ポーランドからの報告

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異教の神、シヴィアトヴィド

2006年12月29日 | 歴史

千年来のカトリックの国、ポーランドにも、その昔、異教の神を信仰していた時代がありました。

今となってはカトリック一色となったポーランドの街並みに、異教時代の面影は殆ど認められません。それでも辛抱強く、よーく眼をこらして探してみてください。例えば、クラクフ旧市街南にそびえ立つ、ヴァヴェル城。その城下に、スラブの神様は、今でもひっそりと立っています。

    

其の名も、太陽神、シヴィアトヴィド(Światowid)

このシヴィアトヴィドは、キリスト教以前、西スラブ人によって広く信仰されていた神さまです。白馬にのった軍神で、東西南北を見渡す四つの顔を持ち、またの名を太陽神と呼ばれ、五穀豊穣の神であり、同時に戦争の神でもありました。呼び名の由来は、世界を見渡す神-シヴィエントーヴィド(Świętowit)が訛ったものといわれています。

元々ポーランド人を含むスラブ民族は、スラブ神話の神々と精霊を信仰する多神教の民族だったのが、千年の歴史を経て、徐々にキリスト教化されていったものです。異教時代、スラブ民族は文字を持っていなかった為(文字はキリスト教とともに伝来)、現代スラブ神話として知られるものは、すべて口承民話によるところですが、それでも、この太陽神シヴィアトヴィドをはじめ、雷神ピョルン、狩猟の女神ジェヴォーナなど、さまざまな神話が伝わっています。

しかしカトリックの影響が非常につよい現代ポーランドにおいては、国史においても、966年のキリスト教受容からが重要視される傾向があります。それゆえ、キリスト教受容以前については、今から高々、千余年前のことに過ぎないにもかかわらず、ともすると異教時代の歴史そのものが、「先史扱い」か、もしくは「神話と同格扱い」になってしまうこともあります。実際、一体何人のポーランド人が、このシヴィアトヴィドについて知っているかは、まったく未知数です。

このシヴィアトヴィドが立っているのは、ヴァヴェル城下、ゲルトルーディ通りとストラドムスカ通りの交差点の緑地の一角です。旧市街中央広場からは、グロツカ通りをまっすく進んだ突き当り交差点向かい、トラムなら、Wawel駅下車、徒歩1分のところです。最近向かいに立てられた「カティンの森事件犠牲者の追悼碑」の方が目立つので、その影に隠れて、このシヴィアトヴィドには、殆ど立ち止まる人もいません。それでもシヴィアトヴィドが大好きな私は、いつも前を通るたびに、そっと拝んでしまいます。


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クリスマス・イブの食卓

2006年12月24日 | 文化

カトリックが国教の国、ポーランド。
その伝統的なクリスマス・イブの食卓をご紹介します。

24日のクリスマス・イブと、25日のクリスマス当日は、親族で集まって、クリスマスの食事会をします。日本でいったら、正月に親族が一同集まって御節を食べるのと同じで、年末年始のとても大切な伝統的な行事です。

24日の日没、食卓の席に皆が揃うと、まずは家族の中で一番若い人が聖書の一節を朗読します。次に各自がオプワテック(Opłatek)と呼ばれる白いせんべいを手に持ち、割ってそのかけらを交換して、互いに幸福の挨拶を交わします。

   

食事は通常通り、まずスープから始まります。クリスマス・イブのスープは、バルシチ(赤バルシチ)、きのこのスープ(ズーパ・グジボーヴァ-Zupa Grzybowa)またはジューレックのどれかで、地域ごとに異なります。クリスマスをイメージしたテレビCMなどでは、かならずバルシチが出てくるので、全国的にはバルシチのようです。

   

我が家は、クラクフ郊外出身の義母の料理ということで、毎年ズーパ・グジボーヴァでしたが(写真)、義妹が婚約者とワルシャワで同棲し始めてからは、義妹からのリクエストか、バルシチも追加されました。地域によって味が異なるのは、日本のお雑煮みたいで、面白いですね。

   

