かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

馬場あき子の外国詠 126(ネパール)

2019-12-14 19:58:20 | 短歌の鑑賞
  馬場あき子の外国詠15(2009年1月実施)
    【ニルギリ】『ゆふがほの家』(2006年刊)81頁~  
     参加者:K・I、N・I、T・K、T・S、N・T、
         藤本満須子、T・H、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:渡部慧子 司会とまとめ:鹿取 未放
                    

ネパールのアッパームスタンに「こしひかり」を実らせた
  近藤亨翁をたずねてジョムソンに行った。
(この詞書のような2行は、「ニルギリ」の章全般に掛かる。鹿取注)

126 ニルギリは処女(をとめ)なり蒼き爽昧(ひきあけ)の光に染みてひたをとめなり

           (レポート)
 ことのほか美しいと思われる夜明けの「蒼き爽昧の光」にのぞんでいて、ニルギリが青みを帯びている様子を「蒼き爽昧の光に染みて」と言葉を置いている。「ひたをとめなり」と思いをこめて1首に2度までの措辞である。(慧子)


      (まとめ)
 「ニルギリは処女なり」というのは、人間に汚されていない崇高な処女峰だからだろう。また、2つの峰を持つ稜線は柔らかくて女性的である。その山に向かって化粧をしていた〈われ〉は、朝の光に照らされてあけぼの色に染まっていく山の姿に見とれているのだ。あまりの気高さに言葉を失い「ひたをとめなり」と繰り返す。その畳みかけに作者の感嘆の声がある。「爽昧」を「ひきあけ」という和語に読ませているのも処女のやわらかさを出して効果がある。(鹿取)



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