ポーランドからの報告

政治、経済からテレビのネタまで、詳細現地レポをお届けしています!

ポーランドで運転免許をとる ①

2007年01月30日 | こぼれ話

実は昨年から自動車教習所に通っていたのですが、先日ついに運転免許を取ることができました。というわけで「こぼれ話」編の第一回のテーマは、『ポーランドで運転免許を取る』です。

自動車教習所の経営は、車と教室スペースさえあれば簡単にできるビジネスのため、今ポーランドには、実に沢山の自動車学校(Szkoła Jazdy)があり、その中から値段や立地などの条件のよいスクールを自由に選ぶことができます。自動車教習所、および教習車は青字のLのマークがトレードマークですが、街中のいたるところにこのL字マークがあふれています。

   

私の自動車教習所通いは、ふとしたことから始まりました。クラクフ郊外の私の家から徒歩5分のところに、普通の民家なのに青字にLの教習所マークの看板がついているおうちがあり、「え!?ここが教習所なの?」といつも不思議に思っていました。どっからどこを見渡しても普通の住宅地だし、所内の練習コースらしきものも一切みあたらないし..(後でわかったのですが、日本のように所内で練習してから公道へ、ではなく、ポーランドではいきなり路上スタートのため、どこでも自動車教習所が開けるのためです。)

去年あたりからそろそろ運転免許を取りたいと思っていたので、5月半ばのある日、散歩で前を通ったさいに、お家の人に「免許取りたいんですけど..」と尋ねてみました。するとなんとその日から始められることになったのです!

本当は5月4日から始まっていたコースだったので、いきなり学科の三回目からの途中参加となりました。しかもまだ全然お金を払っていないのに、教科書をもらい、授業を受講できました。(この辺がポーランドらしくて好きです!)授業料はテキスト代など込みで全部で1200zl、200zlの6回払い、支払い時期はいつでもOKとのこと。とうわけでこんな感じで半ば強引に、気が付いてみたら自動車教習の日々がスタートしてしまいました。
つづく

ポーランドからの報告


ポーランドで運転免許をとる ②

2007年01月30日 | こぼれ話
私がポーランドで自動車教習所に通う際に、メリットとして考えていたのは以下の点です。(ただし世の中うまい話ばかりではなく、実際には裏話がありました。それについては後述します。)

 ・料金が安い 約1200zl=約5万円→実際にはもっとかかりました(後述)
 ・EUの全加盟で有効
 ・マニュアル車免許
 ・有効期限がない(一度とったら書き換えなし)
 ・日本の免許に書き換え可能(運転免許試験の相互免除に関する二国間取極、2004年発効)

もちろん事前に以下のようなデメリットも承知していました。

 ・免許取得までにものすごく時間がかかるらしい
 ・免許取得後、3ヶ月以上たたないと、日本の免許に書き換えることはできない

   

当初はただひたすら安上がりだからという理由ではじめた自動車教習所通いだったのですが、実際に通いはじめてから、加えていろいろとメリットがあることに気づきました。一番びっくりしたのは、生涯有効な免許をもらえるという点です。ポーランドでは、眼科医の診断期間によって、免許の有効期限がきまります。なので眼科医が生涯有効の診断をしてくれば、免許は生涯有効、書き換えなし!なんともびっくりですが、私も幸い生涯有効の免許を手にいれることができました。

またやはりポーランドでも他の欧州の国同様、マニュアル車免許の交付です。これもなんとなくお得な気がしました。(なんでもポーランド在住の某車メーカーさんのお話ですと「マニュアルのほうがオートマより燃費が良い」「オートマは高齢者が乗るもの」という考えがあるらしく、オートマ車は500台に一台くらいしかありません。)

さてさて異国ポーランドでの自動車教習所通いは、最初は恐ろしいくらいすべてがスムーズに進みました。学科の授業は、TESCO(テスコ)という郊外の大型スーパーの近くの中学校の校舎を借りての授業で、我が家からはだいぶ遠かったのですが、なにせ教官の自宅が我が家の近所ということで、毎回車で送り迎えしてもらえました。また5月後半からは路上教習も始まったのですが、これも自宅前スタート、自宅前終了となんともお手軽。「教習所通いってこんなに楽なのか!」とすっかり有頂天になってしまったのでした。

しかし後々になって、これがとんでもないハマリであることが判明したのです。デメリットもあるのは百も承知の上で始めたとはいえ...
つづく


ポーランドからの報告


ポーランドで運転免許をとる ③

2007年01月30日 | こぼれ話

ポーランドでは、学科と技能の両方に国家試験があります。自動車教習学校の卒業試験を受けてから、さらに学科と技能の国家試験を受けるのです。学科試験は22zl(1000円弱)、実技は112zl(約4500円)とポーランドの所得水準と比較すると結構高く、しかも一回落ちると一・二ヶ月待たされるので、できるかぎり落ちないようにしなければいけません。ちなみに日本の制度と違い、一発合格というシステムはなく、運転免許交付には、自動車教習所の卒業が必須となっています。

