江戸観光案内

古地図を片手に江戸の痕跡を見つけてみませんか?

弥勒寺

2011-12-03 | まち歩き

弥勒寺(みろくじ)は東京都墨田区にある真言宗のお寺です。

古地図では竪川に架る二ツ目橋(現二之橋)を南に渡った東側、五間堀の北側に描かれています。創建は慶長十五年(1610年)で、何度かの移転の後、元禄二年(1689年)に現在の本所の地に移りました。現在の敷地は古地図と比較するとずいぶん小さくなっていますが、周りには今も弥勒寺のかつての塔頭である徳上院、法樹院、龍光院(それぞれの寺院は、現在は弥勒寺からは独立している)が在り、江戸時代の様子を偲ばせます。


弥勒寺には、本ブログ2011年2月5日に一ツ目弁天(現江島杉山神社)のところで紹介させて頂いた杉山和一検校の墓所(東京都指定旧跡)が在ります。杉山和一は両目の視力が無かった人でありながら鍼灸・按摩を世の中に広めた偉人です。日本では視覚障がい者が鍼灸師や按摩師として働くことに違和感はありませんが、諸外国では目の不自由な方が人の治療に当たる職業に就くことはとても難しいらしく、そういう意味では、障がい者や福祉といった言葉も無かったであろう時代に障がい者の自立の道を開き、それが当たり前という世を築いたのは大変すばらしい功績と言えます。もっと世に知られても良い人では無いでしょうか。


弥勒寺は古地図の上では敷地も広く、竪川や六間堀・五間堀からも近いため比較的目立つ存在です。本所や深川辺りを舞台にした時代小説には度々登場しており、例えば藤沢周平著「消えた女」「漆黒の霧の中で」の中では主人公・伊之助の周辺を彩る重要なランドマークとなっています。


弥勒寺が登場するその他の作品

  • 藤沢周平著「霧の果て 神谷玄次郎捕物控(針の光)」、文藝春秋

弥勒寺 東京都墨田区立川1-4-13

都営新宿線・大江戸線 森下駅から約150m 徒歩約2分


Dsc_9188