D9の響き

Guitarを肴につらつらと・・

Quiet Skies('83)/ 松下 誠

2007-11-17 20:16:51 | guitarist
本日は、AB'Sへの加入で一躍有名ギタリストの仲間入りを果たした松下誠さんの3rdソロ作です。
実は昨日、いつもお世話になってるWESINGさんのサイトで松下さんの2ndソロ作“The Pressures And The Pleasures”の記事をアップされてるのを拝見し、なんと松下氏の誕生日が昨日11/16ということだったので、本日まことに勝手ながら(笑)協賛企画とさせて頂きました。



ちょっと調べてみましたら、松下誠さんは'55年生まれということなので、昨日52歳になられたようですね。
静岡県掛川市出身で、19歳からスタジオミュージシャンとして頑張っておられたとのこと・・プロ歴30年以上のヴェテランです。
この3rd作リリースもAB'Sのファースト作と同じ'83年なので、27歳の頃というのは彼にとって激動の1年だったということでしょうね。
良く知らない方ですがChris Mosdellという方と松下氏は懇意だったようで、半分の曲の詩は彼のペンによるものになっており、全曲歌モノで構成された作品です。

Personnel:
松下 誠(vo,g,syn-per)
宮崎全弘(d,per)
富倉安生(b)
松田真人(kb)
石井コータロー(per)

ソロ名義ですが、標榜していたのは多分バンド・サウンドなのでしょう。
個々の面子の繋がりというところまでは分らないのですが、特にベースの富倉さんとドラムの宮崎さんの貢献度が非常に高い仕上がりとなってます。


【LtoR:富倉、松下、宮崎、石井、松田】

'83年1/29~2/3の6日間、河口湖畔でリハを行い本番の収録に臨んでいるという事実からも、その辺りが何となく匂ってきますよね。
それに、出来上がった作品を通して感じられる曲想が、まさに富士山を囲む自然のうつろいそのものなのです。

Tracks:
side-A
1.Sight Of The Dawn
2.Views From Fire Mountain
3.Luck Guy

side-B
1.Going Home
2.The Feather Hert
3.Cage Of Dreams

多分、リハしながらアレンジしていったのでしょうね。
全曲を通してイメージが一貫しており、肌寒い空気感と言いましょうか・・粒子の感触までが感じられそうなサウンドヴェールに包まれています。
ギターで紡ぐ繊細でシークエンシャルな音空間に、これまた微細な音色のシンセやパーカッションなどの効果音が混じりあい、気体というより液体に浸ってるような雰囲気をも感じますね。
でも、海ではないですね・・寒い山上湖と雲海を超える空中とを瞬時に行き来し漂うようなイメージかな。

松下さんのギターは、音から判断する限りプログレ嗜好と思われます。
それにアル・ディメオラからの影響が著しく濃いですね・・フレージングやアレンジ面で出まくってます。
アームで微妙に調整する様などは、ちょっとホールズワース風な感じもしたりします。(笑)
ただ、ギター・オリエンテッドなソリスト然という雰囲気が皆無で、その辺からも彼の標榜するバンド嗜好が如実に表れていると言えるのではないでしょうか。

あと、富倉さんのベースはフレットレス主体ながら効果的にチョッパーや人工ハーモニクスを取り混ぜてるあたり、ジャコやスタンリー・クラークあたりが好きなのかな。
また、ドラムの宮崎さんはさながらレニー・ホワイトぽいんで、まるでチック・コリア不在の初期リターン・トゥ・フォーエヴァーみたいな音と言えるかもしれないですね。(笑)
全てヴォーカルモノですが、クロスオーヴァーというかプログレッシヴな雰囲気が、私は昔から凄く気に入ってます。

松下さんの最近の活動は全く耳に入ってきませんが、多分現役でバリバリ頑張っておられると思います。
丁度この作品が出てしばらくの間、ギター・マガジン誌で“トーナルセンター手法”と題して、音楽理論の講座を担当されてました。
当時は全く内容が理解できなかったこともありほとんどスルーでしたが、今になって言わんとしてた内容の断片が少しは理解できるようになりました。

結局、音楽を創るうえで“何が大切なのか”、あるいは“何をよりどころとするのか”というのは、どんなプロの方でも多分同じはずで、前者は“ハート”であり後者は“理論”に尽きると思います。
ホールズワース先生も然りですが、持論を説明する難しさというのは、誰しも同じかもしれません。

あまり多く理屈を語らず音で勝負する前向きな姿勢の方が、長い目で見れば多分大事なんでしょうね。
売れる、売れないは別として・・。




最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
WESING様 (elmar35)
2007-11-18 17:54:20
コメントありがとうございます。
パラダイム・シフトって全然知らない人たちでした。(汗)
AB'Sも復活してたんですね・・知らなかったです。
Shogunの復活ライブで、丸っこくなってスキンヘッドの藤丸さん見てガッカリしてましたが、AB'Sは気になります。
情報ありがとうございました。(笑)
返信する
聞いてみました。 (WESING)
2007-11-18 17:18:52
このアルバムの参加ミュージシャンは石井さんを除いてパラダイム・シフトのメンバーですね。
松下さんのプログレッシブ的な音楽志向が出ているアルバムだと思います。
僕はそういうインスト部分が好きだったりします。

近年、AB'Sが復活してリリースされたアルバムは、それぞれ作曲者の個性が出ていて、松下さんの曲だとよく分かります。
返信する