ここではないどこかへ -Anywhere But Here-

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2008年のFC東京は

2008-01-16 05:50:06 | サッカー
ストーブリーグたけなわである。
今年のJリーグの移籍市場はいつになく大きなうねりがある。
我らがFC東京も今年は大きく変わりそうだ。それは後述するして・・・。

本来であれば、2007年を総括した上で2008年の展望といきたいところだったが
年末年始のドサクサで書けなかったので、去年と今年を乱暴にサマリーしてしまう。

2007年東京は原博実監督をわずか一年で呼び戻した。
原さんは常々東京のサッカーを「東京は娯楽の多い世界有数の都会である。
その都会でわざわざお金を払ってまでサッカーを見に来てもらおうと思ったら
エンターテイメント性に優れたスペクタクルなサッカーを展開しなければならない。
1点を守りきるサッカーではなくて、2点取られたら3点を取って勝つような攻撃的なサッカーでなければならない。」と発言している。
大いに共感できるし、FC東京のサッカーが向かおうとする方向としてそれは間違っていないと思う。
原さんは好きな監督だ。しかし昨年原さんが復帰するというニュースを聞いたときには大きな違和感を抱いた。
原さんはFC東京をJ1において躍進させた中興の祖と言ってもいいだろう。
2003年シーズンには現在までの最高であるリーグ年間4位に導き、2004年にはナビスコカップで初タイトルをもたらした。
その功績は大きい。しかしナビスコカップを制した04年もリーグ戦の方は冴えなかったし、05年は10位に終わっている。
原さんのスタイルが相手チームに研究されて思うように成績が伸びなかったし、戦術的な行き詰まりもあった。
だから06年は原体制から脱却して新しいサッカーを模索しようとしたのではなかったか。

カウンター主体のサッカーからポゼッションを高めパスを繋いで崩していくサッカー。
それを実現するために招いたのはクラブ史上初の外国人監督ガーロだった。
これまでとは180度違うサッカーを初めての外国人監督でやろうというのだから
これは果敢な挑戦だったし、大きな期待を抱かせる挑戦でもあった。
しかし、こうしたサッカースタイルの大きな転換はそう簡単に実を結ぶものではない。
ましてや指導者はコミュニケーションに難のある外国人である。
それなのにフロントは拙速だった。結果が出ないと見るや早々にガーロ監督を更迭。
原監督のときのヘッドコーチだった倉又氏が後を引き継いで緊急事態を何とか乗り切ったのだった。

2007年は前の年にできなかったことをクラブとして再構築するべきであったと私は思う。
しかし、あろうことかフロントは原さんを呼び戻してしまった。この時点で私は相当に厳しいシーズンが始まると覚悟せざるを得なかった。
原スタイルからの脱却が06年だったはずである。それをわずか一年でいとも簡単に覆してしまった。
フロントのこの一貫性のなさ、堪え情のなさが不安だったのだ。
そして、このクラブがどこに行こうとしているのかが全く見えない中での船出となってしまったのが07年シーズンだった。

1年で原さんを戻すというのは危険な賭けでもあったと思う。
原さんはサポーターからも絶大な人気を持ったある種のカリスマである。
それだけにこんなに早く呼び戻して、もし失敗してしまったらもう東京には戻れなくなってしまう。
そのことをフロントがどこまで認識していたのか・・・。
だから原さんにとっては失敗の許されないシーズンになってしまった。そのことを原さんはよく理解していたと思う。
だからこそ、原さんの采配は至極保守的なものになってしまったのだと思う。
今野をストッパーで使ったり、結果の出ないワンチョペを見限らざるを得なかったのはその現われだったと思う。
その結果つまらないシーズンになってしまったのだ。冒険をしなくなった原東京は魅力に乏しかった。
かつてサイド攻撃を完遂するためにマリノスで干されていた石川を使ったり、
非難されながらも根気強く梶山を使い続けたりという、果敢な冒険がなくなったのだ。
負けの許されないサッカーをしなければならなかった原さんが気の毒だった。
興行的に計算のできる監督という目的も含めての原さんの復帰だったとするならば
あまりにも大きなミッションを原博実ひとりに背負わせてしまったと言えなくもない。
2007年は原さんと見果てぬ夢の続きを見ようとして、虚しく空回りし続けたシーズンだった。

そして2008年。城福浩新監督を迎えて再スタートを切る東京。
選手の出入りについては功労者の土肥や鳴り物入りで入団した福西をわずか一年で戦力外とするなど
転出が先行していたが今野の残留を皮切りに堅実な補強が進みつつある。
選手の放出には戦略的な意図を感じるし、去年の大物捕りに比べれば
ブルーノや羽生などウィークポイントと思われるところに、戦力として計算できる選手を着実に埋めてきている感がある。
しかも、監督の戦力的構想にかなった選手の獲得がある程度行われている様子も伺える。
その点で昨年よりも堅実で昨年の失敗を踏まえた補強が進んでいると思う。

「人もボールも動くサッカー」。ちょっと日本サッカー界でブームになっている感もあるスローガンだが、
城福さんの目指すサッカーはダイナミックなムービングサッカーのようである。
まだ具体的な姿は見えていないが、昨年までのサッカーとは大きく変わりそうでその意味では昨年よりも期待感の方が大きい。
新体制の船出はこの週末だそうだが、まずは怪我なくキャンプを乗り切って欲しい。

今年もまた震えるような興奮を求めてスタジアムという緑の海に乗り出していくことだろう。
開幕が待ち遠しい。


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