かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

馬場あき子の外国詠 199 中国⑤

2023-02-27 11:46:25 | 短歌の鑑賞
2023年度版 馬場あき子の旅の歌26(2010年3月実施)
    【飛天の道】『飛天の道』(2000年刊)164頁~
     参加者:N・I、Y・I、T・S、藤本満須子、T・H、
         渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:T・H 司会とまとめ:鹿取 未放


199 おお天山その新雪のかがやける静かなる身もて機窓に迫れ

       (レポート)
 今、飛行機の窓外に天山山脈が見えてきた。その山頂は新雪に輝いている。シルクロードは天山南路・天山北路と、その山脈の裾野の南北を東西に走っている。山々の中には7千メートルをこすものもある。当然、雪を被っている。「静かなる身もて機窓に迫れ」「迫ってくる」ではなく、「機窓に迫れ」と呼びかけておられる先生のお気持ちは、どんなものなのか?(T・H)


      (まとめ)
 全体に昂揚した詠いぶりである。新雪を被った天山の偉容に圧倒されている作者が見えるようだ。「迫れ」は命令形ではなく、「こそ」という係助詞の省略された已然形で強調を示しているのだろう。「新雪かがやく天山が機窓に迫ってきたことよ」という意味で、山自体がこちらに向かって迫ってくる迫力を感じる。
 ネパールでは「夢と思ひしヒマラヤの雄々しきマチャプチャレまなかひに来てわれを閲せり」と詠われているが、この天山の歌よりおよそ5年後のことである。
 掲出歌についても『飛天の道』あとがきから作者のことばを少し引用する。(鹿取)
  旅では白雪を被いた天山の並はずれた大きな美しさに日々感嘆の声を発していた……
(馬場あき子)


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