縁側でちょっと一杯 in 別府

東京から別府に移住してきました。
のんびり温泉に浸かり、美味しい魚で一杯。
夢に見た生活を楽しんでいます。

日本一のスナバ、鳥取砂丘

2017-05-20 11:44:06 | もう一度行きたい
 あっ、砂で埋まっていく。

 僕は砂の上に座り、ぼーっと砂丘と海と空を見ていた。薄いベージュ色の砂、藍色の海、そして明るく青い空、そのコントラストが本当にきれいだ。いくら見ていても飽きることがない。

 風が強い。砂が風に飛ばされ、僕の足をどんどん覆っていく。僕はふと安部公房の『砂の女』を思い出した。絶対の存在である砂。理不尽な砂との戦い、そして共生。人間の本質というか、その矮小さが巧みに描かれた小説である。主人公が砂の穴に閉じ込められる架空の話なのだが、妙にリアルで真実味のある話だった。途方もない設定でありながら、それでいて読まずにはいられないという意味では、村上春樹と相通ずるものがある。
 安倍公房は庄内砂丘から『砂の女』の着想を得たという。場所こそ違うが、僕は鳥取砂丘に来て初めて『砂の女』の世界を実感できた気がした。崩れる砂の坂でもがく。一歩踏み出すが、登るそばから砂が崩れ落ちて行く。あたかも蟻地獄に落ちたアリのようだ。

 鳥取砂丘に来るのはこれで2度目。もっとも前回はタクシーで砂丘の入口に来ただけ。車から降りたものの滞在時間はほんの2、3分。鳥取に来たからにはと、空港に行く途中、無理に立ち寄ったのであった。曇っていたし、日本海の見える“馬の背”という小高い丘には登らなかったし、正直、何の感動もなかった。
 が、今回はまったく違う。抜けるような青空の下、素足で砂の上を歩き、“馬の背”に登って海を眺めた。強い風のおかげで風紋を見ることもできた。風が砂で作る波模様である。そして見渡す限り広がる砂、砂、砂。とても日本とは思えない光景だった。

 欲を言えば、もう少し人が少ないと良かった(まあゴールデン・ウィークに行ったので文句は言えないが)。混むことを見込んでホテルを早く出発、8時半過ぎには砂丘に着いた。が、それでも車を停めるのに一苦労。僕らは元々関心がなかったから良いが、ラクダに乗るのも記念撮影するのも長蛇の列だ。砂丘の後に行った“砂の美術館”も大混雑。都内の人気の美術展のようだ。11時過ぎに帰る頃には道路が渋滞していた。

 以前鳥取県の平井知事が「鳥取にスタバはないが日本一のスナバ(砂場)はある」といって話題になった。今では鳥取にもスタバができたし、地元業者がシャレで作った“すなば珈琲”もある。“すなば珈琲”は結構な観光名所になっているようだ。
 日本一の砂場、鳥取砂丘の絶景に圧倒された後、“スタバ”にしろ“すなば”にしろ、コーヒーを飲みながら余韻に浸るのも良いだろう。因みに僕らは倉吉まで車を走らせ、地元ご自慢の牛骨ラーメンを食べ、その余韻を(何の?)味わった。


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