かまくらdeたんか 鹿取未放

馬場あき子の外国詠、渡辺松男のそれぞれの一首鑑賞。「かりん」鎌倉支部の記録です。毎日、更新しています。

渡辺松男の一首鑑賞  163エア田辺松男

2021-02-16 17:45:15 | 短歌の鑑賞
  ブログ版 渡辺松男研究 21 2014年10月 
【音符】『寒気氾濫』(1997年)70頁~
参加者:石井彩子、泉真帆、鈴木良明、曽我亮子、N・F、渡部慧子、鹿取未放
     レポーター:鈴木 良明 司会と記録:鹿取 未放


163 手と足と首がてんでんばらばらにうごきはじめて薄明に覚む

          (レポート)
 薄明に目覚めたとき、身体の各所がばらばらに自覚され、それが徐々に統べられて意識としての目覚めに繋がってゆく様子が詠われている。普段われわれは、①意識の目覚めが先ずあって、②起きようと思い、③身体を起こす、と一般的に思っている。しかし、この歌では、これとは逆に五感など身体感覚から目覚めてやがて徐々に統合した目覚めの意識になってゆく。このような逆転した心身の経過に目を注いでいるところが、面白い。
  ※早起きの習慣が身についてくると、定刻になると心身の葛藤がなく目覚められたり、反射神経の
   ように意識を経由せずに無意識に身体が先行し、後から意識・意志がそれを追認するケースも、
   これと同じようなことであろう。(167番歌「寒林のなかに日当たるところあり抜けや
   すきわが魂はよろこぶ」の「魂」を思わせる。(鈴木)
コメント
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