ポーランドからの報告

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お月さまを盗んだ二人

2006年10月09日 | 政治・経済

ポーランドでは、大統領と首相が一卵性双生児の兄弟なんです。

レフ・カチンスキ大統領が双子の弟、ヤロスワフ・カチンスキ首相が双子の兄。

大統領と首相が双子なんて全世界どこを見渡しても前代未聞の話ですが、実際この双子兄弟がポストに就任してからというものの、ポーランドの政治は歴史上かつてないほど暴走し始め、ヨーロッパ他国からは、「ポーランドにファシズム政権誕生」と厳しく非難されています。


実はこのカチンスキ兄弟、かつて子役として映画に出演したことがあります。

O dwóch takich co ukradli Księżyc~お月さまを盗んだ二人 という映画で、今から44年前、1962年の作品です。下のパッケージ写真は、左が現在のレフ大統領、右がヤロスワフ首相。まだあどけない顔で、とてもかわいらしいですね。ちなみにこの二人、去年の大統領選挙のころは、「親友でも見分けがつかない程そっくりな顔」 と報道されていましたが、半年間こう毎日もテレビで顔を見させられると(特にヤロスワフ首相の方)、いやがおうでも見分けが付くようになってきます。

   

このカチンスキ兄弟が大統領と首相に就任してからというもの、この映画 『お月さまを盗んだ二人』 が、にわかに注目され始めています。

映画自体は、双子のヤツェックとプラツェックが、大人になったら何をしようか、などと他愛のないことをしゃべる映画なのですが、よくみて見ていると、突っ込みどころ満載なんです。

例えば このシーン。ポーランド語ですが、ぜひ動画でご覧ください。

  「僕ら、大人になって金持ちになったら..」
  「金持ちになったら、何もしなくていいんだぜ!」
  「今だって僕ら、何もしていないじゃないか。」
  「何言ってるんだ。金持ちになったら、もっと全然何もしなくていいんだよ!」


このせりふが、演技とはいえ、あまりにも現状を言い当ててるだけに。。。

実際、まるで「何もやらないこと」が政策であるかのように、カチンスキ双子兄弟政権は、何一つ建設的なことを行っていません。医療制度改革、公務員の給料の改善、税制制度改革、失業率の改善、こういった山積みの国内問題にはちっとも目をむけず、やっていることといえば、過去の政治家の汚職の追及、政敵の追放、カトリック教会への頭下げ、アメリカやイスラエルへのゴマすり。

昔も今も役者です(=エージェントに言われた通りにしか動けません) なんでことじゃ、困ります!


映画のその他のシーンは こちら でみることができます。


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