江戸の妖怪、怪奇、怪談、奇談

江戸時代を中心とした、面白い話を、探して、紹介します。

カッパの害を避けるまじない歌  「中陵漫録」の「河太郎の歌」

2021-07-07 23:32:32 | カッパ

カッパの害を避けるまじない歌
                           2021.7
河太郎(カワタロウ=河童)が人を害する事が、希にある。
怪しい川に入り、泳いだり、魚を釣ったりしてはいけない。
奥州には、河童による害はないが、西日本では時々カッパによる害がある。
この為に豊後の某が、河太郎による被害を防ぐ方法を知っていて、お守り(霊符)を出した。
もし釣りに行ったり、あるいは怪しい川を渡る時には、この歌を三遍となえるとよい。
カッパによる害を防ぐ事は、本当のことである。
    ひやうすべに 川たちせしを 忘れなよ 川たち男 我も菅原

以上、「中陵漫録」の「河太郎の歌」の項より。 


マムシの害を避けるまじない歌  中陵漫録

2021-07-07 23:27:57 | その他

マムシの害を避けるまじない歌
                         2021.7
蝮蛇の害を避ける歌、というのが、奥州にある。

土地の人が、松茸を採ろうと山に入るその前に、一首の歌を三遍となえると、マムシの害には遭わないそうである。

ある樵(きこり)の話であるが、
その歌は、古くより言い伝えられていて、効果があるそうである。

戯(たわむれ)に記すと、
   
此(この)山に にしきまだらの 虫あるは 山たつひめに 談り聞さん(かたりきかさん)
(訳者注:全体の文章から、この歌の意味は、「マムシよ、出てきたら猪に教えて、お前を食べてもらうぞ。」であろう。)
と云う。
(訳者注:ここに言う虫とは、蛇=マムシを指す。古語では、マムシや蛇を、ムシ=虫とも言う。
漢字でも、蛇は虫偏です。蛇は、本草学では、虫類に分類します。足のあるムシは、蟲、足の無いムシは虫です。)

考察するに、にしきまだらとは、蝮蛇(まむし)の事を言う。
「本草綱目」に曰く、「頭斑身赤文斑」。
又「本草拾遺(原文では、蔵器)」に曰く。蝮蛇錦文とあるのによって、にしきまだらと言う。

また、考察するに、山たつひめとは、鹿の事である。
本草書に、鹿の別名に、斑龍の名がある。それで山龍姫とも言う。
鹿は草を食べて、虫類を食べる事はない。

蝮蛇を好んで食べるのは、猪である。
和歌に山龍姫とあるが、この場合には、猪の事を指すのであろう。

以上、「中陵漫録」の「蝮蛇の歌」の項より。