江戸の妖怪、怪奇、怪談、奇談

江戸時代を中心とした、面白い話を、探して、紹介します。

京の女の立小便  「羈旅漫録」滝沢馬琴

2024-03-08 23:15:38 | 江戸の街の世相

京の女の立小便
           2024.3

原題は、「女児の立小便」です。

〔八十二〕 女児の立小便  
   「羈旅漫録」滝沢馬琴より

京の家々の厠(かわや)の前に、小便担桶(しょうべんたご)があって、女もそれへ小便をする。
故に、富家の女房も、小便はすべて立ってする。
但し、身分の高い者も、低いものも、ともに紙を用いない。
妓女だけが、ふところがみを持って便所へ行く。
(原文の註:月々に六回ほど、この小便桶をくみに来る=肥料にするため)
あるいは、供に二三人つれている女(金持ちの家の女性)が、道ばたの小便たごへ、立ちながら尻の方をむけて小便をするのに、恥じる色がなく笑う人もいない。


訳者注:なかなか、面白い内容です。以前、昔の京都では、女が立小便をしていた、との文章を読んだことがあります(本の題名は忘れました)。本当だったようですね。

また、こんな川柳もあります。江戸時代には、京都の女性の立ち小便は、広く知られていたようです。

京女 
  立って垂れるが 
    すこし疵(立小便)

「新選 川柳狂詩集 全」川柳選 明和時代    有朋堂  昭和6年4月

「羈旅漫録」について
馬琴先生の著作としては、八犬伝などの小説がよく知られていますが、「兎園小説」類(ここに言う小説は、今の小説Novelとは違って、随筆、雑文)や旅行記(騎旅漫録)などの、著作があります。
中には、なかなかおもしろい内容のものがあります。
「羈旅漫録」1803年 は、江戸から上方への旅行の紀行文です。
(「日本随筆大成第一期第一巻」収載の「羈旅漫録」より)