江戸の妖怪、怪奇、怪談、奇談

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河童の綱曳き と 獺祭(だっさい)  「伊那の伝説」

2023-02-25 22:02:13 | カッパ

河童の綱曳き と 獺祭(だっさい)

                    2023.2

これと同じような話が、伊那富村にもある。
昔ここの百姓が、ある日、飼い馬を天竜川の川端へ
放しておいた所、河の中から河童が手をだし、馬の手綱をつかんで水の中へ引き込もうとした。
しかし、なかなか馬が動かないので、河童は考へて今度は手綱を自分の胴へぐるぐると巻き付けて、力ーぱいに引つ張った。
馬も水の中へ引かれては大変と、これも一生懸命に踏みとどまった。
ここに、河童と馬との綱曳きが始まった。
そのうちに馬の力が勝って河童は水から外へ引きだされてしまった。
馬はそのまま家の方へ向って走りだし、河童は胴へまき付けた手綱を解く事も出来ず、引きずられて行った。そして、とうとう百姓家の表まで来て、そこで生捕りとなってしまった。
河童は、涙を流して、命ばかりは助けて下さいと頼んだ。
百姓も憐れに思い、綱を解いて河の中へ放してやった。
それからして毎日、朝になるとその百姓家の前に沢山の川魚が並ぺべてあった。

これは、河童が危い命を助けて貰ったお礼のために、持って来たものであった。

「伊那の伝説」昭和8年、岩崎清美著、山村書院、より。

訳者注:これも、獺祭であろう。

 



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