かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

改訂版 渡辺松男『泡宇宙の蛙』の一首鑑賞 5

2022-04-06 11:45:35 | 短歌の鑑賞
 ※本日から改訂版を先にアップします。
  既にアップした『泡宇宙の蛙』2の1~2の5までの鑑賞を大幅に変更した歌について、
  改訂版を1首ずつ載せてゆきます。
 この後、通常の鑑賞を載せます。 

  改訂版 渡辺松男研究2の1(2017年6月実施)『泡宇宙の蛙』(1999年)
    【無限振動体】P9~
     参加者:泉真帆、T・S、曽我亮子、A・Y、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:渡部慧子 司会と記録:鹿取未放

4  概念を重たく被り耐えているコンイロイッポンシメジがんばれ

        (まとめ)
 コンイロイッポンシメジはアカマツなどの茂った針葉樹林などの地上に発生するそうだ。画像を見ると紺の色がやや無気味な小さい茸だ。千本茸のように群れていないので人間に勝手に「コンイロイッポンシメジ」などという名前を付けられ、そういう概念を被せられている。そんな茸に向かって作者は頑張れと声援している。(鹿取)


      (後日意見)
 「地に立てる吹き出物なりにんげんはヒメベニテングタケのむくむく」について、渡辺松男は「人間のたとえに使ってしまい、ヒメベニテングタケには申しわけないことをしたと思っています」と「かりん」2010年11月号の渡辺松男特集号で発言しているくらいだから、人間は自然界の他のものに対して、むしろ加害者だという意識が強いのだろう。少し先の頁に出てくる次の歌なども同じ感受の仕方だと思う。(鹿取)
 ごうまんなにんげんどもは小さくなれ谷川岳をゆくごはんつぶ『泡宇宙の蛙』


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