ポーランドからの報告

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明日ワルシャワで反政府デモが開かれます

2006年10月06日 | 政治・経済

明日7日の土曜日、ワルシャワで大規模なデモ集会が行われます。 「市民プラットフォーム(PO)」 主催の反政府デモが旧市街・王宮前広場付近にて行われるほか、 「法と正義(PiS)」 ポーランド家族連盟(LPR)の演説会も同時開催される予定とのことです。

これまでも今年の春から夏場にかけて、こういったデモが、首都ワルシャワを始め、クラクフ、カトヴィツェ、ヴロツワフなど各都市で開催されきました。ただ先日ハンガリーで同様のデモがあったため、その影響をうけて、今回のデモはかつてない規模になる可能性もあります。当日は警官も多数配属されますので、そう治安が悪くなることはないと思いますが、それでも当日ワルシャワにおられる旅行者の方は、身の安全には十分ご注意ください。


ポーランドからの報告


ソフィテル・ヴィクトリア・ホテル

2006年10月05日 | ホテル

堅苦しい政治の話はひとまず脇において、もう一件、ワルシャワのお勧めホテルをご紹介します。

ソフィテル・ヴィクトリア・ホテル (Sofitel Victoria Hotel )、ピウスツキ広場に隣接する5つ星ホテルです。ポーランドの国営旅行会社オルビスの所有する共産主義時代からの老舗高級ホテルで、その後一時インターコンチネンタルグループに入り、現在はソフィテルグループのフランチャイズ経営となっています。

ホテルに隣接するピウスツキ広場は、戦没者記念式典、平和記念祭典、国民ミサなど、政治関係のイベントが多数行われる場所です。すぐ隣にはサスキ公園が広がり、都心なのに非常に緑が豊富で静かな場所にあります。

もちろん観光名所へのアクセスも非常によく、ワルシャワ旧市街へ徒歩10分、ワルシャワゲットー跡へ徒歩15分、ワルシャワ中央駅へ徒歩30分ほどです。メリディアン・ブリストルホテルとともに、旧市街に一番近い5つ星ホテルとなっています。

 

実は私が始めてポーランドを訪れたとき泊まったのが、このヴィクトリア・ホテルでした。1987年、当時ポーランドはまだ共産主義体制下で、私は小学3年生でした。現在でこそラディソン、ホリデーイン、シェラトンなど外資系のホテルが多数林立するワルシャワですが、共産主義時代はこのヴィクトリア・ホテルが数少ない最高級ホテルでした。

初めての海外旅行だった私は、見るもの耳にするものすべてが新鮮に感じられました。ワルシャワ中央駅の薄暗いエントランスホール、やけに薄くて人工的な味のオレンジジュース、民族衣装をきた少年少女の華麗なダンス....etc そして一週間の滞在期間の間、毎日このヴィクトリア・ホテルからクルレフスカ通りへ出、マルシャウコフスカ通りを歩いて、文化科学宮殿までの道のりを散歩したこと、20年経った今でも、昨日のことのように覚えています。

縁あって2001年にポーランドを再び訪れたときも、真っ先にこのヴィクトリア・ホテルを訪れました。私にとっては、何年たっても特別な思い入れがあるホテルです。


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「ラジオ・マリア」 のスキャンダル I

2006年10月04日 | 政治・経済

ポーランドですごいのは、政治家の汚職問題もさることながら、カトリック教会がらみのスキャンダルです。

ポーランドでは、カトリック神父が、時として政治家以上の発言力を持っています。なぜなら敬虔なカトリック教徒であるポーランド人は、政治家の演説は右耳から左耳へスルーしても、毎週日曜日のミサで聞く神父の説教は、ありがたいものとして心に留めるからです。

当の政治家らもそういった事態は百も承知で、むしろ教会勢力への積極的な歩み寄りを見せています。とりわけ去年の上下院選挙・大統領選挙から今年前半にかけての各政党とカトリック教会の蜜月ぶりは異常でした。

特筆すべきは、極右カトリックで知られるトルンのカトリック系ラジオ局「ラジオ・マリア」(写真)とその責任者タデウシュ・リズィク神父の存在。「ラジオ・マリア」は去年の上下院選挙、大統領選挙を通して「法と正義(Prawo i Sprawiedliwość)」党の支持を連日ラジオで呼びかけ、その結果、両選挙とも同党が勝って、カチンスキ双子政権が誕生しました。
  
そしてタデウシュ・リズィク神父は、カトリック保守派を中心にラジオのリスナーの支持を集め、一時は亡きヨハネ・パウロ二世に次ぐ人気と影響力をもつまでになった人物です。 当然リズィク神父のラジオでの発言が、世論にも影響することから、各政党の閣僚が参勤交代よろしくトルンまで足を運び、リズィク神父にお伺いを立てるという異様な事態となっていました。

