ポーランドからの報告

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まだ完成していない家に住む人たち II

2006年10月22日 | 日常生活

そういう我が家も....実はまだ完成していません(爆)!

現在私が夫と娘の三人で住んでいる家は、もともと70年代に夫の祖父母が購入した家で、その後祖父母が亡くなり、現在は夫の妹ベアタが遺産を相続して所有者となっています。ポーランド語で Bliźniaki(ブリジュニャキ)「双子住宅」と呼ばれる二軒つながった家で、社会主義時代の典型的な郊外型住宅です。

   

地階に物置があり、日本で言う2階と3階が住居スペースになっています。写真の左側半分の白いほうの家が我が家で、さらに左側に2階の高さの建て増しが付いています。(写真の左側2/3)

この我が家、どこがどう完成していないのかというと、、一応外側こそ仕上がっているのですが、内装が全然終了していません。例えば床のフローリングはワックスが塗られていない。なので、なにかこぼすとすぐ板にシミができて汚くなってしまいます。階段はコンクリートむき出しで、フローリングすらまだです。しょうがないので、水色のペンキを塗ってごまかしていますが、やはりすぐにシミができるので、非常に気をつかいます。

   

極めつけは建て増しの部分。まったく完成していません。フローリングはおろか、壁は塗られていない、窓枠ができていない、さらに暖房まで付いていない始末。。もちろん一切使い物にならず、結局ただの物置となってはや三十年。

ちなみに我が家の場合、先の記事に書いた、仕上げを残した状態で売る「半オーダーメイド住宅」ではありません。建て増しなどせずに、そのお金を本体の方の床や階段のフローリングにまわしていれば、すべて予算の範囲で完成していたはずだったのです。

それを「将来孫達が結婚したら家族が増えるから、家は広くなくちゃいけない。内装は孫達が自分達で住みながら完成させればいい」との判断で、資金に余裕がないのに無理な建て増しをしたため、あげく本体部分が未完成のまま残ってしまったわけです(どんなに完成していなくても、予算が尽きればその時点で工事はストップします。)かといって家の所有者のベアタはまだ26歳ですので、リフォームするようなお金などありません。

   

「そんなに無理して造ったのに、30年間全然使われていない。一体何の為に建て増ししたの!」この件に関しては、夫やベアタはかなり辛口です。ちなみにその義祖父、建築家だったのですが...

ところで上の写真に写っているのは私の夫です。音楽CDジャケット用に撮影した写真なのですが、HipHopミュージックに会うイメージの撮影地を探していたら、なんと自宅の一室があった(!)というすごいオチです。

追記:
ポーランドの建築事情については、こちらの記事 も大変面白いです。


ポーランドからの報告


まだ完成していない家に住む人たち I

2006年10月22日 | 日常生活

通りに同じデザインの建売住宅が三軒たっています。奥の二軒は青や白の外壁で綺麗に仕上がっていますが、一番手前の家は、レンガ(プスタック)がむき出しで、どう見てもまだ完成しているようには見えません。

でも実は、この未完成の家にも、人が住んでいるんです。

未完成の家に、普通に人が住んでいる!こういった光景は、郊外の新興住宅地に行くと、よく見られる光景です。レンガやセメントの繋ぎ目がむき出しで、どう見ても未完成という家なのに、家の前に車が停まっていて、窓にはレースのカーテンがかかっていて、庭にはペットの犬がいて、夜になると部屋の明かりが点いているんです。

   

一体どういうことかというと、、、最近のポーランドでは、この写真の手前の家のように、仕上げを残した状態で売る、半オーダーメイド住宅が増えているからなんです。

とりわけ郊外の新興住宅地では、同じデザインの建売住宅を同じ地区に何十と建てるため、外壁、門、家の塀など外側の部分をオプションにして、購入者に好みの色や材質を選ばせる業者が増えてきています。こうすることで、同規格の建売住宅でも仕上がりにバラエティを出せますし、仕上げ工事を別料金で提示することで、見かけの売値を安く提示できるという効果があるためです。

住宅購入者は、家本体を購入した後で、別途業者に頼んで、外側の仕上げ工事を完成させることになります。もちろん住宅購入の際に、あらかじめ仕上げ工事についても大体の見積もりを出してもらうわけですが、しかし中には、どういうわけか、仕上げ工事の方まで資金が回らない人が出てきます。そういった人達が、とりあえず家自体は購入しているのだからと、未完成の状態の家に住むことになるわけです...

綺麗に仕上がった家々が並ぶ中、一軒だけぽつんと未完成の家が混じって並ぶありさまは、非常にこっけいで、正直なところ、両隣の家まで安っぽくみえます。でも見かけは悪くたって、とりあえず雨風は防げるのですし、住んでいる人達本人も、あまり気にせずに住んでいるようです。(ただレンガがむき出しのままで、断熱工事を一切していない状態ですので、暖房効率が非常に悪くなるという点は問題です。)

そういうわけで、未完成の家に人が住んでいるという風景は、郊外の一軒家が並ぶ新興住宅地地区に行くと、割と普通に見られます。しかも何年かしてまた同じ家の前を通ると、今度はちゃんと完成していたりします。


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