次にメインディッシュです。イエスの12人の弟子にちなんで、料理は12皿用意します。にしんやサーモン、鱒の燻製など魚料理が中心となります。

クリスマス・イブは、あくまでも25日のクリスマスの前夜祭。なので復活祭の前の四旬節(Wielki Post)同様、肉料理は控え、ひっそりとした食事会になります。実は三年ほど前に、「クリスマス・イブに肉を食べてもよろしい」というバチカンからの許可(?)が出たらしいのですが、それでもポーランド人は、「クリスマス・イブの食事は伝統的な魚料理」のスタイルを貫いています。

そんなクリスマス・イブの食卓の一番のごちそうは、鯉のフライです。普段肉料理が中心で、あまり魚を食べないポーランド人ですが、クリスマス・イブのご馳走は、鯉のフライときまっています。そんなわけで、毎年クリスマスの時期になると、毎年スーパーの食料品売り場に鯉の量り売りの特設水槽ができたり、鯉売りのトラックが住宅地を巡回したりするようになったりと、「ポーランドの冬の名物詩」となっています。

   

この鯉のフライ、私もポーランドにきて初めて食べたのですが、とてもおいしくてびっくりしました。なんというか、魚なのに肉のような食感で、非常に食べ応えがあります。ポーランド語で、ご馳走のことを、「スーペル-Super」というのですが、まさに「超」美味しいので、私も毎年とても楽しみにしているお料理です。

さて食事がひと段落すると、プレゼント交換です。皆が持ち寄ったプレゼントはまとめてツリーの下に高く積み上げられており、子供だけでなく大人も一人一人順番に包みを受け取ります。プレゼントは天使からの贈り物ということになっています。そしてクリスマスキャロルを皆で歌い、盛り上がります。

そして食事が終わると、深夜0時のキリスト降誕のミサに参列するため、皆で教会に向かいます。最近の若い人は、信者であっても普段教会のミサに行く人はそれほど多くはないのですが、それでもクリスマス・イブはやはり特別な日ですので、若者を含め多くの人が、イブのキャンドルサービスに参列します。(もっとも寒くて外に出たくない人や、家から教会が遠い人は、ミサのテレビ中継があるのでそれで済ませられます)ポーランドのクリスマスは、ポーランド人が、カトリック教徒であるというアイデンティティをあらたにする、とても大切な行事なのです。


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クリスマス・イブ・イブ

2006年12月23日 | 文化

困ったことに、明日のクリスマス・イブ、12月24日は日曜日です。
そう言われても「はて?」という感じですが、敬虔なカトリック教徒の国、ポーランドでは、これがちょっとした問題となりました。

よく知られているように、クリスマス(Boże Narodzenie)とは、12月25日のキリストの生誕を祝うお祭りです。そして24日のクリスマス・イブ(Wigilia Bożego Narodzenia)のお祭りは、クリスマスという祝日を前にしての前夜祭とされています。この日はあくまでも前夜祭なので、復活祭の前の四旬節(Wielki Post)の時期のように、肉食を控え、騒がずにひっそりと過ごす日とされています。

   

しかし、一方で日曜日というのは、カトリックの祝日で、お祝いをする日です。なので、前夜祭であるクリスマス・イブが、祝日である日曜日にあたるのは、カトリックの教えの解釈によっては、矛盾するということになるのです。そんなことをいったって、カレンダーの都合上、何年かに一度、24日が日曜日になってしまうのは避けようがないのだし、カトリック教会の方でも、気にせずに24日にクリスマス・イブを祝うように説明しているのですが、それでも、厳格に聖書の教えを守っている家庭では、「これは困った!」と大問題となりました。

どうしたかというと、そういうお家では、今年は、今日23日に、一足早くクリスマス・イブの食事会を行ったそうです。先ほどの夕方のテレビのニュースで、今日クリスマスパーティを開いている家庭が紹介されていて、「あれ、クリスマス・イブにはまだ一日早いのにおかしいな」と思っていたら、そういうことでした。

