸し出していた。

 キューブリックでもう一つ、『時計じかけのオレンジ』の第9。身勝手で残忍な若者アレックスはべートーベンを、特に交響曲第9番をこよなく愛していた。勝手気ままに暴力を振るい、挙句の果てに殺人まで犯したアレックス。映画では第9がストーリーの節目節目で効果的に使われている。
 個人的にはキューブリックの映画の中では『博士の異常な愛情』が好きだ。核戦争を題材にしたブラック・ユーモアがおもしろい。というか、彼の作品の中ではわかりやすい映画だ。

 確か、『愛と哀しみのボレロ』の中でベートーべンの交響曲第7番が使われていたように思う。ジョルジュ・ドンの踊るボレロが印象的な映画だが、彼が7番に合わせて踊るシーンがあった。バレエというとただ美しいだけかと思っていたが、それは力強く、激しい踊りだった。僕の中でバレエの概念が一気に変わった。一度、彼の踊りを生で見てみたかった。

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