ポーランドからの報告

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ジグゾーパズルの家

2006年10月21日 | 日常生活

下の写真の高層団地をよーく見てください。どれも一見普通の高層住宅ですが、目を凝らしてじっと見ると、一階分の高さごとに縦横に格子状のスジが入っているのがわかります。

実はこれ、あらかじめ他所で製造した一階分の高さの規格パネルを、現地で立体的に組み立てて張り合わせた高層住宅なんです。パネルには規格がいくつかあり、場所によって、窓が一つ分空いていたり、二つ分空いていたり、ベランダ用だったりします。これらのパネルを縦横をあわせて、立体的に組み上げて建築していきます。

このパネル製住宅は、社会主義時代、住宅不足の解消にと政府が主体となって建設にのりだしたもので、短期間で建築できるということで、郊外を中心にかなりの数が建設されました。例えばクラクフなら、北東部のノヴァ・フタ地区、南部のルチャイ地区などに集中して見られます。

  

でも、これって、立体ジグゾーパズルでしょう!?!?
12階建てなんて建ててしまって大丈夫!?!?
耐震強度はいかほどなんでしょうか!?!?

平原の国ポーランドでは、地震に悩まされることはないため、耐震構造という考え方があまりありません。確かにポーランドでは地震は400年に一度ほどしか起こりません。でも油断してはいけません。去年は2回も起きました。

実は我が家で住宅を購入する話があって、不動産屋をいろいろと見て回った時期があったのですが、その時不動産屋さんからじきじきに言われたのが「パネル製の高層住宅は、強度に問題あるからお勧めできません」とのお言葉。それを聞いて、パネル製は即効購入リストからはずしました。地震大国日本の生まれの私としては、住んでいる人には悪いですが、生理的にというか、もう本能的に、ここには住めないと感じました。

さすがに現在では、もうパネル製住宅は建築されていません。現在の主流は、鉄筋コンクリート・レンガ製で、フロアー部分と枠組みを鉄筋コンクリートで固め、間をプスタックというレンガで埋めるものです(写真)。ショッピングモールなど大勢の人が集まる建物も、この方式で建設されているようですので、どうやらこれがポーランド最強の建築基準のようです。
  
   

ところで今年の冬に、ポーランド南部の都市ホジュフ市で、国際展示場の屋根が抜け落ちて、65名の犠牲者が出る事故があったのを、覚えていらっしゃる方もいると思います。この事故を受けて、ポーランドの建築基準が国内外から注目を浴び、建築基準法も一部改正されました。しかしポーランド国内に無数にあるパネル製高層マンションなどの建物を見るにつけ、今後もこの手の事故が起きかねないのでは...と心配になります。


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