いまがいちばん、あしたもいちばん

まいにちたのしい日々でありますように。。。

地域の力 Ⅱ

2009年04月23日 | ご地域
地域の力 つづき。

朝日に輝く、まだうす緑のイチゴの実たちを
おばちゃんは満足そうに見ていた。

が、次の瞬間
「ありゃ~。」
おばちゃんは残念そうな声を出すと、その場にしゃがみこんだ。

「おくさん、この実、摘んだらなあかんで。ほら、こういうの。」
おばちゃんは、黒い毛のびっしり生えて固くなってしまっている実を
指差した。

イチゴは、うまく受粉しなかったら、黒い毛がびっしり生えたまま
大きくならないので、早く摘み取ってしまった方がいいよ、というのは
このイチゴの苗をくれた、となりの奥さんから教わっていた。
だが、このイチゴはみなみが所有権をもつイチゴなので、
みなみが、それでもいいから残しておきたい、というので、
摘まずに残していたのだ。

しかし、そのような長い文章をこのおばちゃんに話す気力もなく
「へー、そうなんですかぁ。」
などと言葉を返していた。

すると、おばちゃんは、なんと、私に許可もなく
ブチブチと黒い毛の実を指先で摘み取り始めた!!

ぎゃー!やめろー!!みなみがおこるぞー!!

しかし、止めてください!とは言えない。
相手は微塵の悪意もない、ありがたいご地域様である。

黒い毛のイチゴはどんどんと摘まれていく…。
「黒くてもな、茎の細いのはもうちょっと置いといたらええ。
でも、ほら、この茎の太いのんは、もうあかん。」

さっき、人間の子もイチゴも一緒やと言っていたおばちゃん的には
この現象はどのように説明付けられるのだろうか。
毛の黒い子はもうあかん、のだろうか。。。
デキのいい子をより成長させるために、
デキの悪い子は摘み取られて捨てられてしまうのだろうか。

しかし、作業の一通り終わったイチゴのプランターは
すっきりして、なんだか、イチゴも喜んでいるようだった。
摘み取られて、プランターの横に捨てられたイチゴたちも
別にうらめしそうな様子もなく、残されたイチゴたちに
エールを送っているように見えた。

おばちゃんは、満足そうに、帰っていった。

その数秒後、ランドセルを背負ったみなみが玄関から出てきた。
摘み取られて捨てられている黒い毛のイチゴを見て
「なんで取っちゃったん!?」と大声を出した。

みなみに事情を説明し、
このほうが、大きくておいしいイチゴができるんだって、と
これまでもしてきた説明を繰り返してやった。
これまでは、それでも、納得せず、黒いイチゴも残していたみなみだったが、

みなみも、のこされたイチゴのうれしそうなのを感じたのだろう。

「そうか!楽しみやな!」
と元気に登校していった。

な~んだ、そうか。

朝日を浴びて、すっきりとしたイチゴたちは
きっとおいしいイチゴとなるであろう。

つぎは、おばちゃんのどんなアドバイスをいただけるのか、
ありがたいような、もうええような、
どちらかというと、もうええと思う私である。

いまがいちばん あしたもいちばん!

地域の力

2009年04月23日 | ご地域
久しぶりの地域ネタである。

毎日の生活の安心安全の確保には
地域の住民どうしがお互いに関わり合いをもち
安心安全を与え合っていくことが必要である
ということは、以前にも書いたが、
この、地域の住民どうしの関わり合いというのが
なかなかビミョーであり、またビミョーなところである。

昨日の朝は、おひさまキラキラとっても良いお天気。
子どもたちの登校を見送るために
先に玄関先に出て、伸びてきたツタや、エゴノキの枝を
はさみで切っていた。

すると、いつもこのあたりを犬の散歩で通られる
おばちゃんがわんちゃんとともにやってきた。
「おはよう。」とおばちゃん。
「おはようございます。いい天気ですね。」と私。
おばちゃんは、みなみがプランターに植えているイチゴを見て
言った。
「わー、ぎょうさん実ィつけとるなあ。おおきぃなってぇ。」
「はい、おかげさまで~。」
「でも、あかん。おくさん、イチゴ、陰になっとるやんか。」
イチゴのプランターの前にゴールドクレストの鉢植えを置いているのだが、
それがじゃまになって、イチゴに朝日が当たっていないのだ。

「この木、こんなとこ置いとったらあかんわ。
果物はな、朝日に当てたらなあかんねん。
南のお日さんよりもな、果物には東のお日さんがええねんから。
人間の子どもも一緒。朝おきて、朝日に当てたらなあかん。
朝日に当てたったら、人間の子どもも果物もよぅ育つ。」

そうか、なるほど、たしかにそうだな。
そう思った私は、ごそごそと、ゴールドクレストの鉢植えを
移動させた。

「ほら、よう東のお日さんが当たるようになった。
これで、イチゴもよぅ育つで。」
おばちゃんは満足そうに言った。

しかし、おばちゃんのアドバイスは
これだけでは終わらなかったのだ。

つづく。

いまがいちばん あしたもいちばん!