ポーランドからの報告

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「ラジオ・マリア」 のスキャンダル III

2006年10月04日 | 政治・経済

ところが何年経っても、一向にその後の話が伝わってきません。今年4月ついに検事局が捜査に乗り出したところ、クルル神父が、募金の一部を株式投資に流用し、しかも400万ズローチ(約1500万円)の損失を出していたというスキャンダルが公の元になったのです。

もちろんこの一件は新聞やテレビなどで連日大きく報道され、世論を大きくにぎわしました。当然のことながら、人々は「ラジオ・マリア」とクルル神父のあまりの失態に、失意、失望しました。しかし結局デモなど表立った抗議はおきませんでした。ポーランドでは、表立ってカトリックの批判をするのは「教養がない」「育ちが知れる」と見る向きがあるためです。寄付者が年配者中心だったのもあると思います。(年配者ほど信心深い)

校則の厳しいカトリック系私立校に通っていた私としては、カトリック神父が株をやるということ自体、カルチャーショックなのですが、寄付者一人一人の東欧民主化への思い、敬虔なカトリックへの信心をないがしろにし、このように寄付金を株式投資し、しかもすってしまうとは、聖職者とは、慈善活動とは、一体なんなのでしょうか?

そして、海外ポーランド系住民からの莫大な額の寄付もさることならが、一方で多数のポーランド人が、少ない所得の中から寄付したことも忘れてはいけません。ポーランドでは、貧しい人ほど信心深く、食べるものに困っていても、なけなしのお金を教会に寄付することを美徳とする、そういう国民性なのです。

結局この一件は、当事者のクルル神父を免職し、寄付者には全額を返金して(損失の埋め合わせは一体どこから!?)、それっきり話はうやむやのまま終わりです。

もちろん造船所には一切お金は渡っていません。下手に株式投資したら赤字になってしまったので黒字になるまで待ってたのか?なぜ株に手を出したのか?差額を懐に入れるためか?そもそも負債額1億2千万米ドル(約150億円)に対し、数億円で何がしたかったのか?

しかもクルル神父とリズィク神父は一切起訴されていません。カチンスキ大統領が、「この件はもうお終いでいいでしょう」といったからです。

なぜか?選挙の時に助けてもらっているからです。


一昨日のジョークに一行付け加えておきます。

ポーランド人神父 「たんまりと懐に入れて、株ですりました」



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