ポーランドは国民の90%以上が敬虔なカトリック教徒といわれていますが、実際に日常生活に宗教の教えをどれだけ実践しているかは、人によってだいぶ異なります。首都ワルシャワなどの大都市では、若い人であれば、めったに教会に足を運びません。ですので、今回23日の土曜日にクリスマス・イブ・イブを祝った人は、国民全体からしたらそれほど多くはないと思います。しかし今でも地方の農村部の方にいけば、毎週日曜日に必ずミサに行き罪を告白し、金曜日は肉食を控えて、と聖書の教えを忠実に守っている人が沢山いて、宗教というものが、いかに日常生活に密接に関わるものであるのかに気づかされます。それにしても、「24日にクリスマス・イブ・パーティを開いても構いません」との教会からのお墨付きが出ているのに、自分たち独自の解釈で、クリスマス・イブを24日の日曜日から、23日の土曜日にずらす、という発想には、少なからず驚かされました。


一方で、ユーラシア大陸のはるか向こうの日本では、すっかり24日のクリスマス・イブがクリスマスの本番みたいになってしまって、23日のことをクリスマス・イブ・イブといって盛り上げたり、25日のクリスマス当日は軽んじられたり、はたまた24日に時間が取れない人が、23日にクリスマス・イブを祝ったりと、なんでもありの状況になってしまっています。それなもんで、「クリスマス・イブ・イブなんて、商業主義もいいとこ、馬鹿げている」なんて批判が出たりもしますよね。しかしそんな批判をしている人も、「敬虔なカトリック教徒も、23日にクリスマス・イブ・イブを祝っている」なんて知ったら、逆カルチャーショックを受けるのでしょうか!?


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ヤドリギを飾るクリスマス

2006年12月22日 | 日常生活

ポーランドは千年来、カトリックを国教とする国で、国民の90%以上が敬虔なカトリック教徒です。クリスマスの12月24・25・26は国の祝日となり、国民全体でクリスマスを祝います。

ポーランドでは、昔からの伝統として、クリスマスにヤドリギを飾る習慣があります。ヤドリギはケヤキ、ブナ、ミズナラなどに寄生する木で、その生命力の高さから家族の繁栄を願って飾るのだそうです。(もちろんクリスマスツリーも飾ります。大きなもみの木に飾り付けをし、その下にプレゼントをおいてきます。ツリーは通常クリスマスが過ぎても1月半ばくらいまで飾っておきます。)

   

ポーランドのクリスマスも、他のヨーロッパの国同様、家族で過ごすクリスマスです。若いカップルも、恋人同士ではなく、それぞれの家族と、一家団欒のひと時を過ごします。(とはいっても婚約している場合は、相手の家族の家に招待されることもあるようです。)

それが故、この時期にいつもテレビで取り上げられるのが、帰省ラッシュの話題です。 「ポーランド人はどこにでもいる」 という云い回しがあるくらい、ヨーロッパを中心にいまや世界中に散らばっているポーランド人ですが、とりわけ2004年5月のEU加盟以降は、その傾向にさらに拍車がかかり、イギリス、アイルランド、スウェーデン、イタリアなどに、200万人以上の労働移民が渡航しました。それらの国外ポーランド人が、クリスマスと年末年始休暇で、この時期一斉にポーランドに帰省するため、各地の空港で大混雑が起こるわけなんです。

特に今週は週後半から週末にかけて、ロンドンの各空港では、霧のため空の便のダイヤが大幅に乱れ、数千人のポーランド人が空港で足止めをくらいました。そういうわけで、このクリスマスから年末年始の休暇シーズンにポーランドに渡航される予定の方は、ポーランド国内各地の空港ロビーなどでの混雑を、あらかじめ想定に入れておくと良いと思います。


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『琥珀ロード』 をめぐる旅

2006年12月19日 | 民芸品・お土産

ポーランドは、世界的な琥珀の名産地として知られています。グダニスク、グディニアなどバルト海沿岸のポモージェ地方、ロシアのカリーニングラード、そしてリトアニアのバルト海沿岸地方は、世界的な琥珀の名産地として知られ、世界で生産される琥珀の8割以上を産出しています。

 

琥珀(こはく)とは、コハク杉などの樹液が、長い年月を経て固まり宝石化したものです。琥珀には、古くから身体を癒す不思議な力があると信じられており、 「不死身」「永遠」のシンボルとして大切にされ、ペンダントやイヤリング、ブローチ、ブレスレットなどの装飾品として愛用されてきました。

