De cela

あれからいろいろ、昔のアルバムから新しい発見まで

彼岸の世界

2013-03-02 11:03:39 | 科学・空想・仮説
脳外科手術で意識を取り戻せなくなった一人の女性の見舞いに行った。町内のひとりもの女性である。

深刻な病を抱えており、遠くの姉妹が支えていた。

サイバーナイフという最先端の、頭を開かない手術の筈だったが症状が重く途中で開かねばならなくなり、このような事態になった・・と聞いている。

そういう患者とどういうコミュニケーションがとれるのかは分からない。患者の妹さんから妻に是非見舞いに行ってやって・・という話があり、親族ではないけれど町田の脳外科専門医院を訪問した。

脳の損傷の程度はわからない。しかし、意識回復は難しいという印象を親族は伝えられているらしい。彼女は今、我々とは隔絶した向こうの世界に棲んでいる。向こうの世界をどのように泳いでいるのだろうか。このことは私の生死観から関心がある。

しかし、こちら側と何らかのパイプが残されていて、その隙間からこちらの世界を覗いているのかもしれない。そこに意思疎通のチャンスを求めているのかもしれない。

手術から3日間、訪問した日の朝、わずかに目を開いて意識の回復があるのかもしれないと看護師にいわれ、妻がしきりに声をかけた。生命維持装置が取り付けられ、表情の全く変わらない顔から薄眼が開き、そこに明らかな意思の交換があったように見えた。

こちらの世界を意識していることはかえってつらくて悲しいことかもしれない。それを呼び戻すような行為はこちら側の世界に棲むものの勝手な行為なのだろうか。悩むところはあるが彼女は必死にコミュニケーションのパイプを求めている。その強い意志があるかぎりもう一度こちらの世界で姉妹や近しいものとの意思疎通ができるようになることを祈る。