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シカゴのデビュー・アルバムに収録されている「ビギニングス」(ロバート・ラム作)は現在もライブには欠かせない初期の代表曲です。
12弦ギターの爽やかなストロークから軽快に紡ぎ出されるリズム隊、それに追随する抑え気味ながらもメロディアスなホーン・セクション、ボビーの心ときめくラブソングが徐々に白熱して後半はトロンボーンとトランペットによるソロ・バトル。
ライブでも一際映えるナンバーです。
海外では手に汗握る見せ場でもありますが、日本では「長い夜」「クエスチョンズ67&68」「僕らに微笑みを」のインパクトがあまりにも強烈なので、その間にシングルカットされたこの「ビギニングス」は残念ながら印象が薄い立場に甘んじています(もちろんライブでは盛り上がりますが)。
たしかに、あのシングル盤の編集では仕方ないかも・・・(おいしいところがあちこち見事に削ぎ落とされています。暗黙の3分間オンエアー制約ではああなっちゃうんでしょうね)。
ここに紹介する3枚の「ビギニングス」カバーはそれぞれにユニークでそれほど違和感もなく好感度大です。
写真下段はブルー・ノートきっての人気ジャズ・ピアニスト、ジーン・ハリス(1933-2000)ソロ名義による代表作「アストラル・シグナル」。
スリー・サウンズのリーダーでもあったジーンはこのアルバムでバックにチャック・レィニー、ハーヴィー・メイスンの鉄壁リズム隊、デヴィッドTウォーカー、アーニー・ワッツらを従えて軽快な鍵盤さばきを披露。
あらゆるエレクトリック・キーボードも駆使しつつも全12曲を堂々の熱演。
こんな名盤を1974年8月13日のたった1日で録音したということですから驚きです。
9曲目に収録の「ビギニングス」はジャジーなピアノを中心軸に据えてあまりにも渋い低音ヴォイスで歌い上げる中をゴスペル調女性コーラス隊が彩を添えてくれます。
他にもCCRやスライ&ザ・ファミリー・ストーンもカヴァー。
写真右上段は天才ベーシスト、ジャコ・パストリアスが無名時代に在籍していたブラスロックバンド「トミー・ストランド&ジ・アッパー・ハンド」(死後に発売された日本独占盤)。
音質は決して良好とは言えませんが貴重な代物には間違いありません。
1971年フロリダ州フォートローダーディルのナイトクラブ、バチェラーズ・スリーにおけるライブ。
全10曲収録(2曲のボーナス・トラック含)。
ジャコは新妻との間に生まれた初めての子供との生活のため、このトップ40売れ線志向バンドに加入。
しかしすでにジャコの個性あふれるベース・ワールド全開。
決して前面に出て弾きまくっているわけではないのですがハーモニクスやその独特のトーン、フレーズに未来の大器夜明け前臭プンプン。
「ビギニングス」は3曲目に登場しますがアレンジはほぼオリジナルに忠実。
後半でまたイントロに戻り1番の歌が再度始まりエンディング。
こういうパターンもありですね。
若かりし無名時代のジャコが嬉々として楽しんでいる情景が目に浮かんできます(会場の冷めた反応が気になりますが)。
他にもウィリー・ディキスン、BS&T(!)、スライ&ザ・ファミリー・ストーン、CCR,ハーヴィー・ハンコックのナンバーも収録されていますが、なんといってもびっくりしたのが8曲目の「ファンキー・ブレイク・ソング」でしょう。
「シカゴと23の誓い」4曲目収録「僕らの国」のエンディングが1:31にびっしりと詰め込まれています。
唸っちゃいますよ、このセンスには。
これってどう言い訳しても「僕らの国」でしょう。
最後上段左はあまりにも有名なボサノバの女王アストラッド・ジルベルト(世界的大ヒット曲「イパネマの娘」のボーカリスト)、1969年発表の「セプテンバー17,1969」です。
全11曲収録のトップに「ビギニングス」が登場。
あのセクシーなスィート・ヴォイスで囁くように歌われています。
まるで耳元で口ずさんでくれているかのよう。
アレンジはラフながらもアストラッドをフユーチャーしつつ原曲の再現に力を注いでいます。
8分以上にも及ぶグルーヴィーかつスリリング&ワイルドなトラック。
後半ではラテン調のリズムに切り替わりフェイドアウト。
他にもビージーズ、ビートルズ、ドアーズ、ニルソンなどのカヴァーも堪能できます。
写真の中心バックにあるレコードはこのアストラッドの「ビギニングス」アナログ輸入33回転盤。
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