あらしのよるに

少し前の話になるけど。

先日の台風の日の夜。

いつもなんだかんだいいながら大したことない風雨で
通り過ぎていくので
とくに災害グッズを用意したりしてなかったのだけど

さすがに先日は心配で

ラジオを枕元に置いて寝ることにしました。

みなみは音楽を聴くときはいつもCDやPCだったりするので
こちらの要求とは関係なく音楽が流れてくるラジオが
とても新鮮だった様子。

電気を消した暗い部屋で、楽しそうにラジオのチューナーのダイヤルを
くるくる回していました。

すると、どこかの放送局から
カーペンターズが流れてきました。

みなみは、ダイヤルを回す手を止めて
しばらく聞き入っていました。

「おかあさん、ええ曲やったなぁ。ぼく、さっきの曲好きやわ。」
「カーペンターズっていうよ」
「ふうん、ほかにもカーペンターズ流れへんかなぁ」

と、みなみはまたダイヤルをくるくる回して
カーペンターズを探していました。

と、ふと、みなみは手を止めました。

「おかあさん…」

流れる曲は、「大人の夜」とでも言いたい、ナイトジャズ。
色っぽコト極まりない。

「おかあさん、この曲、ええなぁ」
「へー、こういうの好きなん？」
「うん…。」

「おかあさん、なんだかチューしたくなってきた…」

って、なんやねーん！！！！
おかしいやら妖しいやら！！

コイツの感性、ハンパないぞ！


その後、毎晩、みなみは、こっそりと
今晩も色っぽいナイトジャズを探して
ダイヤルをまわしています。


いまがいちばん　あしたもいちばん！