江戸の妖怪、怪奇、怪談、奇談

江戸時代を中心とした、面白い話を、探して、紹介します。

新説百物語巻之五 7、針を喰ふむしの事

2021-05-27 20:03:57 | 新説百物語
新説百物語巻之五 7、針を喰ふむしの事 
   針を喰う虫の話               2021.5

京都三条の西に貞林という尼がいた。
若い時は備前に下って、御物縫いの奉公(責任者)をつとめた。その折の事であった。

この貞林尼は、物を縫う針の折れたのをもったいないと思っていた。それで、折れたのを随分と拾い集め、針箱の底に置いていた。ある時、取り出して捨てようと思ったが、見えなかった。
二度もこの様であった。

ある時、針箱の掃除をしていると、大きさが三分(9mm)ばかりある虫が出てきた。
めづらしい物なので、針さしの上に置いておいた。
この虫は、そろそろとはい歩き、針さしの針をほろほろと喰べた。
さては、先達っての針の折れもこの虫が喰べたのだ、と思って、小さい箱に入れ、針のおれを餌として飼い置いたが、二月ばかりすると、大きさが一寸程(3cm)になった。

この事を御主人が聞いて、その後には古かねなどを与えたが、いよいよ大きくなった。
それで、怪しい物であろうと火で焼き殺したそうである。

これは、この貞林が、直に語ったことである。

蛇の大集合  蛇の塊   「中陵漫録」

2021-05-27 19:53:18 | 奇談

蛇の大集合  蛇の塊
                         2021.5
「中陵漫録」には、蛇が多数あつまる現象を記述した部分がある。
本来の題名は、「蛇相闘(へび あいたたかう)」となっています。

薩州(鹿児島)の西に蛇塚と云う所がある。6,7月時分、蛇が大に集まる時がある。人がその傍らを通り過ぎても、その塚の上に数百匹が塊になって、逃げ去る事はない。
また、備中油野(ゆの)村(岡山県備中町)の山に蝮蛇が集まって、相い闘う事がある。
また、奥州会津の盤梯湖(福島県の猪苗代湖)のあたりでも、このように相い闘う事がある。

編者注:ヘビなどは、時として、繁殖のために、多数が集まることがある。この現象を指していると思われる。