配信 朝日デジタル
複数の後発薬メーカーが法令違反で出荷停止になったことが主な原因だ。他メーカーが供給を出し惜しみする「出荷調整」も起き、
薬局などで必要な医薬品の入手が難しくなっている。同省は10日、業界団体に通知を出して対策に乗り出したが、品薄は長期化しそうだ。
現在、国内で公的医療保険の対象となる医薬品は約1万4千品目で、
全体の2割超の薬で供給に影響が出ていることになる。 きっかけは後発薬メーカーの小林化工(福井県あわら市)が、
水虫などの皮膚病用の飲み薬に睡眠導入剤を混入させた問題だ。
健康被害が相次ぎ、今年2月に116日の業務停止処分を受けた。
その後、後発薬大手の日医工(富山市)が3月、長生堂製薬(徳島市)が10月に業務停止処分を受けるなど不祥事が続いた。
厚労省によると、3社の計641品目が出荷停止か供給遅延となり供給不足が発生。同じ成分の後発薬をつくる他社に注文が殺到したことで、
得意先や顧客への供給不足を恐れ、十分な在庫があるのに注文を断る「出荷調整」を引き起こし、品薄状態がさらに拡大したという。
後発薬が選べる際の使用割合は、昨年9月時点で78・3%にのぼる。政府は医療費を抑えるため、2023年度末に全国で8割以上にする目標を掲げており、ほぼ達しつつある。
品薄状態を重くみた厚労省は10月、出荷停止の影響を調査。昨年9月と比べ、今年9月の供給量は、出荷停止の品目やその代替品と同じ成分・規格の約4800品目のうち
14%で減っていたことが分かった。 これを受け同省は今月10日、前年比で20%以上減少した高血圧や気管支ぜんそくなどの薬の一部について、
医薬品業界団体の「日本製薬団体連合会」宛てに増産を呼びかける通知を出した。 同時に、供給量が5%以上増えているのに品薄となった薬に関し、
「出荷調整」が横行しているとみて年末をめどにやめるよう要請した。日本医師会ら医療機関の関係団体などにも「必要最低限の発注としていただきたい」と依頼する通知を出した。
厚労省によると、増産には限界があり、停止品目の出荷再開が不可欠だが、全品目の再開には約2年かかる見通しという。