江戸の妖怪、怪奇、怪談、奇談

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動物界霊異誌 河童その7 名古屋の河童

2023-07-29 21:52:40 | カッパ
7、名古屋の河童  仮題 動物界霊異誌 河童その7
             2023.7
名古屋の川合氏は強力の大男であった。
宝暦三年七月三日の未明.老瀬川のあたりを、一人で歩いていると、少さい男の子が立っていた。柿色の帷子(かたびら)に黒い帯をしていて、頭は中すり?であった。
川合氏は、「どこへ行くのか?」ととがめた。
子どもは、答へて
「梅の森より水車へ行く。」と言った。
梅の森は老瀬川の川上にある。
川合氏は、子どもの傍を通り、さきへ行こうとしたが、そのこどもは、川合氏の帯をつかんで、引寄せた。
川合氏は振り放して後ろをかえり見、
「年頃、人を悩めている川小僧め!
生かしておくべきではないが、今は殺生を禁断している。よって生命を助けてやろう。」
と言うと、河童は、川へ飛び入った。
川合氏が、堤(どて)で煙草をすっていると、また出て近づいてきた。
川合氏が叱りつけると、
「あなたのような、強力の人には、これまで出会わなかった。」
と言って、又、川に飛び込んだ。

川合氏は、帰りがけに山岡氏にこのことを語った。
その山岡氏は、明和九年の七月に私にその事を語っった。
(和訓栞)動物界霊異誌 より


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