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D9の響き

Guitarを肴につらつらと・・

Snakes & Arrows('07) / Rush

2007-05-06 10:34:49 | rush
今日はRushの新作です。
彼らにとっては5年ぶり、通算18枚目のオリジナルアルバムが、遂にリリースされました。
'06年11~12月の1ヶ月という短期間で集中して制作されたようです。
収録場所はNeilが以前“Anatomy of A Drum Solo”という教則DVDの収録に使用しほれ込んだというAllaire Stusios・・NY州の山中にある自然の洞窟を利用した施設・・で敢行されたそうです。

いまさらながら面子は、Neil Peart(d) Geddy Lee(b,vo) Alex Lifeson(g) という黄金のトリオです。
Neilが'97の愛娘の事故死、'98年の愛妻の病死と、相次いで家族を失った心の傷を癒すべく休養に入ってたのが、'00年の再婚を機に復活。
バンドとしては'02年の“Vapor Trails”以来のオリジナル作となりますが、'04年の初のカヴァー・アルバム“Feedback”や'05年の30周年記念ライヴDVD“Rush R30”、'06年の過去のライヴVTRのリイシュ“Replay3”など、ここまでに怒涛の前振りがあったわけです。
それだけにバンドとしてもかなり力が入っており、特にNeilは並々ならぬやる気を見せていますネ。
例によって、彼の5編の詩をもとにGeddyとAlexがデモを作成したことからスタートしました。
タイトルや構成は、Neilのイマジネーションに委ねられ、彼はインドの作家Harish Johari(ハリシュ・ジョハリ)が復活させた古代インドのスピリチュアルゲーム“Leela”に見出したとのこと。
今回のアルバムジャケットのヴィジュアルも、このゲームの挿絵から引用したそうです。

プロデュースはRushと36歳新進気鋭のNick Raskullnecz(リック・ラスキュリネッツ)との共同名義となってます。
彼は、“FooFighters”“StoneSour”“ShadowFall”等を手がけ名を成したそうで、今回自らを売り込んで認めてもらい起用されたようですね。
インナー等のヴィジュアルは、ここのところずっとお世話になりっぱなしのHugh Symeで、彼らしい幻想的な世界が堪能できます。

ただ今回、サウンド面で、かなりダークな感が否めません。
・・私は敢えてこれを“シリアス”と表現しておきたいと思います。

1.Far Cry
マイナー調ながらキャッチーなベースリフが耳に残ります。
far cry・・程遠い・・と訳されてますね。

2.Armor and Sword
壮大で美しい曲・・今回のハイライトの一つに間違いないでしょうネ。
重く陰鬱なパートと交合に展開されるハーモニクスの嵐を、大音量で聴いてみたい衝動に駆られます。

3.Workin' Them Angels
少々辛気臭いかも・・確かにちょっと辛い展開の曲かも知れません。
いたってヘヴィーなサウンドが延々続く感じでしょうか。

4.The Larger Bowl
アコースティックを念頭に創られた、グランジっぽいアレンジが印象的な曲ですね。

5.Spindrift
かなりヘヴィーな曲と詩ですが、これもハイライト第2弾ってとこでしょうか。
深淵から舞い上がって行くようなパワーが感じられる曲です。

6.The Main Monkey Business
復活メロトロンがフューチャーされていると思われるインスト。
アコギ主体で練られたようですが、荒野を走り抜けるような強い風の流れを感じます。

7.The Way the Wind Blows
呪文をひたすら繰り返すようで、シリアスなキツい状況が更に続きます。
この辺は詩の世界主体といった感じでしょうか・・残念ながら私には理解できませんが。

8.Hope
Alexのアコギ等による美しいインスト。
マンドリンなども併用しているようで、Zepのフォーキーな曲のイメージとも若干被ってますね。

9.Faithless
往年のRushらしい感じがします。
やはり幾分シリアスめの音ですが、重厚で深長なイメージのドラマチックな構成が印象的ですネ。
これもハイライト第3弾!・・私的には一押しでしょう。(笑)

10.Bravest Face
ガットギター主体のアプローチから、徐々にヘヴィーになってゆく様が彼ららしいというか。
テレキャスぽいシングルコイル系の乾いた音でのギターソロは、ちょっと意外・・珍しいですね。

