江戸観光案内

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高尾稲荷

2013-08-03 | まち歩き

高尾稲荷は、日本橋箱崎町に在る稲荷神社です。「高尾」は、吉原の遊女・二代目高尾太夫のことで、隅田川の三又(現在の清洲橋辺り)の船上において、仙台藩三代藩主・伊達綱宗に斬られ、命を落とした人です。「太夫」というのは、吉原の遊女の最高位で、容姿端麗であることはもちろん、芸事に通じ、教養も備えていなければなれない特別な遊女でした。その特別な遊女を綱宗が高尾太夫を斬り殺した訳は、綱宗が大金を積んで高尾太夫を身請けしたにもかからず、高尾太夫には意中の人がいて、綱宗に従おうとせず、それに綱宗が腹を立てたからと伝えられています。


高尾稲荷は、高尾太夫の遺体が引き揚げられた地に、彼女の神霊高尾大明神を祀ったのが起源と言います。明治の頃までは、現在地よりも100メートルほど離れた、豊海橋の北詰に社殿が在りましたが、かつてこの地に在った三井倉庫の建設に伴い、社殿は御神体と共に現在の地に移設されました。


大江戸釣客伝(夢枕獏著、講談社)の中では、高尾太夫について、絵師・多賀朝湖(後の英一蝶)と俳諧師・宝井其角が、

「吉原でしくじった伊達様の例もあらあ-」

「三浦屋の高尾太夫に入れあげて、身請けしたはいいが、太夫には間夫がいた。怒った伊達様が太夫を逆さ吊りにして、切り殺したってえことになったら-」

と会話する場面が登場しています。


高尾稲荷神社 中央区日本橋箱崎町10-7

東京メトロ東西線・日比谷線 茅場町駅から約700m 徒歩約9分


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