かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

馬場あき子の外国詠 391(中欧)

2020-04-09 20:03:09 | 短歌の鑑賞
 馬場あき子の外国詠54(2012年7月実施)
   【中欧を行く 虹】『世紀』(2001年刊)P109~
   参加者:K・I、N・I、崎尾廣子、曽我亮子、藤本満須子、T・H、渡部慧子、鹿取未放
   レポーター:藤本満須子 司会と記録:鹿取 未放


391 ウィーンの秋オペラ座に「エレクトラ」観んとして正装す日本の帯を締めたり

         (レポート)
 秋のウィーン、古都ウィーンの秋ときただけで十分に旅愁を誘われる。音楽の都ウィーンのオペラ座に正装(もちろん着物のこと)して「エレクトラ」を観た。ウィーンに限らず海外の音楽祭はよく放映されるようになったが、日本人が着物で席に着いている様子も見かけるようになった。結句の「日本の帯を締めたり」に作者の意気込みが感じられる。演目がギリシャ神話に材を採った「エレクトラ」であることも、作者の昂揚した気分を十分に表現している。(藤本)
  エレクトラ:ホフマンスタールの戯曲、リヒャルトシュトラウス作曲の楽劇。ギリシャ神話中
        の女性エレクトラが父の仇を討つというストーリーだ。エレクトラの母であるク
        リュタイムネストラがその情人アイギストを使って父アガメムノンを殺す。弟オ
        レストスが母とアイギストを殺し父の仇を討つ。すでにギリシャの三詩人により
        劇化、二時間一幕。


        (当日意見)
★別のところでこの折の事を先生が話された。一級のものを鑑賞する時にはこちらも正装しなけ
  ればならないと。(藤本)
★正装だから紋付きの訪問着に重厚な袋帯を締められたのでしょうね。「エレクトラ」を観ること
 がこの旅の目的の一つだったようだから、心意気が伺える。(鹿取)
★ロビーに正装して一団が集結した(藤本談)というところに、先生の勝ち気なところが表れて
 いる。「白露や死んでいく日も帯締めて」という三橋鷹女の句を思い出した。(慧子)
★「正装す」と切れているのはなぜか?(T・H)
★四句めが句割れになって、その前半で切れている複雑な形。このような切れは力強い切れで、こ
 の後に新たに言い起こし、歌全体がうねるような形になる。力強い歌なので、迫力で読ませて。 
 まうが、実はものすごい字余りの歌だ。切れ目も難しい。斜線「/」で切れを示すと6・10・ 5・9・7音
 二句め十音の部分に句割れが、四句め九音は三句めからの句跨りがあって、さら に句割れになっ
 ている。(鹿取)
   ウィーンの秋/オペラ座に「エレクトラ」/観んとして/正装す日本の/帯を締めたり




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