ここではないどこかへ -Anywhere But Here-

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今年のFC東京

2006-12-13 23:33:46 | サッカー
曇り時々雨

いささか旧聞に属する話だが、先週末の天皇杯で東京は惨めな逆転負けを喫した。
先制されたもののいい形で逆転に成功し、後半ロスタイムまでリードしていたのに追いつかれ、延長で再逆転負け。
いつかどこかで見てきたようなここ最近の最悪な負けパターン。
いろんな意味で今期の迷走振りを象徴するような負け方だった。
なんとなく予感はしていたが、こうもシナリオどおりの負けパターンに腹立たしいのを通り越して呆れてしまう。

先週クラブは原博実氏の監督復帰を発表した。
監督が交代するクラブとしては異例の早さで来期の体制を発表したところに来期にかけるクラブの意気込みが感じられるが
多くのサポーターと同様、首を傾げざるを得ない監督人事となった。
原氏の人望の厚さに疑問を挟む余地はない。
去年の今頃、味スタで涙の退任セレモニーをやったほど愛された監督だった。
若手を見出し初タイトルに導いた手腕は誰もが認めるところである。

しかし、それでもクラブは次の段階を求めて大胆に改革に踏み出した。
大熊-原で築き上げた土台をベースに自らが主導権を握るサッカーを志向してクラブ初の外国人監督に「次」を託したはずだった。
戦術のコペルニクス的な展開はある程度の忍耐を強いられることは素人の私でも想像がついた。
2、3年は辛抱だなと思っていたのに、結果が伴わないとクラブは早々に路線転換した。
そこには何の納得のいく説明もなかった。
原体制からの上積みを求めていたのに、去年と同じカウンターサッカーへと時計の針を戻した東京は、
結果的には去年からの上積みはおろか、あわや降格という屈辱を味わった。

ビジョンを打ち出して原体制からのネクスト・ワンを求めていたはずなのに、
その舌の根も乾かないうちに原監督に戻すことの意味をフロントは明確にすべきではないか。
今年を総括することなく原さんに戻すのであれば、
それは支持率の高い原さんをスケープゴートにしてファンを納得させて、済ましてしまおうととられても仕方ないのではないか。

私は正直、会見の内容を聞く限り来年の原さんにはとても期待している。
わずか一年で戻ってくることのリスクを原さんは誰よりも知っているのではないか。
二回目で同じことを繰り返せば原さん自身のキャリアに大きな傷がつく。
それでもあえて火中の栗を拾うということは、それだけ東京というクラブのポテンシャルを見出しいるからだと思う。
そのことを私は信じたい。
一年浪人してそれでも東京だと思った原さんを信じたい。
そして東京がビッグクラブを目指すべきだという原さんのビジョンも私は間違っていないと思う。

次はフロントがそうしたビジョンを明確に示すべきではないか。
何を総括してどこに向かうのか、明確に示すことをファンは求めているし、
苦楽を分かち合ってきた、最大のステークホルダー足るべきファンに対して
その説明責任を果たすことなしにはクラブの展望は開けてこないと思う。
この苦しいときだからこそ、今こそクラブはファンに真摯に向き合うべきだと思う。

これからのストーブリーグで、クラブの真価が問われるだろう。
FC東京がこれからどこに向かうのか、厳しい目で見守っていきたい。