江戸の妖怪、怪奇、怪談、奇談

江戸時代を中心とした、面白い話を、探して、紹介します。

黒気(黒い気体の帯)  筆のすさび

2024-05-31 22:10:16 | 怪談

黒気(黒い気体の帯)  筆のすさび

               2024.5

文化丙子(文化13年:1816年)正月二十七日夜、讃州金毘羅山(香川県コンピラサン)の下の大麻(おおあさ)と言う所より、黒気の一帯(ひとおび)が、幅が一間あまりあるのが出現した。東西に長さが一里余り(4km以上)に広がって、靡いていった。

少し時間がたって、ダンダンと薄くなり、西方へさらさらとなだれ行き、その速いこと風のようであって、そのうちに見えなくなった。
はじめは紫色に見えて、少しずつ黒くなり、その後には濃いこと墨のごとくになった。
その様子を見た人は身の毛がたったそうである。子供たちは怖れて家に走り帰った。そのさまは雲とも烟とも見えなかった。
その地の人である牧周蔵(まき しゅうぞう)(原注:名は昌、字は百穀。)が、書簡で伝えてきた。

菅茶山「筆のすさび」より



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