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この平穏退屈な日々にもそれなりに感動って在るもの。

「死の棘」って、くそやん、

2021-07-07 10:46:00 | 私の読書日記
梯久美子さんの「狂うひと」を読んでからの「死の棘」だったから、やっぱり順番逆のが良かったのかとも思って、(だってやっぱり斜めに見ちゃう)更に間に、島尾敏雄の息子で写真家の伸三が書いたエッセイ「小岩へ」を読んでからの「死の棘」、島尾伸三「小高へ」からの「死の棘日記」、ついでに狂う人である島尾ミホの「海辺の生と死」も読んだ。一体どこまで好きやねん、と自分でも呆れるけど、もうNO MORE 島尾敏雄だと私は思っている。

とにかく、イライラしてしょうがなかった。←なら、やめろよ・・

「狂うひと」は面白かったのに、いざ、その原点となった「死の棘」を読んでみると、まあ、イライラしてストレス溜まって、挙げ句の果てに最後まで全くすっきりしないという、代わりに、これでやっと解放された感だけはありーの、もう、読んでる最中ずっと思ってたのは、最近の息子の口癖でもある「クソやん」ということ。
ミホと敏雄もクソやん、とずっとずっと思ってた。何これ???
こんな恥ずかしい本よく世に出したもんだ・・・・・(それも世界にも翻訳されちゃって、一体どうして???)
そもそも本当に島尾敏雄って作家なの????
面白くもない同じことをただただひたすらに書きつけて、こんなの作家の仕事と違うでしょ?と私は思う。

そしてミホは本当に病んでいたの??ただただ生まれ持っての性格の問題かとも思うんだけど、だって第三者がいる前ではきゅうに正常に戻れるんでしょ、それに手紙の捏造までして、絶対に”あいつ”が書いた手紙なんかじゃないと思う。全て妻のペテンだよ、
だって、あんな口調になるわけないやん、ミホ以外。

ミホもしょうもないんだけど、輪をかけて敏雄が酷い。
2人だけで、永遠やっててくれたらまだ救いはあるかと思うんだけど、2人の間には幼い就学前の子供が2人いて、曲がりなりにも親であることをすっかり忘れ惚けて、とっ散らかった毎日を繰り返すのだ。無限のループ。
こんな2人の親のもとで、よく子供が無事(とは言えなかったこともあるけど)大きくなったなと思う。
幼稚園児と2歳児なのに、狂った妻を追いかけるため、電車に置き去りにされたり、毎日あれだけ放置してるにも関わらず、悪いことをしたら、裸で真冬に子供を木に縛りつけたり、奇跡的に犯罪者にならないで済んだけど、やってることは、完全ネグレクト。

そして、この夫婦、数え切れないほどお互い死ぬって言い合っておいて、絶対死なない2人。何度も死んじゃえと思ってしまった・・もしくは、もうお互い一緒に暮らさなきゃよかったのに。結局、敏雄とミホは死ぬまで一緒に暮らすんだけど、それは愛とかじゃなくて、心理学的にいうとなんとか症候群とかに当たるんじゃないだろうか?異常な関係も、長年やってるうちにそれが普通のことのように感じられる感じ??
とにかく、こんなの愛じゃない。


死の棘の当時、伸三は、やっと一年生に上がるところで、小岩の小学校に入学して3日登校したと思ったら、家庭の事情(夫婦は、壮絶な夫婦喧嘩を「家庭の事情」という言葉で子供に擦り込んでいた)で今度は、千葉へ、そこもほんの少し通って、池袋へ転校。息子の伸三曰く、母ミホは

「どうでも良さそうなこまごまとした不愉快を見つけては、しょっちゅう気持ちを曇らせ、周りを不愉快にさせていたけれど、どのようになれば満足できたのでしょうか。行動力があって、どんなことも自分でやってしまうことができた彼女でした。でも、不必要と思える些細な不愉快に気を取られることを死ぬまで繰り返していたのです。」『小岩』へより

と書いている。

どんな性格だったかが端的によく現れているなと思うのが、子供が電車で落とした緑色のベレー帽を駅に通い詰めて拾った人から取り返したエピソード。(これも『小岩へ』から)

不満は到底書ききれるものではないけど、島尾は、当時まだ駆け出しの作家で、(友人には、吉行淳之介や庄野潤三、吉本隆明(ばななの父)など何の縁か、とても恵まれている)夜間高校の教師をしているんだけど、まあ、今の常識からすると信じられないくらい、いい加減に仕事をしていて、一体全体どうなんだろ。。。とただただ驚く。
その夜間の仕事に行くのも不安なミホは(浮気するんじゃなかろうかと)、子供たち引き連れて夫と共に、職場へ送りに行く日々。
そして、無駄に家にいるもんだから、壮絶な夫婦喧嘩を延々繰り返せる日々。
サラリーマンにでもなって、日中は外に働きに行きましょうよ、と思った。

他の本を読んでないからわからないけど、特攻隊だった時期もあるから(それでミホと出会った、夜這いをする特攻隊長)ただただ自分の体験をずらずらと書いて作家となった人なのかな??文章を書くのだけが好きだったんでしょうね〜。

お話的には、ミホの「海辺の生と死」の方が面白かった。才能あり、かと思う。
たとえ、人間失格でも。

最後に、私はやっぱり娘のマヤが気の毒でならない。
ロシア人が島尾ミホを撮った映画?「ドルチェ 」に登場するマヤは当時もう50代のはずなのに、まるで少女。そこではホラー映画よりもホラーな親娘関係が繰り広げられている。ミホはあの頃を取り返そうとしているのか?あの頃おしゃまだった娘は、小学校3年生の頃には言葉を失ってしまった。一番の被害者は、幼かったあの可愛い可愛いマヤなのだ。



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