7時のニュースを見たら、横田さんのお父さんが亡くなったというのがトップニュースだった。
北朝鮮と国交を樹立してそれなりに行き来ができるようになっていたら、もっと別の人生もあっただろうにと思った。
思いつつ、日本というのはなんという閉鎖的な社会なのだろうかとも思った。だって、そんことを思いつく人はそんなに珍しいことでもないだろうに、メジャーな舞台に出ている人は誰も言わない。
東西からナチスと一緒にソ連を攻めたことは誰だって普通に考える能力がある人だったらわかるのに、75年かかってもそんなことを言い出す人はまったく稀。
これは結局、コアの部分で社会的にまったく自由でないため、人々の考える範囲が拡大されないのだろうと思ったりする。これはいかんよ、ほんと。
など思いつつ、さらに気づいたのは、そういえばアメリカのデモまたは騒動の話がニュースのラインナップの中になかったんじゃないかと思う。多分(あまり真剣に見てなかった)。
これはやっぱりアメリカ人が今最も困惑しているネタですよ。きっかけがヤラセだろうが、はせ参じたくなる人たちがいることは一応本当。
だがしかし、結局またまたデモクラッツ臭くなってきたところで、げんなりする人あり、逆に、それを攻撃するのを喜ぶ人ありという感じで、総じていえばアメリカの中がぐじゃぐじゃになってる。
そこにオバマあたりが出てきて、なんだか聞いたふうなことを言い出して、さらに吐き気をもよおす人あり、みたいな感じ。オバマは地獄にさえ行き場のない狂人。
■ ノルドストリーム2妨害活動は死なず
そんな具合にアメリカの中が忙しいはずのアメリカさんだが、ノルドストリーム2への妨害がまだ終わってない。
ノルドストリーム2に関係する業者も、港使わせる業者も、保険業者も全員アメリカの制裁対象だ、とかいうアホ丸出しの法案を米上院が出そうとしている模様。
前から欧州勢は、アメリカのこの、法域を侵して他国に介入することをへんだと思わない傾向を非常に懸念している。
当たり前だが、アメリカ国法が他国内の業務を罰するとかいう仕様は、法の一般的な解釈を逸脱している。
以前は、こういう逸脱行為を、人権問題に限って仕方がないのだ、みたいなフォーマットでやっていたのだが、過去数年は純粋な商行為にもかけてくるので、実は欧州側ではこういうアメリカの秩序破壊行為は評判が悪い。
とはいえ、お前おかしいといって済む相手じゃない。相手は法なんか暇人の戯言としか思ってない野蛮人だ。
そこで、お前がそうなら、ウチも報復するぜ、とロシアが言うのは平常営業だが、ドイツが言い出しているのが今日興味深い。
ノルドストリーム2に上記の制裁を掛けてきたら、ドイツもアメリカから輸入する天然ガスに課税する可能性あるからな、だそうだ。
Berlin May Retaliate to New Sanctions Against Nord Stream 2 With Duties on US Gas, Lawmaker Says
ドイツ連邦議会エネルギー委員会の委員長クラウス・エルンスト氏の発言だそう。エルンストはSPDからディーリンケに行った人。
Die Linke party lawmaker and chairman of the Bundestag committee on energy matters Klaus Ernst has announced
メルケル政権が本当に出来るのかどうか知れたもんではないけど、左側の支持があって、実際には産業界が強いプッシュをしているんだから、目立った反対者はいない恰好ではなかろうか。
基本的にノルドストリームは守るという点でドイツは概ねこれまでブレてないので、最低でもこのぐらいぶち上げて対策を考えるってのはありだと思う。
ちなみに、アメリカは欧州に天然ガスを売りたいのは本当なので、ポーランドに港作らせてそこでLNGを輸入させる恰好になってる。経済合理性を圧倒的に度外視して買わせる。ポーランドはEUの補助金をもらってる側なので、この分は結局EUが払うようなもの。どこまで続けられるものか、ここも結構見もの。
■ シベリアの力は順調
他方、東の方では、ロシアと中国の間の「シベリアの力」天然ガスパイプラインが、昨年2019年12月に稼働を開始し、ぼちぼち供給している模様。
Russia supplies 1.58 bcm of gas to China via ‘eastern route’ in six months, says agency
https://tass.com/economy/1164109
この地図では中国内がわからないけど、結構真ん中から南にかけて引き入れていってる模様。
また、この稼働したのが通称「東ルート」で、2本目の「西ルート」も提案されているがこっちは現在ルートを考え中の模様。
この計画は実現するまでは、そんなに天然ガス要らないだろうみたいな説もあったけど、でも、アメリカがああも喧嘩腰になると、海上を通るLNGのリスクは絶大に大きくなるわわけだから、背中から輸入することは、安全保障上絶大にプラスだ、となる。
ってことは、将来的に中国の需要が伸びて、かつ、安定していって、さらにトルコの分の供給も結構なボリュームだし、東では韓国、北朝鮮なんかもここに加わったとしたら、ロシアにとって欧州は、
お前がそんなに俺を嫌いなら、俺は別に供給減らしてもいいよ、となるオッズが、日に日に、ちょっとずつ大きくなっていく、と読むべきでしょう。
そうすると南ヨーロッパはもし条件が整えば(これが大変なわけだが)リビアから入れるのが最も安価。
イスラエルとかトルコを経由させるものは、果たして、それってロシア直通と比べて安全、安心なのか???? アホなんじゃないのか、ヨーロッパ人という図が実はここにある。わはははは。
ということで、ドイツは馬鹿なことをやっていたら産業を捨てる羽目にはる、という考えから是非ともロシアとの関係はほどほどに良好に、最低でも商売が成り立つようにしておきたい、ということだろうと思う。
コロナ騒ぎの中で、コロナ前には戻らないだの新しい生活様式だのというセリフが流行ったけど、「シベリアの力」以前には戻れない、という方がよほどパワーがあると思う。
■ 関連記事
正教クリスマスとトルコストリーム開通
で、去年の終わりから今年にかけては、中国との「シベリアの力」、ドイツとの「ノードストリーム2」、トルコとの「トルコストリーム」の3本が開通する予定だった。
このうち、中国とトルコのは予定通り開通。ドイツのノードストリーム2は、ご存じの通りつい3週間ぐらい前に、アメリカの制裁によって最終コーナーに入ってる工事が中断させられている。