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異例ずくめの世の中 → ナラティブ管理崩壊極東編

2024-02-12 17:06:38 | WW1&2
ブログの更新をせずにいる間に、世の中ではいろんなことが起きている。

今年は、年が改まったその日に能登で大きな地震があり、多くの人が亡くなった。そしてこの震災を巡っては、対応のあまりの異常さに人々は驚き、今も困惑している。政府の初動が遅かったというのみならず、能登に行くな、入るなというsns上の騒ぎがあった。これは一体なんだったのだろう、誰が仕掛けたものなのだろうかと不審に思うし、石川県の対応もよくわからない。能登半島の人たちの苦難を思うとやりきれない。

能登半島地震から6週間 今もなお2万人余の厳しい避難生活続く

発災から2週間目には、防災学者の先生が対応が上手くいってないことを指摘して、改善を促したのだが、それが正面から受け止められた気配もない。

「初動に人災」「阪神の教訓ゼロ」 能登入りした防災学者の告白

何か巨大な理由があるのか、それとも単に無能になってしまったのかと問いを重ねている人が散見できる状況がまだ続いている。


その間、年末来活発になっていた、いわゆる裏金問題が留まるところを知らず、年を明けてむしろ拡大していった。

日本の国会議員は裏金もらって帳簿付けをせずとも(しないから裏金なんだが)、特にお咎めがないのが仕様であるらしい。

一説によれば3000万円まで無問題であるらしく、これが全国民に等しく適用されるルールであるのなら、大多数の国民はもはや事実上納税せずともよい、となるのではないのかしら。

これはもう、単なる政治家の誤魔化し問題を超えて、税務当局の規律の問題だと思う事態だと思われるが、特に、当局からの発表、解説、言い訳などはない。逆に、ジャーナリズムなるものとか識者等々が、これでいいのか国税当局、と疑問を突きつけるみたいな動きもない。


また、外国の邪教集団に応援してもらうことの対価に、憲法改正を含む諸項目を飲んじゃう国会議員が与党に多数いることが判明。

こんな文書が出回っている。いきなり、「憲法改正」と「安全保障体制の強化」ですってよ。




さらに、これらの出来事を追求しているはずの野党第一党が、注目度の高い地方選挙で、与党に相乗りして勝った勝ったと快哉を上げるという事件が発生。多くの人の立憲民主党への失望と、ある種の「目覚め」が発生した。



大変嬉しそうな立憲民主党福山哲郎氏(右)


この京都市長選挙は、自民、公明、立憲民主、国民民主の大政党と地元財界が組んだほぼほぼ完全翼賛候補 vs 市民ネットワーク+共産が主な争いで、この組み合わせにもかかわらず、あわや後者の福山氏勝利かという思わせる勢いがあり、それが故にさらに注目度があがった。

これはつまり、金のかかる選挙って何だろうという事例ではなかろうか? 

金の持ち高では比べるも馬鹿らしい差だろうし、投入資金量だけ考えても、原子力潜水艦 vs 近海漁業の漁船ぐらいの差はあるでしょう。でも接戦になるのよ。

こうした選挙が行われる中、テレビも新聞も「選挙には金がかかる」という与党と与党になりたいだけの野党第一党(通称「自民その2」)の言い分を垂れ流しているわけだが、ちょっとは脳みそを働かせてみたらどうかと思う。


■ どうしてこうなった

で、このへんな動き、なにか、機能しているのかいないのかわからないような状態は、一体どうしてこうなったのだろう。それぞれ個別の事情もあるだろうけど、全体として大きく2つのことが通底しているのではなかろうかと考えてみる。

1つは、内閣人事局を作ったことによる害。どうあれ国の隅々まで把握して公正な行政を目的に良くも悪くも自律的に存在してきた組織が動かなくなっているのではないのか、ということ。



この禍々しいまでに怪しい字体で描かれたこの局は、2013年、第2次安倍内閣が提出し、2014年に可決・成立した「国家公務員法等の一部を改正する法律」によって内閣法が改正されたことによって、2014年5月30日に設置された。 

いろいろ難しいことを諸先生方は述べるのだが、ぶっちゃけ、これによって、人事が内閣の思うがままとなり、かつ、言うこと聞かないとエライ目にあうという措置までついてる・・・という設計になってしまったと言われている。なぜなら、内閣人事局長さんが警察官僚だから。知らない方は、ざっとwikiでも見てみましょう


で、これによって、結果として、公務員集団が持ち場の目的と機能を自律的に発揮することができなくなり、つまり、上がどう指示するのかだけが気になる、いわばヒラメの大群となってしまったって感じ?