かつてポーランドには、『シルクロード』ならぬ、『琥珀ロード』がありました。ポーランドが最も繁栄したヤゲウォ王朝の栄光の時代、バルト海沿岸で産出された良質の琥珀は、グダニスク、トルン、ワルシャワ、カジミエジュ、サンドミエジュと南下して、クラクフ・ヴァヴェル城の王族の元へと献上されました。沿道の街をむすぶ道は、『琥珀ロード』と呼ばれ、ヴィスワ川を使った琥珀の貿易で大いにさかえました。

ヴァヴェル城の構内には、その古来よりの伝統を引き継ぐ、琥珀アクセサリーの名門店、「Krol-Jantar(琥珀王)」のアクセサリー工房があります。グダニスクから『琥珀ロード』にそってクラクフまで南下し、ヴァヴェル城のアクセサリー工房で、琥珀原石がアクセサリーへと加工される過程をのぞいてみましょう!

太古の時代からの伝統工芸に触れる、『琥珀ロード』をめぐる旅です。


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琥珀アクセサリーにまつわる伝説

2006年12月19日 | 民芸品・お土産

ヨーロッパでは、古代より琥珀にまつわる様々な伝説が伝わっています。

古代ローマ人は、琥珀のことを「オオヤマネコの尿(lyncurium)」と呼んでいました。一風変わった呼び名ですが、オオヤマネコの尿が金色の化石になるという伝説に由来しています。ローマ時代において、琥珀は宝石としてだけでなく、厄よけの道具として、またその粉末が飲み薬や塗り薬としても使用されていました。

 

古代ギリシャでは、水平線に沈んだ太陽の光が、海の中で固まって琥珀になったと信じられていました。英語で琥珀のことを「アンバー(AMBER)」というのは、ギリシャ語の「アンバール~漂うもの」が語源となっています。そして琥珀には物を引き付ける「摩訶不思議な力」があることが知られており、この「摩訶不思議な力」が不運や不幸を人から引き離し、幸運をもたらすと考えたからです。そのため、琥珀は愛を叶える宝石として愛されてきました。この「摩訶不思議な力」とは、静電気のことです。古代ギリシャ人は、琥珀を綿などの布でこすると、静電気が発することを知っていました。琥珀を意味するギリシャ語の elektron が西欧語の電気(electrum など)の語源となっています。

イギリスでは、結婚10年目の夫婦がお互いに琥珀のアクセサリーを送るという「琥珀婚」の習慣があります。「幸せをよぶ宝石」である琥珀をプレゼントすることにより、お互いに幸せが訪れ、愛が花開くとされていています。


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バルト海琥珀の魅力

2006年12月19日 | 民芸品・お土産

バルト海沿岸産の琥珀は、非常に色のバラエティーに富んでいることで知られています。薄い黄色、 はちみつ色、黄金色、乳白色、青、緑、無色、黒、赤など様々な色があり、まれですが透明な琥珀や蛍光色の琥珀も存在します。

この色の違いは、樹木の種類、琥珀が生成されたときの温度や湿度、琥珀が埋もれた周囲の土壌成 、樹液分泌部位の日照度などによってきまるのだそうです。

 

また琥珀は、その透明度も実にさまざまです。琥珀の透明度は、気泡や有機物の含有率によって決まり、透明なものから完全に不透明なものまでは、実に様々な琥珀があります。


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琥珀職人と琥珀ギルド

2006年12月19日 | 民芸品・お土産

ポーランド琥珀工芸は最も古い民芸のうちの一つで、ポーランド沿岸地域において中世の時期になされた民族工芸です。何世紀にも渡るグダニスクの琥珀職人の技術は世界でも最も高い水準に達しています。

 

1477年、カジミエジュ4世はグダニスクに琥珀製作のためのギルド創設を認めました。この琥珀ギルドは、1480年にはスウプスキに、1539年にはエルブロングとクニングスベルグに創設されました。ギルド制度によって認定された職人の数は厳しく決められており、レベルの高い琥珀工芸が代々受け継がれていきました。

