D9の響き

Guitarを肴につらつらと・・

Corrado Rustici の最新作

2006-12-14 23:38:08 | allan holdsworth
Deconstruction Of A Postmodern Musician('06)

・・タイトル長すぎ!(笑)
先日、ナゴヤハローさんやPapiniさんのところで拝見しショックを隠せなかった1枚が手に入りました。
意外と速く入手できたので驚いてます・・インターネットって凄いですネ、ほんと。

私はこのCorrado Rustici(コッラード・ルスティーチ)という方を全く存じ上げませんでしたのでちょっと調べてみました。
彼の面白いオフィシャルサイトには、自身でまとめたと思われるマニアックな(笑)経歴が詳述されてますので以下引用させて頂きました。



コッラードは'57年ナポリ生まれで現在おそらく49歳と思われるイタリア人ギタリスト(&シンガー)です・・私は彼の歌は未聴です。
'73年に自身のリーダーバンド‘Cervello(チェルヴェッロ)’の作品となる‘Melos’でデヴュー。
その後、実兄で既に名が売れていたDanilo(ダニーロ:g)らと共に結成した‘NOVA(ノヴァ)’での活動を通じ、あのNarada Michael Walden(ナラダ・マイケル・ウォルデン)と懇意になったそうです。
・・面白いことに、ノヴァの作品のミックスダウンを行っていたロンドンのAir Studiosで、Jeff Beck御大があの‘Wired’を偶然レコーディング中だった関係でナラダと繋がったようですネ。
その後まもなくバンドを解消し渡米。
サンフランシスコを拠点とし、ナラダとのプロデュース&セッションワーク等の協働により、特にR&B関係のアーティストとの関係を築きつつ、並行してイタリア人アーティストのプロデュースをさかんに手がけてます。
なかでもZucchero(ズッケロ)の一連の作品がイタリア本国のみならずヨーロッパでヒットしたことで、彼の地ではプロデューサーとして認知されるまでに至りました。
・・ちなみにズッケロの作品‘Spirito Di Vino('95)’ではBeck御大が客演してるそうです。

また、ナラダを通じ、彼が崇拝していたSri Chimnoyの教えにも傾倒し、アートを通した精神性の探求ということにも深く興味を抱くようになったそうです。
そのためか、ヴェジタリアンにもなってしまい、ごらんのようにやせ細っています・・関係なかったかな・・。



今回の作品のコアとなった2名Steve Smith(d)、Michael Manring(b)は、コッラードの1stソロ‘The Heartist('95)’でも共演した仲のようですネ・・機会があれば是非聴いてみたいとは思ってます。
そして、作風に大きく影響したはずであるAllan Holdsworth先生との接点は'78年頃・・ちょうどノヴァを解散した頃にあたるようで、かなりのショックと影響を受けたそうです。

その先生は今回わずか1曲のみの客演に留まっていますが、そこら中にその存在の断片がばら撒かれており、凄い存在感を放っています。

1.Eros:
C.R.(g,hammar-g,voxitar,kb)Peter John Vettese(pf,hammond-og)Steve Smith(d)Solis String Quartet(strings)
今回の一発目が私は一番好きです。
この不思議なギターの音色とアンヴィエントなドラムサウンド、そしてギターソロ前のサンプリングヴォイスを使ったメロディやストリングスなど、ゾクゾクする音が満載です。
ギターソロも歪みながら輪郭のあるハムバッカーぽい音で、無茶苦茶カッチョええですやん。(笑)

2.Rage And Dust(feat.Elisa):
C.R.(g,b,kb)Elisa(vo)Steve Smith(d)Rosario Iermano(per)Solis String Quartet(strings)
ヴォーカルのElisa(エリーザ)は、彼がデヴューの頃からプロデュースを手がけてた女性歌手で、すごく特徴的な良い声の持ち主です。
圧倒的なパワーヴォイスではないですが、ちょっと黒っぽいテイストを感じさせるテクニシャンって感じかな。
この曲でのギターソロもオリジナリティにあふれたすばらしいメロディ&アレンジです。

3.Lazarus Pain:
C.R.(g,kb)Peter John Vettese(rhodes,hammond-org)Steve Smith(d)Michael Manring(b)
叙情的です・・とことんペンタで攻めてます。
ギターだけ聴いてると、Steve Vai師のようなニュアンスも感じられますネ。

