河太郎の身長及ぴ鳴声
蜀山人全集 「一話一言」より
河童図説、享和辛酉六月朔日。
(以下の文は、東浜という地名の権平次さんと言う名の漁師から、浦山金平という人への報告書のようです。
河太郎カワタロウは、カッパの別名の一つ。)
報告書
蜀山人全集 「一話一言」より
河童図説、享和辛酉六月朔日。
(以下の文は、東浜という地名の権平次さんと言う名の漁師から、浦山金平という人への報告書のようです。
河太郎カワタロウは、カッパの別名の一つ。)
報告書
水戸浦より上った河童は、身長が三尺五寸余り(105㎝位)、重さが二十貫目(約75㎏だが、身長と釣り合わない。しかし・・・)有りました。
見た目よりも、体重が多う御座いました。
海中にて、赤子のような鳴声が夥敷(おびただ)しくきこえました。
漁師たちは、船に乗っておりました。
海の底から声が聞こえてきましたので、網を下したところ、いろいろの声が聞こえてきました。
それから、さしあみを引廻しましたが、網の内へ拾四五疋ほど入っておりました。
カッパたちは、おどり出て逃げ出そうとしました。
船頭たちは、棒かいなどで、打ちましたが、カッパたちはねばり付いて来て、かい等で打っても、一向にききませんでした。
そのうちの一匹が、船の中へ飛込んだので、とま等を体の上に押しかけて、その上からたたいて、打殺しました。
その際に、やはり赤子のような鳴き声を出しました。
河童の鳴声は、赤子の鳴声と同様で御座いました。
打殺した際には、屁をこきました。
誠に耐え難い臭いで、船頭などは後あとまで、悩まされました。
カッパを打った捧かいなどは、生臭い臭いが、未だに消え去ってはおりません。
尻の穴は三っつ有りました。
全体的に、骨が無いように見えました。
屁の音はしなくて、ズズッとばかりでありました。
カッパたちを打つと、首が胴の中へ八分程入ちました。
カッパの胸は張出していて、セムシのようで御座いました。
死んでしまって首が引込まない状態でした。
当地では、度々カッパを捕えますが、此の度つかまえたもの程大きいのは、今までありませんでした。
珍しいことでありましたので、ご報告申し上げます。
以上。
六月五日 東浜、権平次 浦山金平様
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