ユネスコ世界遺産に指定されているマルボルクの古城には、スタニスフワフ・ポニャトフスキ王のものといわれる、18世紀の木製キャビネットが展示されています。このバロック調キャビネットの琥珀細工は大変美しく、現在までに世界中で作られた琥珀細工の中で、もっとも美しい作品と絶賛されているほどです。


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琥珀アクセサリーのいろいろ

2006年12月19日 | 民芸品・お土産

琥珀の名産地、ポーランドでは、日本では考えられないような破格のお値段で、良質の琥珀が購入可能です。そのため、バルト産琥珀はポーランドのお土産として大変人気があり、琥珀を買いに来るのが目的で、ポーランドへ旅行される方も沢山いらっしゃいます。

琥珀アクセサリーの値段は、色と形、重さで決まります。形が丸型やひし形などに整えられているもの、重さの重いもの(形の大きいもの)ほど高価とされています。また色は、透明な黄色のものや蜂蜜色のものが比較的安く、逆に乳白色のものがもっとも価値が高いとされています。またブルーアンバーと呼ばれる青色の琥珀は、南米ドミニカ共和国で産出されている、非常に珍しいものです。

 

またインクルージョン物と呼ばれる、内部にハチ、ハエ、チョウ、ガ、などが入っているものは、非常に高価になります。通常宝石鑑別においては、内包物があると価値が低下するのが常ですが、琥珀においては逆で、昆虫などインクルージョンがあるほうが、価値が高いとされます。

インクルージョンには、虫や蝶などの有機物のほかにも、サンスパングル(sun spangle) と呼ばれるものも頻繁に認められます。サンスパングル とは琥珀の中に見られる丸い円盤状のもので、このインクルージョンの表面が光を反射する事からのその名がつきました。サンスパングルが出来るのは、琥珀が化石化する過程で内部に含まれるガス成分が、地熱や圧力で分離分解されることにより、生成されます。そのキラキラと光る美しい模様は、琥珀の魅力とされています。


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琥珀アクセサリーの価値の見極め方

2006年12月19日 | 民芸品・お土産

琥珀を買うときに厄介なのは、本物の琥珀に混じって、偽者も相当流通している点です。例えば、クラクフでは、フロリアンスカ通り、中央広場の織物会館、そして、中央広場からヴァヴェル城へ続くグロツカ通りが、琥珀専門店が並ぶ場所ですが、織物会館の一階に並ぶ店では、売り物に一部偽物が混じっているという話も聞きました。ですので、買うときはよくよくの注意が必要になります。

琥珀の偽物は、コーパル、ガラス、セルロイド、プラスティックなどが出回っています。このうちコーパルとは、琥珀になる一歩手前の半化石の琥珀とも言うべきもので、外見が琥珀に非常によく似ています。しかも琥珀より融点が低いため熱処理して中に虫や蝶などの内包物を詰め込むことが可能とあって、インクルージョンの偽物としてかなりの量が出回っています。インクルージョン・アクセサリーで、値段が割と安いものは、このコーパル製の偽物の可能性が高くなります。

 

本物の琥珀と偽物の琥珀の見極め方はいくつかあります。

本物の琥珀は綿の布でこすると静電気を発する性質があります。琥珀を意味するギリシャ語のelektron が、欧州言語の電気を意味する単語(electricity など)の語源となっていることからもわかるように、琥珀が静電気を発するという性質は古代から知られているものです。琥珀として売られているアクセサリーを、綿の布でこすってみて静電気が発生しなかったら、まず偽者です。

また飽和食塩水に入れて、浮いたら本物、沈んだら偽物です。ただこの方法でも、コーパルだとやはり本物同様海水に浮くので見分けが付きません。また買うときにわかないのが致命的ですが・・

一流の琥珀アクセサリー専門店では、琥珀アクセサリーの購入の際に、「本物の琥珀です」という鑑定書を発行しています。この鑑定書があれば、購入後にもし商品が偽物と判明した場合に、購入代金を返金するシステムです。高価な琥珀アクセサリーを買うときには、心配ならば、このような鑑定書を出してくれるお店で買うのがよいでしょう。


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