  

そんな中、今年の4月に一大スキャンダルが発覚しました。「ラジオ・マリア」のヤン・クルル神父が、募金キャンペーンで集めた信者からの寄付金を、株式投資に流用し400万ズローチ(約1500万円)の損失を出したという話です。

つづく


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「ラジオ・マリア」 のスキャンダル II

2006年10月04日 | 政治・経済

ことの始まりは、ラジオ・マリアが呼びかけた「グダニスク造船所を救済しよう」という募金キャンペーンでした。

グダニスク造船所、かつてのレーニン造船所とは、レフ=ヴァウェンサ(ワレサ) が働いていた造船所で、1980年に労働者組織 「連帯(Solidarność)」 が結成され、反政府労働者集会が起こされた場所です。その結果ポーランドを始め東欧が民主化し、ヴァウェンサはポーランド大統領になりました。ポーランドの、そして東欧全体の民主化の原点となった場所です。

実はこのグダニスク造船所は、体制変換後、多額の負債を抱え、1996年8月にグダニスク地方裁判所から、破産を宣告されていました。経営のノウハウがなく、安価での受注を繰り返したために、1億2千万米ドル(約150億円)もの負債額を抱えてしまっていたのです。破産宣告をうけて、造船所は閉鎖され、数千人いた労働者は、「連帯」を担った英雄から、一気に失業者となってしました。

「グダニスク造船所はポーランド民主化の原点なのだ、このままでは外国資本に買い取られてしまう、なんとか我々ポーランド人で資金を集めて造船所を再び立て直そう」 1997年にラジオ・マリアがこの募金キャンペーンを呼びかけると、多数の人がそれに賛同したのです。

もともとポーランド人はカトリック回帰と東欧民主化を同一視する傾向があります。「連帯」結成に先立つこと数ヶ月前、ポーランド出身の法王ヨハネ・ パウロ2世が第一回目のポーランド凱旋を行い、ワルシャワのピウスツキ広場に集まった聴衆に向かって Nie lękajcie się (恐れてはいけない) と呼びかけました。この呼びかけでポーランド人は目を覚まし、「連帯」運動がおこったのです。

  

またチェンストホーヴァのヤスナ・グーラ僧院の敷地内に「連帯」記念館があったりと、ポーランド人にとって、グダニスク造船所、レフ=ヴァウェンサ、「連帯」、ヨハネ・ パウロ2世、カトリック教会というのはすべて繋がっているものであり、「ラジオ・マリア」が「グダニスク造船所救済募金」を呼びかけると、自然な流れで賛同者が増えていきました。

しかも18・19世紀にアメリカや南米に移民したポーランド系移民の中には、事業で成功し裕福になった人も少なくなく、こういった海外ポーランド人コミュニティの賛同もあって、1998年までに最終的に数千万ズローチ、日本円で億単位の募金が集りました。
(ラジオ・マリアはアメリカでも聞けるんです。)

つづく


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「ラジオ・マリア」 のスキャンダル III

2006年10月04日 | 政治・経済

ところが何年経っても、一向にその後の話が伝わってきません。今年4月ついに検事局が捜査に乗り出したところ、クルル神父が、募金の一部を株式投資に流用し、しかも400万ズローチ(約1500万円)の損失を出していたというスキャンダルが公の元になったのです。

もちろんこの一件は新聞やテレビなどで連日大きく報道され、世論を大きくにぎわしました。当然のことながら、人々は「ラジオ・マリア」とクルル神父のあまりの失態に、失意、失望しました。しかし結局デモなど表立った抗議はおきませんでした。ポーランドでは、表立ってカトリックの批判をするのは「教養がない」「育ちが知れる」と見る向きがあるためです。寄付者が年配者中心だったのもあると思います。(年配者ほど信心深い)

校則の厳しいカトリック系私立校に通っていた私としては、カトリック神父が株をやるということ自体、カルチャーショックなのですが、寄付者一人一人の東欧民主化への思い、敬虔なカトリックへの信心をないがしろにし、このように寄付金を株式投資し、しかもすってしまうとは、聖職者とは、慈善活動とは、一体なんなのでしょうか?

