昨日1月31日、ついにBrexitが現実化。
Brexitこそイギリスの独立だとお考えの人にとってはこの上もなく喜ばしい日。
そんな話じゃない、と考える向きにはこの上もなく困惑させられる日。
ということでイギリス内の混乱は続くでしょう。
ただ、現状、保守党のハンドリングが気に入らない、この先歯止めなく新自由主義的になるんだなといった点からEU離脱を嫌悪している人でも、でもでもでも、私たちはブリッツ、大陸の人ではないのよね、という落としどころに気づく人も増えると思う。つまり、結果的には、もう元には戻らないであろうと思う(80年先は知らないけど)。
逆に、イギリスという良くも悪くも声のデカい、うるさい国を失ったEUはこれからどうなるんのだろうかといった方に今後は注目でしょうね。
ドイツが中心というのは、結構難しい。フランスとドイツが一緒にというのがまた問題。フランスと一体感のあるドイツは西のドイツなので、東部ドイツ以東の一帯には統一感は及ばないのではあるまいか。例として、オランダ人にとって、ブルガリア人よりもイギリス人の方がよほど近しい、みたいなことを考えてみればわかる。逆も同様。といった歴史地理を考えると東西は割れていく確率が高い。
割れないとしたら、ロシアの声を反映させるぐらいしか思いつかない。フランスとロシアに挟まれたところがヨーロッパ、みたいな恰好。
■ スティール報告書は終わりっぽい
そんな中、1月26日に、英Timesに、クリストファー・スティールの報告書は大半は嘘だと結論してる人がいます、という記事が出ていたので記録しておきたい。
Ex-MI6 spy ‘fabricated dossier on Trump and prostitutes’
https://www.thetimes.co.uk/article/ex-mi6-spy-fabricated-dossier-on-trump-and-prostitutes-wz2hr8zz7
記念にスクシャ。
記事の内容としては、元MI6のスティールの報告書を調べてくれと米共和党から依頼されたNigel Westが、このスティール報告書の大半は嘘だったと結論した、という仕立て。
しかしまぁ、大半は嘘だというのはもう既に当初から知られていたわけで、それをロンドンのTimesが認めた、というのがここの意味ですね。
スティールの報告書というのは、トランプはモスクワで売春婦と関係してたとか、ロシアとの間で個人的な利害があるとかなんとかいう、いかがわしいような内容なんだが、主要紙がなんだかしっかりした報告書のように扱っていたその元ネタ。
民主党全国委員会(DNC)とクリントン陣営がトランプのネタをかき集めるためにある会社を使い、その会社にスティールなどが関与していた、という恰好。
これは既に翌年2017年頃には、だいたい理解されていたわけだけど、この手の話には尾ひれがつき、また、主要紙がしっかり否定するまでには及んでいないのでまだボヤとしては存在している。
まぁ最近の西側手法ってみんなこの調子だからね。適当なことを振りまいて、話を作って、否定されてもそのまま下火にしておいて、またどこかでボヤに火を付けるみたいな。
アルカイダだって、15年ぐらい前には戦争するぐらいの敵の名前だったと思うんだけど、今ではどうでもいいものになってる気がする。あははは。
とはいえ、タイムスがこのタイミングで書いてきたということはBrexitを前に、UKの情報機関というか奥の院の手下というか、そういうところが、トランプ政権との関係に配慮した、屈した、諦めた、みたいな感じなんじゃないですかね。2020年のトランプの負けはないだろう、ってことで。
それを受けて、米共和党の議員は、このスティール報告書の依頼主である米民主党本部、DNCを訴えることにした模様。
Carter Page is Suing the DNC For the Steele Dossier
https://news.yahoo.com/carter-page-suing-dnc-steele-144600637.html
DNCこそ解体されろ、と思ってる私としてはこういう動きは歓迎するけど、でも、米は民主も共和もなく腐ってるから、これもまたどうでもいい話に流れる確率は高い気がする。そもそもアメ人が興味を失ってると思う。