そこで思い出すのが、2017年に福田さんが、かなり思い切った発言をされていたこと。それが深刻になってきてるんじゃないのかなと思う。




こういうのって、設置時から全部が一気に変化するってもんではないわけでしょ。言ってみれば、設置した当の本人の安部ちゃんの内閣では、それ以前の仕組みが生きていた。そこから10年経って、もはやそれ以前の仕組みの良い意味での慣性、惰性、これはこうあるべき、公務員たるべきものこれこれしかじか、という態度が失せてしまっているのかもしれないと考えてみて悪い理屈はないように思う。


もう1つは、勝共連合=統一教会(協会)問題は紛れもなく大ごとである、ってことがそれ自体隠せなくなったのではなかろうか。

昨年、安倍首相が亡くなった時、いくつかの放送局、新聞社が、統一教会というものがございまして、反共を目的として日本の首相連中が深く関与してまいりました、みたいな記事を書いたり、番組を作ったりしていた。それはそれなりに、事実関係が明らかになったことはよかった。

個人的には、写真でしか見たことがなかった1970年の世界反共連盟(World Anti-Communist League、略称WACL) 東京大会の映像を見て、おおおおっと感激した。


その頃のブログ記事はこのへん。

そしてプロパガンダが残った (4):官製デマクラシー


が、あれは、「コントールした開示」だったんじゃないのかしら。

高額のお布施を取られたり、集団結婚をしたりといった被害者の問題だけですまそうとした。他方、この団体によって日本社会がどのように影響を被ったのかについては殆ど無視していた。




そもそも、勝共連合は無茶苦茶に政治的な事情から日本に入り込み、日本の重要人物らが、都心の一等地にお迎えしているわけだから、政治的でないわけもないのに。

しかし、裏金問題でクローズアップされていくる議員の面々を見ると、壺くさいったらありゃしないわけだし、その間に統一教会に解散命令を出すべしと国民の大多数は思っているが、進んでいるんだかいないんだかよくわからない状態となっていた。

国民多数の政府への不信感の根底にはこの統一教会問題があることは明白であるにもかかわらず、政府も主要紙もみんなしてお茶を濁してきた。

そんな中、裏金問題の最中に、

盛山文科相、旧統一教会系から選挙支援 21年衆院選 関係者が証言

盛山正仁文部科学相が2021年の衆院選で、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)の友好団体から推薦状を受け取り、団体が選挙支援をしていたと複数の関係者が朝日新聞の取材に証言した。盛山氏は宗教法人を所管する文科省のトップとして、昨年10月に教団の解散命令を東京地裁に請求している。

というニュースが飛び込んできた。当該団体を所管し、東京地裁に教団の解散命令を出したはずの文科省のその大臣が、当該団体と縁浅からぬ人だったというお話し。

そこから、上で上げた「推薦確認書」らしきものがsns上に出回る事態となった。どこから出てきたのか不明だけど、ガセだという話しも見ない。

多分、フォーマットとか内容の一部に多少の変化はあるかもしれないけど、こういう感じものものが存在することは、国会議員集団や取材チームにとってはよく知られたものだったんじゃないのだろうか・・・。知らぬは国民ばかりなり。


■ ナラティブ管理崩壊極東編

で、私たちは何を見ているのかといえば、これはつまり「ナラティブ管理崩壊」の極東編なのだろうと思う。

私はロシアとヨーロッパ(後継としてのアメリカを含む)の悶着は欺瞞もいいところの「正史のナラティブ」によって描かれていると考えてきたわけです。

冷静に見れば中世史の描き方からおかしいんだが、そこは置くとして、今日最も重要なのは、ナチを破ったのは実質的にソ連であるにもかかわらず、そこを無視して、アメリカだけが一人でドイツも日本も破ったみたいなナラティブが横行していること。

さらに、その派生として、ソ連邦の領土とその隣接地であるポーランドあたりで夥しい数の人が殺された連続した事象の中から、ユダヤ人だけを抜いて、どこでどんな状況で発生したかも、それを最終的に終わらせたのは誰なのかも不明な物語を作りそこにホロコーストと名付けた。これがこのブログ的にいう「西側謹製ホロコースト」。