4.Maledette Stelle(feat.Negramaro):
C.R.(g,kb)Giuliano Sangiorgi(vo)Ermanno Carla(b)Danilo Tasco(d)Rosario Iermano(per)Solis String Quartet(strings)
イタリアのNegramaroというバンドとのコラボのようです・・彼らともプロデュースした間柄のようですネ。
このヴォーカルもまた気色の良い声の持ち主です・・たまに聞かせる巻き舌もいい感じ。
オリーヴ畑を散歩してるようなゆったりしたヨーロピアンな空気を感じます。
まるで風のようなギターがいいですね。

5.Bodga Bay:
C.R.(g,b,pf,per,whistle)Solis String Quartet(strings)
アコギが印象的・・フォーキーで穏やかな逸品です・・ちょいGonTiti入ってたりしてませんかネ。
口笛がいい味出してますね・・どこまでも行こう♪ってか。(笑)

6.Tantrum To Blind(feat.Allan Holdsworth):
C.R.(g,2nd.g-solo,kb)Allan Holdsworth(1st.g-solo)Peter John Vettese(rhodes,hammond-org)Steve Smith(d)Michael Manring(b)Solis String Quartet(strings)
くだんの曲・・実に挑戦的ですな。
テーマ&中間部のユニゾンフレーズと1stギターソロがHoldsworth先生のギターで、それ以外は全てコッラードが弾いてるようですね。
じっくり聴けば、歪んだ音色でどんなに早くてもフルピッキングのコッラードの音とレガート&フィードバックを多用してるナチュラルドライヴの先生の音は似て非なるものというのが自ずと明らかになってきます。
先生がインプロしやすそうな変態的なよい雰囲気です・・しかし、先生ちょっと出番がなさすぎではないかな。



7.Chiudi Gli Occhi(feat.Fabio Properzi/Ameba 4):
C.R.(g,kb)Fabio Properzi(vo)Peter John Vettese(rhodes,hammond-org)Steve Smith(d)Michael Manring(b)
Ameba 4というグループのヴォーカリストとのコラボのようです。
フワフワとした浮遊感がいいですね。
良く聴けば、男性ヴォーカルでバリトンとファルセットをユニゾンで被せたヴォーカルアレンジによる面白い効果でした。
この辺のセンスの良さが、ヨーロッパで受けた原因なのかもしれませんネ。

8.Spirals Of Light(feat.Paul McCandless):
C.R.(g,kb)Paul McCandless(english horn)Peter John Vettese(rhodes,hammond-org)Steve Smith(d)Michael Manring(b)Solis String Quartet(strings)
このテーマを吹いてるイングリッシュ・ホルン(オーボエのデカいヤツね)奏者であるポール・マキャンドレスという方は、ジャズ・フュージョン界では珍しい存在で、木管ならなんでもござれという凄い方のようです。
オーボエが本職で、父と祖父も共にオーボエ奏者で、代々受け継いだお家芸なんだそうです。
・・オーボエといえば、今や‘くろきん’ですな!(笑)
そうそう、肝心の音の方ですが(汗)9/8拍子で、ヨーロピアンで優しげな感じ・・海が見える冬の草原みたいなイメージでしょうか。

9.Bridge Of Floating Hearts:
C.R.(g,kb)Rosario Iermano(per)Solis String Quartet(strings)
叙情的なアレンジとは裏腹に、かなり攻撃的なギターソロ・・高音で伸ばした時の歪み方がこそばゆいです。
間を上手く生かしたキーボードやストリングスの使い方が渋いですね。

10.100 Famous Notes(feat.Paul McCandless):
C.R.(g,kb)Paul McCandless(english horn)Peter John Vettese(rhodes,hammond-org)Steve Smith(d)Michael Manring(b)Solis String Quartet(strings)
再びオーボエで室内楽的に攻めてきた・・と思いきや、ボトルネックで荒っぽく絡んできます・・でも不思議とうるさくないですネ。
多分ハムバッキングの割りに妙にうすっぺらいギターの音色のせいじゃないのかな・・ボディは軽いフェンダー系とみました。
・・盛り上げ方が実にすばらしいですネ。

11....and My Mind Became A Color:
海の音とギターで作ったSEだけによるサウンドコラージュだそうです。
アンヴィエントでまさに海をイメージさせます・・いろんな音が入ってますね・・結構長いぞ。
心地よい余韻に浸りながら・・。

