D9の響き

Guitarを肴につらつらと・・

Not Of This Earth('86) / Joe Satriani

2007-02-04 11:35:50 | steve vai-connection
このブログでは、既にG3の記事などで過去何度もその名が採り挙げられたギタリスト、Joe Satoriani(ジョー・サトリアーニ)の幻の1stと言われてた作品が、本日のお題です。
2nd‘Surfing With The Alien('87)’が大ブレイクして翳んじゃったため、後付で知られた作品だったようです・・実はこの辺の経緯は詳しく知りません。(汗)
日本では'90年の来日公演に合わせて、ようやくリリースされたようですね。

いい機会なので(笑)彼のプロフィールも改めてチェックして置きましょう。
'56年7月15日ニューヨーク州のウエスト・ベリー出身で、現在丁度50歳!・・なんか信じられませんがネ。(笑)
彼はいわゆる音楽学校出身ではなく、'74年頃からジャズギタリストのBilly Bauer(ビリー・バウアー)やジャズ・ピアニストのLennie Tristano(レニー・トリスターノ)などプロミュージシャンから個人的にレッスンを受けながら音楽を学んだようです。
'78年にカリフォルニアへ移るまではずっとNY近郊で活動していたようで、その頃ギターを教えていた生徒の一人がSteve Vai(スティーヴ・ヴァイ)その人であったというのは有名なお話ですよネ。
そしてCA以降の生徒として結構な数のプロギタリストが挙げられますが、Kirk Hammett(Metallica) Larry LaLonde(Primus) Alex Skolnick(Testament) Charlie Hunterくらいまでが、私の守備範囲でしょうか。(笑)

バンド活動で名が売れた訳ではないのに、ソロレコーディングのディールを得られたのは、彼の数多くの生徒達、なかでもヴァイの口添えが大きかったようですネ・・人徳がモノをいったのかも。

そんな彼の1stソロ作であるこの作品の正式なリリースは'86年・・32歳くらいの頃ですね・・例のRelativity Recordsからです。
‘Not Of This Earth’・・この世のものではない・・そんな意味でしょうか。
全曲、ほとんどの楽器(g,b,kb,per)を自身で演っており、ドラム&パーカッションをJeff Campitelli(ジェフ・キャンピテリ)そして一部のパーカッション&ヴォーカルをJohn Cuniberti(ジョン・クニベルティ)らの手を借りてます。

【Jeff Campitelli(d)】

・・結構、ベースも上手いんですよ・・サトちゃんったら。

1.Not Of This Earth
E9,Am,D7-13・・たった3つのコードと‘ツッタッ・ツツタッ’という何の変哲も無いリズムのみで創られてる曲。
徹底的に贅肉をそぎ落としたシンプルな構成で、ギターのサウンドだけで色んな表現を詰め込んだ、実に表情豊かな渾身の1曲じゃないでしょうか。

2.The Snake
自身でかなりグルーヴィーなチョッパーベースを披露されてます・・テーマ以降はシンベのようですが・・いや、全部シンベかも。
ワンパターンのノリで細かくギターの音色を変えながら、延々気持ちよくなるまで愛撫し続けてる・・そんなイヤラシイ(笑)彼の十八番のプロトタイプでしょうか。(笑)

3.Rubina
スペーシーなバラード・・ハーモニクスが渦巻いてます。
ダブルノートの響きや搾り出すようなソロのサウンドがとても切なく美しいです。

4.Memories
マイナー調のパワー・バラード・・スカでキメてます。
ドラムは生っぽいですね。
編集の痕跡が無いソロは一気に弾ききったって感じで、後のG3で聴かせてくれるすばらしいライヴパフォーマンスに雰囲気が近いという印象を受けます。

5.Brother John
エレキギター1本のみのソロパフォーマンス・・ノーギミックです。
・・レクイエムでしょうか?

6.The Enigmatic
コード進行などが実に変態的、でもヴァイとまた違ったテイストなのがミソでしょうか。
ギターで喋ってるし・・あの弟子にしてこの師匠ありって感じかな。(笑)
ちなみに・・一押し!(爆)

7.Driving At Night
スピーディーなパワーポップ風の曲・・ちょっとテクノっぽいかも。

8.Hordes Of Locusts
スティーヴ・ヴァイへのオマージュともとる事が出来そうな曲。
音色、フレージングなどが激似ながら、ソロではやはり自分の色を濃く反映させてるあたりが、さすがです!

9.New Day
コードトーンのみでどこまでも行くぜ!
この辺は、彼の音楽的知識がモノをいわせる知的なエチュードって感じでしょうか。
・・クールだけど熱いソロも素敵ですネ。

10.The Headless Horseman
リズムマシン&タッピング・ギターのみで子供の遊びを表現してるようです。
かわいい曲です。

出来に関しては、この後の作品などと比べるとさすがに完成度を問えるような代物ではありませんが、その後の彼の方向性がすでに明確化された内容であることは間違いありません。
宅録で音楽を創ろうとしておられるギタリスト諸氏にとっては、まさに良いお手本になるのではないでしょうか。
・・だからといってマネ出来るほどレヴェルが低いわけでは決してありませんよ、元論凄いんです!(笑)



オマケに、インナーに載ってる彼のライナーを載せておきます・・結構意訳気味ですがご容赦下さい。

このアルバムは'85年初頭に録ったものなんだ。
当時僕が取り組んでたアイデアを反映した音楽だよ。
みんなに楽しんでもらえるギター作品を作るのが目標だったんだ・・ギターテクだけでなく、少なくとも本物の音楽を聴かせるようなものをね。
全曲のレコーディングとミックスには107時間も費やしたんだ。
サクサク作業は進んだけど、興奮しまくりだったね。
それから、John CunibertiとJeff Campitelliの助けで、どの曲も気持ちやスタイルの上でもユニークな主張を持った構成に進化させることができたんだ。
でも、多分君たちはジョー・サトリアニって誰?どこの人?て思ってるんだろうな。
ちょっと謎めいてるのもいいけど、少しヒントをあげよう。
僕はニューヨークで生まれ育ち、大体16年ほどギターを演ってる。
今はカリフォルニアに移ってるけど、いろんな時期に色んなバンドなんかでヨーロッパやアジア、そしてアメリカ各地で演奏してきたよ。
この今も、自分のバンドメンバーの中に身を置いて、別のソロアルバムに取り組んでて、頭を振ってガンガンわめきながら、僕達が生きてるこの世の中を幸せで満たせるようなものに出来る作品となることを保障するよ。
このCD‘Not Of This Earth’はすばらしい音体験となるはずさ、ぜひ聴いてくれ。

Joe Satriani 1986


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