で、プーチン率いるロシア政府の各員とそれを理解して従うロシア国民の奮闘により、このナラティブ管理体制は2020年頃に少なくともロシア世界では崩壊した。つまり、シンプルに普通に語る空間が確保された。

ロシアのメディアも研究者も多数の記事を書き、プーチンやラブロフは世界中を駆け巡る中で、様々な角度から話しをした。ものすごい時間をかけて話した。

1年後:2020年 the Westのナラティブ管理崩壊年

2020年:the Westのナラティブ管理崩壊年
https://blog.goo.ne.jp/deeplyjapan/e/217d0741dc04817d0941fa34b6b3de33

あわせて、ソ連邦を含めてロシアが持っている第二次世界大戦関連の資料を大量に公開している。ニュルンベルク裁判のファイルもデジタル化して公表したりしてた。


というわけで、日本では、この余波に押されるようにして、開かないわけはいかない戦後政治のぐじゃぐじゃが漏れ出しているって感じじゃないのかしら。

去年ちょっと書いたこのへんのこと。

戦後政治の舞台裏シリーズが表に出ているの巻

簡単にいえば、1945年以降の世界において、いわゆる西側諸国はファシスト反動勢力みたいになっていたって感じじゃないでしょうか。本来、1945年のソ連の勝利によってファシスト勢力は敗北していて、以降国際協調路線みたいな世界が構築されているはずだったわけですが、さにあらず、だった、と。

このファシスト反動のピーク時が、ベルリンの壁崩壊じゃないですかね。よく考えるとよくあんな馬鹿な話に乗ったものだと言うしかない。ドイツが東西になっていたのはソ連のせいというより、ドイツ国内で親ナチ派と反ナチ派が妥協できなかったからでしょう。反ナチはヒトラーによって追い出され、欧州各地に逃げ、その中でソ連に逃げた組がソ連勝利と共にドイツに戻って出来たのが東ドイツ。

それをソ連のせいにして、ソ連を敗者にして(どんな理屈やねん)、勝ち誇ったのが90年代。そこから911が来て、いってみれば全世界コントロール計画みたいな感じになったが、2007年にプーチンが、一極支配など成り立たないと抵抗を宣言し、以来今年で17年西側とロシアが戦争している、みたいなもの。

しかしその間に、他地域の勃興もあり(もちろんロシアの戦略的な支援もあり)、西側はロシアに対する勝ち負けの問題以上の問題に直面し、ほぼ西側支配の構造が崩れました、といったところが現状だと思う。

ここで日本人がぬか喜びなんかしてはいけないのは、日本はこの西側支配の中の結構大きなプレーヤーなので、西側支配の構造が崩れれば自分たちも沈む側だということ。日本の中には、西側が強いといえば自分も気をよくし、西側が非難されると、だから欧米はけしからんと言い出すという、ご都合主義もたいがいにしろと言うしかないメンタリティの人が結構多い。


■ 今後の研究課題

で、今後、戦後の日本を解きほぐすことになっていくわけですが、これがほんとになかなか大変なこと。

いろいろ考えてきて最近一番問題じゃないのかと思うのは、1945年以前の日本の体制は、今日でいえば純粋観念論に基づくカルト体制で、多くの国民が自覚的に満足していた体制ではなかったという点の理解が失われつつあるってところじゃなかろうか。

これは、昭和の人たちは、もうあんな時代は嫌だという言辞の中ににじませていた了知だったんだと思うわけですが、そのような暗黙の了知が、例の「つくる会」教科書だのなんだのの中で消されている感じがする。

これによって、なぜ1945年から1947年憲法の成立まで、大した混乱もなく(あったことはあったが)推移して、その後もこの憲法体制を堅持できたかの大きな理由が失われ、それが、改憲すべきだったのにGHQのせいで、とか、おかしな左翼のせいでできなかったみたいな適当な話しを呼び込む土壌となったと思う。

護憲派のひとは、日本の拡張戦争(外国から見た時には、軍人がしゃしゃりでちゃう軍事主導主義)の失敗を悔いて、もうあんなことは嫌だ、9条護憲だ、憲法護持だ、というロジックで語る方が多いと思うんですが、それだけでは不足じゃないのかしらと思う。