11.Good News First
更にシリアスな世界が続きます。
この辺を受け入れられるか否かが、ファンとその他の境目なのでしょうかネ・・正直、ファンでもチョイしんどいかも。

12.Malignant Narcissism
Geddyがフレベで奏でたフレーズを元に創り上げたインスト。
ベースラインがインドっぽいのがポイント・・まるでアルバム・タイトルとリンクしてるようです。
YYZを彷彿させるような断片もあり、これも彼ららしいインストじゃないでしょうか。
・・当然次点でしょうネ。

13.We Hols On
ここまでの曲全てがこの曲のために用意されたアプローチと理解できれば、このアルバムもしくはこの曲の存在意義というものに納得ができますネ。
全てはこの曲のため、この曲を演りたいがためって感じでしょうか。
全てが集約された、今回最大のハイライトでしょうね・・凄いです。


【LtoR:Neil Peart(d),Geddy Lee(b,vo),Alex Lifeson(g)】

聴き終えてから、前作の“Vapor Trails”と聴き比べてみたところ、かなりサウンドが変化していることに驚かされました・・“Vapor~”がずいぶんポップに聞こえるから不思議。
Rushは'93年の“Counterparts”以降、ポップ性を封印したようなフシが見受けられます。
作品を重ねて行く度に、どんどんサウンドが深遠なイメージに変化しつつあり、前作では行き着くとこまで行ってしまったかも・・と、ちょっとガッカリしたものでした。
しかし、近年の前振り作品群の充実感が抜群だったこともあり、この作品が出ると聞いてとても待ち遠しかったわけです。

ここまで書いたように、内容はかなりシリアスで、おそらく好き嫌いが完全に分かれる作品ではないかと感じています。
彼らとして、今回は史上最強のヘヴィーな作品となったことに間違いないでしょう。
コアなファン向けで在りながら、別な意味で新たなファン層を掴む可能性も秘めてるという、なかなか手ごわい作品ですネ。

・・ヘヴィーなプログレッシヴ・サウンドが好みの方に特にお勧めいたします。


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6 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
見掛けたんですが… (ナゴヤハロー)
2007-05-06 21:12:10
あ~もう聴かれたんですね。全曲レビューありがたいです。
このGWにレコ屋行ったら国内盤が出てて、どーしようか迷ってたんです。他にも欲しいもんがアホほどあって結局なんも買わんかったんですが…(欲しいもんありすぎると決められへんから却って買わないですね)
しかしRush、まだまだ進化中!?のようでやっぱしスゴいバンドですね…。
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ナゴヤハロー様 (elmar35)
2007-05-07 21:23:42
コメントありがとうございます。
Rushお好きだったんですか!(笑)
ん、記事のとおりなんで、後回しがいいかもしれませんね。
ただ、混沌としたのがお好きなら即買よろしく。
ついでに、決してDeath系ではありませんのでご安心下さい!(笑)
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実は好きです (ナゴヤハロー)
2007-05-09 23:41:56
Rush、結構好きですよ~。一瞬だけやってたプログレ&ハードロックコピーバンドではトムソーヤとかコピーしてましたし、ベース買って初めてコピーしたんは「Distant Early Warning」でしたし。(コピーしきれんかったですが)
今度給料出たら買いに行って来ます(笑)
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ナゴヤハロー様 (elmar35)
2007-05-10 21:57:51
そうですか、それは嬉しいです。(笑)
Rushネタはいつも突っ込まれたらどないしよ、と思いながらアップしてもスルーばかりでネ。
・・ちょっと、励みになります。
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余裕がありますね (taha)
2007-05-12 13:09:39
どもっ、elmar35さん。

やっぱりRUSHはいいっすね!
実際のライブが体験できないのが残念ですが、好きな方は米国まで見に行かれるようで、ツアーのスケジュールをチェックしているようです。
あーっ、うらやましい!
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taha様 (elmar35)
2007-05-12 22:18:02
コメント&TBありがとうございます。
そちらへ伺ったのですが、コメント刎ねられちゃいました。
Rush好きのそちらで記事が見れてうれしかったですよ。(笑)
これはいい作品ですね、ホント!

・・奴ら、来て欲しいですねェ。
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