ここではないどこかへ -Anywhere But Here-

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ナビスコカップ予選5節 FC東京対浦和レッズ(調布・味の素スタジアム)0-0

2006-05-18 22:48:52 | サッカー
曇り。

ワールドカップの代表メンバーも決まりJ1はナビスコカップの2試合を最後に2ヶ月あまりの中断に入る。
惜しくも選ばれなかった選手たちも傷心をバネに次を目指して欲しい。
そのスタートとなる試合がこの日各地で開かれた。東京対浦和。
東京には茂庭、今野、浦和には長谷部と惜しくも選にもれた選手達がいるが、
彼らだけでなく他の選手たちにとっても2010年を目指した新たな闘いがここから始まる。
まずはその前途の開けることを祈りたい。

さすがに浦和。平日のアウェイにも関わらずゴール裏だけなら東京を凌駕している。
圧倒的な声量。一方の東京は今日も鳴り物なしの応援。自然発生的に生まれるコールと統率された応援が対照的だった。

金沢が今季初出場。ノリオの出場停止とはいえ抜群の安定度とバランス感覚は健在。
出るべくして出てきた選手だと思う。ノリオのサイドで攻められるとドキドキするが、金沢だと安心して見ていられるというのがある。
ノリオの荒削りな可能性も良いが、若いチームにあって金沢のようないぶし銀の重しはやはり貴重だ。
戸田も戻ってきて、昨年までの東京の雰囲気ができつつある。後は石川直の帰りを待つだけだ。
一方で、小澤が初スタメン。伊野波、徳永といったルーキー達とベテラン、中堅の融合が楽しみな一戦となった。
浦和は小野、三都主が不在、ポンテを怪我で欠くなど中盤の入れ替えを迫られた。選手層の厚さはJ随一の浦和のこと。
誰が出てきても遜色のないパフォーマンスだろう。

浦和にとっては勝って予選の1位突破を確実なものにしたいところ。
一方早々と予選敗退が決まった東京はここで覇気のない試合をすればプロとしての沽券に関わる。
プライドを見せてサポーターを納得させなければいけない。
異なるモチベーションを抱える両チームだが、東京側の私にとってはインセンティブのまったくないこの試合においては、純粋にサッカーそのものを楽しめる環境だ。
負けたってもう失うものは何もないのだし、興味はヒリヒリとするような勝負の瞬間を見てみたいという一点に集約される。
今の浦和を相手に今日のようなモチベーションでやるのは正直厳しいだろうな、
日曜日の福岡戦の内容をからいっても厳しい試合になるだろうなと、ある種の覚悟をしてスタジアムへと出かけたが、
積極的に動けていたのは東京のほうだった。

東京のパフォーマンスは中盤の出来に大きく左右する。
今日は小澤がとにかくよく動いていたし、ルーカスにも楔のボールが収まった。
またボールを繋ぐんだという意識と、前からプレスをかけるという意識がプレーによく現れていたと思う。
前が詰まったらもう一度後ろで立て直していこうという意識が少しずつ出始めている。
今日は浦和の守備が堅牢でそこを崩すパスや動き出しは今ひとつだったが、手ごたえは出てきたと思う。
ダブルボランチの今野と伊野波はディフェンスとの連携もよく、ワシントン、長谷部といったところに仕事をさせなかった。
これは戸田やルーカスなど前線で汗をかく選手によるところも大きい。
スタメンを外れた梶山はこのあたりのところをよく見ていて欲しいと思う。

小澤やルーカスが動き回ってスペースを作ったから、川口、戸田がそのスペースを活かせた。
そこにキープしたボールを持ち込むことで決定的なチャンスが生まれる。
ガーロ監督が目指すポゼッション・サッカーはまさに今日のような内容にあるのではないか。
問題はやはりフィニッシュだ。
キーパーと1対1になるような決定的な場面を作りながら決められないところが、最大の課題だろう。
課題はいくつもあるが、中途半端に結果を残さず明確な課題を残しておくことが次のステップになる。

浦和は中盤でためが作れず東京の早いプレスにラインを下げさせられ、今日は苦しい内容だったと思う。
しかし、それでも崩れずにしのぎきるところに勝者のメンタリティを感じる。
試合のたびにジェットコースターに乗っているような乱高下ではだめだということ。
いい結果が出たら次に繋がらなければそれはフロックでしかないだろう。
そう思うと、我々は浦和に対してはまだまだ挑戦者でしかない。

いずれにせよ中断前の最後のホームでしばらく東京の試合は見られないが、
余韻を残して終われたことで多くのファンは納得できたのではないかと思う。
来週の試合は応援に行けないので、これでJリーグは一区切り。
ワールドカップ・モードに切り替わる。