そして、海外ポーランド系住民からの莫大な額の寄付もさることならが、一方で多数のポーランド人が、少ない所得の中から寄付したことも忘れてはいけません。ポーランドでは、貧しい人ほど信心深く、食べるものに困っていても、なけなしのお金を教会に寄付することを美徳とする、そういう国民性なのです。

結局この一件は、当事者のクルル神父を免職し、寄付者には全額を返金して(損失の埋め合わせは一体どこから!?)、それっきり話はうやむやのまま終わりです。

もちろん造船所には一切お金は渡っていません。下手に株式投資したら赤字になってしまったので黒字になるまで待ってたのか?なぜ株に手を出したのか?差額を懐に入れるためか?そもそも負債額1億2千万米ドル(約150億円)に対し、数億円で何がしたかったのか?

しかもクルル神父とリズィク神父は一切起訴されていません。カチンスキ大統領が、「この件はもうお終いでいいでしょう」といったからです。

なぜか?選挙の時に助けてもらっているからです。


一昨日のジョークに一行付け加えておきます。

ポーランド人神父 「たんまりと懐に入れて、株ですりました」



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ポーランドの政治汚職問題

2006年10月02日 | 政治・経済

ポーランドは汚職とワイロがはびこる国です。ミレル前首相の弟の公的資金横領問題、クファシニエフスキ前大統領と石油会社PKOオルレンとの癒着問題など、歴代政治家のほとんどに汚職疑惑があります。

まあ政治家の汚職問題なんていうのは、ポーランドに限らず世界中どこにも頭の痛い問題だと思います。2年前にはリトアニア大統領が、スキャンダル発覚でポーランドに逃げてきました。2日間いて帰りましたが。ちなみにポーランドの政治家は、汚職がばれるとイスラエルへ逃げたりします。

Transparency International というNPO団体が、毎年 汚職認知指数(CPI) なるものを発表しており、汚職の度合いを10点満点で評価しています。点数の高いほど汚職のない綺麗な政府ということになるのですが、気になるポーランドの順位は、2005年度は3.4点で70位、ブルキナ・ファソ、クロアチア、エジプト、サウジアラビア、レソト、シリアと同じレベルでした。
(ちなみに1位はアイスランドで9.7点、2位はフィンランド、ニュージーランドで9.6点、4位がデンマーク9.5点、5位はシンガポール9.4点。日本は7.3点で21位でした。)


こんなジョークもあります。

日本人・アメリカ人・ブラジル人の政治家が酒の席で話をしていました。

  日本   「あそこに橋が見えるでしょう?」
  アメリカ 「立派な橋ですね」
  日本   「実はここだけの話、建設費の10%を懐に入れましてね」

一同、ニヤニヤ

  アメリカ 「あそこにビルが見えるでしょう?」
  ブラジル 「高いビルですね」
  アメリカ 「私は30%を懐に入れましたよ」

一同、爆笑

  ブラジル 「あそこにダムが見えるでしょう?」
  日・米  「いいえ?」
  ブラジル 「100%懐に入れました」


さてその場にポーランド人の政治家がいたら、何と答えたでしょうか?
(ブラジルは2005年度のCPI は3.7点で62位、ポーランドより"優秀"な国とされています。)

ちなみに今日のニュースでやっていたのは、小中学校のパソコン購入費としてポーランド政府に支払われたEUからの補助金が、なぜか分配の途中にどこかへ消えてしまい、実際に各地の学校へは補助金が配布されていない、というニュース。

ポーランドに住んで3年も経つと、もはや驚きません。


ポーランドの政治については、ポーランド国暗夜行路 というブログでも詳しく紹介されています。


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ポローニア・パレス・ホテル

2006年10月01日 | ホテル

今日はワルシャワのお勧めホテルをご紹介します。

イェロゾリムスキエ通りに面してたつ白い宮殿のようなホテル、ポローニア・パレスホテル ( Polonia Palace Hotel )

このポローニア・パレスホテルのように、パレスホテルと名前がつくホテルは、かつての宮殿だった建物を改装してホテルにしたもので、大抵が、4つ星か5つ星の高級ホテルになっています。

このホテルも、昔はポローニア・ホテルの名前で営業しており、内装もやや小汚い感じだったのですが、2年前に大改装を行い、パレスホテルとしてリニューアルオープンしました。それにともない料金も2倍近くに跳ね上がりました。

  
  

広くてきれいなお部屋もさることながら、なんといってもこのホテルの自慢は、レストラン。見渡す限りどこもかしこもまっ白のバロックスタイルで、皆が一度は憧れる、宮殿のようなレストランです。

ロケーションも抜群で、ワルシャワ中央駅からは徒歩5分。旧市街へもバスで10分、空港へはホテル目の前のバス停から175番のバスに乗り40分です。

ただこのホテルは非常に間違いが多いです。予約を入れても当日予約がとれていなかったり、日付を間違えていたり。。それを抜かせばすごくいいホテルなのですが。


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