それと‘Holons’というミュージカルに使ったサウンドトラックのメイキング映像がエンハンスト形式で入ってるようなのですが、ウチのPCではなぜか観れません・・WinXPに変えてから全然だめなんですよね。
どなたか、観る方法をご教授願えませんかネ?(涙)



今回、音楽の良さとは裏腹に、そのタイトルにちょっと違和感を感じました・・‘deconstruction’‘postmodern’といった今や死語と化した言葉をどうしてこの時期大事なタイトルに冠したのか?
バイオを読む限り、彼が敬愛する社会学者であるKen Wilber(ケン・ウィルバー)の講和の単なる受け売りのようです。
CDのようなメディアでは表現しきれない音楽の機微とか想いみたいなものを再現できるような新しいメディアや方法はないんかい?と言いたかっただけみたいです。
‘Post Futurismo’なんて感じの方が、イメージに合ってたような気がするんですがネ。

しかしながら、彼の音楽は実に明快ですね。
ストラクチュアがしっかりしており、インプロ的なものはオブリ以外極力避け、カッチリとアレンジしてあります。
従って、ソロの構成もじっくり練られた内容で、堂々と一気に演ってるのが凄く気持ち良く感じました。
しっかり自分を表現できており、私としてはホールズワース先生のクローンなんて印象は全然受けませんでしたよ。


・・いいギタリストとまた巡り合えて、この時期とても幸せなelmarでした・・あんまり飲めないけど。(涙)


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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
invs様 (elmar35)
2011-09-13 21:08:45
ご無沙汰しております。
貴重な情報ありがとう御座います。
関西なら・・残念ですが。(涙)
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Paul McCandless (invs)
2011-09-11 22:31:28
Paul McCandless 来日します。9/24-25 Pit Inn です。
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papini様 (elmar35)
2006-12-18 23:14:15
ようこそおいでくださいました。ありがとうございます。
これ聴いてみて、ナゴヤさんに先を越されたあなたの気持ちがよくわかりました・・私的にも場外ホームラン級の作品ですね・・ホント感動しました。
Cervelloも早速手配してます・・NOVAもおそらく来週当たり我慢ができなくなって発注するかも。(笑)
こちらこそ、今後もどうぞよろしくお願いします。
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桃猫様 (elmar35)
2006-12-18 23:06:25
コメントありがとうございます。
・・そうです、日々ワンちゃんのようにクンクンやってます。(笑)
これはNOVA体験済みの桃猫さんならかなりの確率で受けると思ってます。マンちゃんのベースはちょっと引っ込んでますけど、良く聴くとニヤケてきますよ。(笑)
多分もう少しで店頭にも並ぶと思います。
ぜひどうぞ!
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Unknown (papini)
2006-12-17 23:01:42
こちらでは初めましてですね♪
ども、papiniです。
是非是非、ここからチェルベッロとNOVAも♪
NOVAの2nd、3rd辺りからコラードの
真骨頂が見えてくるかと思います。
あ、でも最初っからやりたいことは変わってないのかも・・・(笑

くだらないblogの管理人のpapiniですが
これからもよろしくお願いします♪
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マニアック! (桃猫)
2006-12-17 19:41:33
こんばんは!御無沙汰しています。暮れですねぇ~最近は、タワーレコード通いでも、なかなか良い音盤に恵まれませんでしたが、あるところには、あるんですねぇ、興味深いものが。これも初見でした。NOVAは、パーシー・ジョーンズが入っているのでLP盤で所有しているのですが、現在では、代わりにマイケル・マーリングが入ってるとは、驚きです。Hpで印象だけ聞きましたがなかなか良さげですね。いつもながら、ホールズワース周辺の嗅ぎまわり、スゴイですね。感心させられることばかりです。情報の宝庫です。
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ナゴヤハロー様 (elmar35)
2006-12-17 01:58:17
コメントありがとうございます。
買えました・・エヘッ。(笑)
・・引き続き古いのも探してみます。
今回のコッラードといい銀次さんといい・・裏ビデオといい(笑)、ナゴヤさんにはお世話になりっぱなしです・・本当にありがとうございます!
そうそう、クロスウインドよかったですよ!
・・アップは考え中です。(笑)
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はやっ!(笑) (ナゴヤハロー)
2006-12-16 19:04:23
もう買っちゃったんですね(笑)さすがです。これを機会に是非チェルヴェッロやNOVAも聴いてみてください。
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