80年代、90年代になるとそこしか争点が見えなくなっていたかもしれないけど、70年(戦後25年)ぐらいまでは、敗戦したレジームの賛美、正当化をする勢力、すなわち「復古派」との戦いという側面が重要なモチーフとして政治の中に存在していたと思われる。


今般、京都市長選のあまりの異常さに(特に、素手で便器清掃することを推奨する人々の存在に)驚きつつ、1つ興味深いことを発見した。

それは、革新自治体というものが結構な数あったが、これが70年代に相次いで倒れたという事象は、どうも偶然ではなかったのだという話し。

革新自治体を倒す作戦名は、「T.O.K.Y.O作戦」といったらしい。
wikiの革新自治体の項によれば、

1974年の田中内閣当時、革新自治体を嫌悪していた自治省が企画し、5年ほどかけて大規模な革新自治体を潰していく作戦。T.O.K.Y.Oとは、T=東京都(美濃部亮吉知事)、O=大阪府(黒田了一知事)、K=京都府(蜷川虎三知事)、Y=横浜市(飛鳥田一雄市長)、O=沖縄県(屋良朝苗知事)の5革新自治体であり、最終目標はその頂点に位置する東京都知事のポストを保守陣営が奪還することにあった[18]。革新自治体における財政問題や人件費問題などを俎上に挙げた[19]。


これは、政府自民党が二番目に大きかった社会党を巻き込んで、革新自治体潰しを画策して成功した話という点では、共産党と敵対する反共政策と見ることができる。

そして、これは、1979年というビッグ・イベント目白押しの年を迎えるにあたっての日本の再編事情と読むことができる(「サイクロン作戦」はほんとにビッグ・イベント)。ってか私はそう読んでいこうとお勉強中。

しかし、同時にこれは、アメリカさんなんかの思惑とは関係なく、日本国内の復古派にとっての重要事だったのかもなとも思ってる。それは住民自治の重要性の強調こそ戦前と戦後を分けるものでもあるから。ここで、主権者国民としての私を習いましょうという構造でしょ。

外部環境的な思惑に乗っているようで、内的にそれをチャンスと思っていた、復古的な頭の人たちがいたからこそ上手く動いたんじゃないのか、ということ。

(先回りして書いておくと、私は人権を重視して人々がちゃんと暮らしていける社会を作るのに、日本国憲法+地方自治法のやり方しかないとは全然思ってない。むしろ余計なお世話だろうと思う国と地域があっても不思議としないし、当然だと思う。だがしかし、日本の場合、カルト体制を解くのにどうしたらよかったのかといえば、当座他に手はなかったのだし、これは有効だったと考えるしかないんじゃないか、と思うわけです。)


ということで、今年もまた、いろんな、え、そうだったの!がいっぱいありそうで、それは楽しみのような、大変なような・・・。でも、閉ざされた言語空間よりはずっといいんじゃないかと思う今日この頃。



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能登半島地震地震の不思議について (宗純)
2024-02-14 10:43:12
同じ震度7の直下型地震でほぼ同じ人数が死んだ熊本地震に比べて(実は直接被害者数は熊本地震はたった50人)
政府(岸田首相)も県知事(馳浩)も同じで、能登半島に来るな「邪魔だ」被災現場に入ることを、災害救助の自衛隊を含めて徹底的に排除していた不思議ですが、
能登半島が一番狭まっている志賀町にある北陸電力の志賀原発が危ないと判断した可能性が高いのですから???フクシマ核事故以後13年も止まっているのですよ。
志賀町の揺れの最大加速度は2826ガルだったが、志賀原発1号機の原子炉建屋地下2階の最大加速度は399.3ガル。志賀原発の耐震基準1000ガルを大幅に下回っている。と発表したが、
ところが、その後、1号基918ガルの想定に対し957ガル、2号基846ガルの想定に対して871ガル
誰にも分からないよう密かに修正していた。ひょっとすると志賀町の最大加速度は2826ガルと同じだった可能性も十分にあり、それなら無茶苦茶な、誰も能登に来るなとの政府や県庁の態度も納得
宗純さん、納得です (地球戦国)
2024-02-17 05:18:52
志賀原発、定期検査で稼働はしていなかったという事だそうですが、この定期検査が時に曲者と福島原発大惨事、岩田清さんのXで当時知りました。ひょっとしたら、福島同様にカネに目がくらんで、危険な内職を手掛けていたという事はない事を。

もし内職中だったら第二の福島の危険性も否定はできませんね。

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