ポーランドからの報告

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補足トリビア 「ハイ」 と 「イィエ」

2006年10月07日 | 雑学
下の記事 に対する補足トリビアです。

ドイツのスラブ系少数民族ソルブ人の言語、上ソルブ語では、肯定の返事「はい」が Haj(ハイ) で日本語とまったく発音が一緒なんです!

ソルブ語(Sorbian languages) とは、ドイツ南東部、エルベ川流域に住むスラブ系少数民族、ソルブ人の言語です。ポーランド語、チェコ語、スロヴァキア語とともに、インド・ヨーロッパ語族・スラブ語派・西スラブ語群に属する言語で、ソルブ語、ラウジッツ語、ヴェンド語などと呼ばれています。

6世紀、ゲルマン民族の大移動が起こると、無人となったエルベ川流域地帯にスラブ人民族が移入し、農業、酪農、狩猟、漁労などを行って定住しました。その現存する子孫がソルブ人で、ドイツ語を話すドイツ人に囲まれながらも、1500年もの間、独自の言語と文化を固持してきた民族です。

ソルブ語には大きく2つの方言があり、エルベ川上流域で話されている 上ソルブ語(Upper Sorbian) と、エルベ川下流域で話されている 下ソルブ語(Lower Sorbian) に分けられます。上ソルブ語はチェコ語に、下ソルブ語はポーランド語に近い言葉です。

ソルブ語の話者はおよそ2万人で、現在ではほぼ全員がドイツ語とのバイリンガルとなっており、日常会話ではドイツ語を使用する人も増えています。それでもソルブ語の新聞やラジオ、インターネットサイトなどを運営したりと、先祖代々の言語を消滅させなための努力に勤めています。またドイツ政府もソルブ語保護に積極的で、ソルブ人のためのソルブ語学校があるほか、ソルブ博物館、国立ソルブ語研究所の設立、ライプツィヒ大学言語研究所にソルブ語科を設置するなどしています。また南東部ブランデンブルグ州、ザクセン州では、案内板・道路標識などがドイツ語とソルブ語との二ヶ国語表示となってます。

ソルブ語は、古代スラブ語の特徴である双数を残していたりと、言語学的にも非常に興味深い言語です。上述したように、印欧語・西スラブ語族に属する言葉ですので、もちろんこの Haj(ハイ) 以外、語彙、文法などに日本語との共通点はまったくありませんが、面白い偶然ですよね!


もうひとつトリビアねた、今度は逆の例。

モロッコ語(アラビア語モロッコ方言 Moroccan Arabic) では肯定の「はい」にあたる単語が Iyeh (イィエ) だそうです!そのため日本人がモロッコ語を学ぶときや、逆にモロッコ人が日本語を学ぶとき、最初は慣れなくてすごく戸惑うのだとか・・ちなみに否定の「いいえ」は標準アラビア語と一緒で La(ラー) です。幸いこちらは覚えやすいですね。

それにしても、ところ変われば、こんなにも言語事情は変わるのですね!


ポーランドからの報告


トリビアの泉 No が Yes!

2006年10月07日 | 雑学

ポーランド人にポーランド語で何か質問して、「No」との答えが返ってきたら、それは「いいえ」の意味ではなく、「はい」の意味なんです!

ポーランド語で肯定の返事「はい」は Tak(タック) 、否定の返事「いいえ」は Nie(ニィエ) です。

でもその他に No(ノ) という単語があり、日本語の「はい」に対する「うん」のような、くだけた意味の肯定のフレーズとなっています。つまりNo(ノ) は、「Yes」を意味する言葉なんです!

この No(ノ) は英語のような ノウ ではなく、スペイン語やイタリア語のように、音節を軽く切って、そしてやや高音気味に ノ(高) と発音します。もちろん英語・スペイン語・イタリア語の否定の返事 No とはまったく関係がなく、れっきとしたポーランド語です。チェコ語で肯定の返事「はい」を Ano(アノ) といいますが、むしろこちらに起源が近い言葉です。

そういうわけで、ポーランド人は頭をうんうん縦に振りながら No(ノ) って言ったりしますので、ポーランド語を知らない人には、肯定しているのか、否定しているのかさっぱりですが、 No(ノ)が「うん、そう」という意味だと知って、やっと頭のもやもやが晴れるわけです。

No(ノ) は、このように肯定の意味の返事として使われるほか、一般にフレーズ同士を円滑につなぐ接続語のような役割があります。例えば英会話でしょっちゅう You know というフレーズを挟む人がいますが、それと同じで、ポーランド人では、会話の途中にものすごくしょっちゅう No(ノ) をはさむ人がいます。

また、あとに続く単語の強調の意味もあります。

   No tak (ノ・タック) うん、そうそう 
   No nie (ノ・ニィエ)  違うよ~!!
   No więc (ノ・ヴィエンツ) そういうわけでぇ~
   No właśnie (ノ・ヴワシニィエ)  だよねぇ
   No to dobrze (ノ・ト・ドブジェ) それはよかった!


こんな風に使います。

このNo(ノ) は、ともするとポーランド語のお堅い教科書には載ってないのですが、知っておくと大変便利な言葉ですので、ぜひ練習して、ものにしましょう!


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