まず学科試験ですが、あらかじめわたされた486題のうちから18問出題され、16問以上正解で合格となります。この学科試験の問題はCDなどで市販されているので、家で自由に練習できます。ただ問題18問といっても、問題一題につき各3つ選択肢が提示され、それぞれについて○×判定(マークする・しない)ですので、A、B、C、A・B、A・C、B・C、A・B・Cという7通りの正解が存在することになり、まぐれではまず当たりません。ですので、実質18x3=54題の○×、うち52問正答で合格、ということになります。

  

さてこの学科試験ですが、それなりに難しかったように思います。もちろん外国人である私にとって、すべてポーランド語での授業、試験だったわけですから、難しかったのは当然としても、ポーランド人にもそれなりに難しいらしく、結構落ちる人は居るみたいです。というわけで、念には念をいれて準備していった結果、学科はなんとか一回で合格することができました。学科試験に受かったら、次は技能試験に合格すれば、晴れて免許取得です。
つづく


ポーランドからの報告


ポーランドで運転免許をとる ④

2007年01月30日 | こぼれ話

ところで「ポーランドでの運転免許取得はハマリ」と書きましたが、なにがハマリかというと、受からないんです、この技能の国家試験に!何ヶ月たっても!まず3回は落とされます。周りの経験談を聞いても、8回目で受かった人、10回目で受かった人、12回受けてあきらめた人までいて、とんでもないハマリらしいのです!一般に日本では「外国では日本より運転免許が取りやすい」というイメージがありますし、私もそう信じていたのですが、日本より難しい国もあることが判明。その典型がポーランドでした。

しかも一回落ちると、次の試験まで二ヶ月待ちで、その間公道での練習は一切できません。(日本の仮免のような制度はありません。)しかし初心者ですから、二ヶ月もたてば、習ったことをだいぶ忘れてしまいます。それでしかたなく、自動車学校を卒業した後、試験にそなえて、さらに運転技能の個人レッスンを受けざるをえなくなります。私も当初1200zl(約5万円)で済むと思ったら、この個人レッスン代がかさみ、結局トータルで約2500zlくらい(=約10万円)かかってしまいました。それでも日本で免許をとるのに比べたら、やはり格安なのでしょうが。しかしなんとも無駄が多いシステムです。(一方自動車教習学校の方は、プライベートレッスン代が入って大盛況。巷に自動車教習学校があふれているのにも納得です。)

   

元々ポーランドの運転免許試験は、おそろしく簡単でした。しかしやはり交通事故が多かったため、2000年度に試験制度が変更になり、今度は一気に難しくなってしまいました。まず所内での駐車などの基礎技能を確認の後、路上に出るのですが、受験者の70%が所内で落とされるという究極の難しさでした。それで2006年度にもう一度試験制度が改定されて、今度は所内が比較的易しく(図の枠内前進後退とハンドブレーキを使った坂道発進のみ)、かわりに路上が厳しくなったのですが、それでも所内で落とされる人が少なくありません。図をみるとあまり難しくないようにも見えるかもしれませんが、試験の審査がこと細かいのと、一度落ちると次に二ヶ月待たなければならないというプレッシャーから、脱落者が結構でてしまうのです。

あまりにも難しくて何回受けても受からず、ということで、皆どうしていたかというと、試験官に賄賂(ワイロ)を渡して、合格にしてもらっていたのだそうです。このワイロの相場は約1500zlとのことで、自動車教習学校が1200zlですから、かなりの高額です。(というか最初からこのワイロを受け取るために、試験の難易度が恐ろしく難しく設定されていたといえます。)しかしこれも昨年春までのことで、あまりのワイロ横行に困った当局は、昨年の4月から、試験用自動車に4台の監視カメラを設置し、徹底したワイロ防止策にでました。これで困ったのが、実は試験官です。いままでワイロが重要な副収入であったのを、いきなりワイロ禁止にされては、収入が減ってあがったり.. というわけで、受験生にとっても、依然として何度受けても受からない、泥沼地獄の試験になってしまいました。(落とせば落とすだけ受験料収入が増えるため。)

   

しかしそもそも、運転免許とは生活に必要なものであり、そのための試験も、落とすための試験ではなく、受からせるための試験ではなくてはいけないのに、へんな試験制度のせいで、運転免許をあきらめなきゃいけない人もでてくるなんて、なんか趣旨が本来の所からずれた所へ行ってしまっているとは思いませんか!?

結局私は、昨年5月から今年の1月末までと、免許取得に9ヶ月かかりました。これでも学科試験1回、技能試験3回で合格と、他に比べてだいぶ早い方だったと思います。何度かもうやめようかとも思いましたが、一度始めたものを途中で投げ出したくなかったので、なんとか最後までがんばりました。結局日本より安上がりに運転免許が取得できたので、結果オーライですが、この9ヶ月の間かなり神経をすり減らしましたので、人にはあまりお薦めしません。お金はかかっても、まじめに練習していればちゃんと免許がとれる日本のシステムの方が、はるかに健全だと思います。 終わり


ポーランドからの報告