ここではないどこかへ -Anywhere But Here-

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ワールドカップ 決勝戦 フランス対イタリア(ベルリン)1-1(PK5-3)

2006-07-10 21:33:40 | サッカー
今回のワールドカップはベスト16ぐらいまでは比較的波乱も少なく下馬評どおりの
チームが順当に勝ち上がってきた。
しかし、ベスト8ではいくつかの波乱も起きた。
優勝候補筆頭のブラジルがフランスに敗れ、前評判がさほどでもなかったドイツが優勝候補の一角アルゼンチンを激闘の末PK戦で下した。
また、イングランドはポルトガルに苦杯をなめた。
勝ち残った国はいずれも本大会を通してチームとして成長してきた。ドイツ然り、フランス然り。
一方でもともと本命視されていたチームほどコンディションの調整に苦労したようだ。
そして、決勝まで勝ち残ったのはジダンを中心に試合ごとに調子を上げてきたフランスと、
国内リーグが不正疑惑で騒がれるなかしぶとくかつ淡々と勝ち上がってきたイタリアだった。
おそらくこの2チームによって優勝が争われることになると予想した人はそう多くはないのではないだろうか。
かく言う私もその一人だ。

決勝トーナメントになってから僅差のゲームが非常に多かった。
実力のあるチームが勝ちあがってきたからであり、スリリングな攻防の多く、
延長からPKまでもつれこむゲームも非常に多かった。
決勝戦もそうした拮抗した展開になった。
前半の早い時間に得たPKをジダンが冷静に決めてまずはフランスがリード。
その直後に今度はCKをマテラッツィがヘッドで合わせて同点。
その後は硬直した展開となった。フランスが押し込みイタリアはご自慢のカテナチオではじき返す。
一方的に押し込まれているようでその実イタリアは攻められることでリズムをキープできていたのではないか。
8人でゴール前を固めるイタリアに対してアンリのワントップではどうしても数的有利を作れない。
ジダンが縦横無尽に動いたり、リベリーが果敢に攻め込むがなかなかペナルティエリアに入り込めない。
一方のイタリアもトッティがマケレレ、ヴィエラら百戦錬磨のフランスディフェンス陣に阻まれ前線で孤立。
ジダンのヘッドがブッフォンの正面になったり、イタリアのゴールがぎりぎりでオフサイドだったり、
惜しいシーンがあったものの、試合は延長へ。

ところがこの延長に思いがけないドラマが待ち受けていた。
延長も後半このままPKまでもつれこみそうな気配が濃厚となり始めた頃突然イタリアGKのブッフォンが何事かを主審に訴え始めたのだ。
ボールに関係のないところで何らかのトラブルがありそれに主審が気がついていなかったようなのだ。
映像が映し出される。
なんとジダンがマテラッツィの胸にいきなり頭突きを食らわせたのである。
もんどりうって倒れこむマテラッツィ。
今度はその直前ジダンとマテラッツィが何事か言葉を交すシーンが映し出される。
その直後顔色を変えることなくジダンが歩みより件の行為に及ぶのである。
主審は確認した後直ちにレッドカード。やむなしである。
それにしても試合はまだどちらに転ぶか分からない状況の中で、なぜジダンは突如として自分を見失ってしまったのか。
しかもワールドカップのファイナルである。
おそらくは彼が自制心を制御できなくなるほどの暴言をマテラッツィが吐いたことは容易に想像がつく。
しかしたやすくその挑発に乗ってしまうのはあまりにも稚拙すぎないか。

ジダンを求心力として纏まっていたチームはジダンによって瓦解してしまった。
ジダンがいたからといってPKの結果は変わらなかったかもしれない。
でもだからこそ残念でならない。
自らの晩節を汚してしまったジダン。ワールドカップは最後の一点にどこか喪失感を漂わせながら終わってしまった。


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