アメの政治にはもはや誠実さとか本気といったものはない。というか、そういうものを表現して国民がある程度団結してついて行く、みたいな恰好ができなくなった。誰かが正直なことを言っても、多分人々はついて行かない。どうするのか知らないし、この余波がどんなものになるのかも知らないけど、でも現状そうだと思う。シニシズムって怖い。
この状態だし。
そしてプロパガンダが残った
■ 帰って来たロシア@欧州評議会
上で、ロシアとヨーロッパの関係の話を書いたついでに、PACE(欧州評議会)議会での模様をちょっと。
最近、ロシア代表が、第二次世界大戦に対する修正主義と戦う旨をOSCE諸国に宣言させるべきであると主張してる。
Russia to urge OSCE to sign declaration on fighting WWII revisionism
https://tass.com/politics/1115189
例の、ヒトラーとスターリンが第二次世界大戦の原因です説に対するロシアの反論の一環ですね。やっぱり、ヨーロッパ人にしっかりしてもらわな、というところ。
PACEにおけるロシアの議席は、2014年のウクライナ危機の時に一方的に議会が権利を剥奪するというよう、かなり怖い恰好になっていたのだが、去年2019年6月に回復して、以降、順々に元に戻ってる。
欧州評議会議員会議ロシアの議決権回復&カスペルスキー
というか、EU側はウクライナのクーデターみたいなアホなことをしたおかげで、結果的にはロシアの立場を強めたと思う。だって、あまりにもあまりにもあまりにも、お馬鹿な人たちを使ってクーデターやってウクライナを奪取し、その愚かしい人たちの主張を表面に持ってこられて、そうです、と言える国や代表は少ない。
ああいう、すべてはソ連が悪い、すべてはボルシェビキが云々に帰結させるネオナチ/ナチシンパの言説というものは、影にまわって、「ほんとはね・・・」みたいにして使っている時にはパワーかもしれないけど、では正確にはどうでしょう、と来られたら理性ある人たちは賛成できないものが殆どでしょう。
稲田朋美は支持者を前に「国民の生活が第一なんていう政治は間違ってると思います」と言って拍手を浴びたりするわけだが、これを国会で言えるのか、となるとまぁ、やってみて・・・ってなるでしょ。そんなようなもの。
ということで、戻ってきたロシアは前より立場強いと思う。いろいろと。
ちなみに、ついこの間、欧州評議会議会の中の選挙があって、ロシア代表が副議長になってた。
Pyotr Tolstoy of Russia elected PACE Vice President
https://tass.com/politics/1113909
このおじさん。このピョートル・トルストイさんは、あのトルストイのひ孫だそうだ。
UK & USの欧州大陸でのグリップが弱体化するというのは、逆にいえば、ヨーロッパが面白くなる!と考えてみることもできると思う。
どうなるのか。まぁ少なくとも「歴史の終わり」とか言った奴はホンマもんのアホやったなとしみじみ思う。
(1)西側社会(支配層)のモラルが崩壊している.もっとも、彼らは昔から腐敗していて,それが露わになって来ただけなのだが.(2)トランプの頭も狂いだした.何を考えているか,予想が困難.核戦争になっても構わないとでも思っているふしがある.(3)民主党の党員の頭もおかしい.議院内閣制でもないのに,トランプの政策を批判,弾劾しようとしているのだから.憲法では,違法行為があった場合にのみ弾劾できると定めてあり,違法・適法の判断は厳格な立証手続きによるべきものであって,(この件での如き)伝聞証拠で人を有罪にはできない.昨年暮れの弾劾聴聞会はひどいもので,証人たちは愚痴を並べているだけ.(4)彼らは、自分の憲法を知らない.(5)アメリカは国内問題でも,国外問題でも,もう何でもあり.(6)プーチンの憲法改正提案は面白い.二重国籍者から政府高官資格を排除するのは当然.一部の有力者だけが二重国籍を許されていることの方がおかしい.もっとも,外国に永住権を持っている者からの資格排除には,工夫の余地がある.あなたのように配偶者が外国人の場合は,こういう人は多いのだから.