江戸観光案内

古地図を片手に江戸の痕跡を見つけてみませんか?

柳原土手

2011-07-23 | まち歩き

神田川下流の浅草御門(現在の浅草橋付近)から筋違御門(現在の万世橋と昌平橋の中間付近)までの南岸に築かれた土手で、柳の木が植えられていました。古地図[1]には、柳並木の絵が描かれ、浅草御門から「是ヨリ筋違迄ヲ柳原通リト云」と書かれています。明治時代にこの土手は壊されてしまい、今は在りませんが、街路樹の一部に柳の木が植えられています。


柳原土手は夜鷹(路傍で客をひく下級の売春婦)が現れる場所として時代小説にはしばしば登場します。史実として夜鷹が頻繁に現れる場所であったのかは定かではありませんが、柳原土手の夜鷹を詠った川柳が残っていることから、怪しげな商売があったことは事実のようです。


藤沢周平著「夜鷹斬り」(用心棒日月抄に収録、新潮社)では、主人公の青江又八郎が、同じ長屋に住み、柳原土手で商売をしている夜鷹のおさきの用心棒を買って出ます。


柳原土手(柳原堤)が登場するその他の作品

  • 藤沢周平著「溟い海」(暗殺の年輪に収録、文藝春秋)
  • 藤沢周平著「風の道」(春秋の檻 獄医立花登手控え(一)に収録、講談社)
  • 池波正太郎著「助太刀」(剣客商売(十一)に収録、新潮社)
  • 池波正太郎著「凶賊」(鬼平犯科帳(五)に収録、文藝春秋)
  • 池波正太郎著「雲霧仁左衛門(前編)」(新潮社)
  • 川田弥一郎著「紫色の顔」「雪の足跡」(江戸の検屍官に収録、祥伝社)

[1] 日本橋北内神田両国浜町明細絵図、安政六年(1859年)


浅草橋南詰 東京都中央区日本橋馬喰町2-7-2

浅草橋駅から240m徒歩約3分


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