建交労長崎県本部

全日本建設交運一般労働組合(略称:建交労)長崎県本部のブログです。
労働相談は、095-801-8800まで。

ダンプ労働者の労働条件改善へ、九州地方整備局要請

2017年07月25日 10時15分04秒 | 活動報告

建交労九州ダンプ協議会は、7月21日、社会資本整備の現場で働くダンプや建設労働者の労働条件改善のため、国土交通省九州地方整備局に対して、要請行動に取り組みました。

東日本大震災、熊本地震の復旧・復興をはじめ、社会資本整備のため奮闘されていることに敬意を表します。貴省は建設産業の担い手及び人材確保に向けて5年連続で公共工事設計労務単価を政策的に引き上げ、労働者の待遇改善をすすめてきました。さらに昨年秋の臨時国会においては「建設工事従事者の安全・健康確保推進法」が成立し、同法第10条「一 建設工事の請負契約における経費の適切かつ明確な積算等」を国や都道府県などの発注者に対して必要な施策を講じることが記されています。

しかし、実際にダンプおよび建設労働者には引き上げ分相当の単価が支払われておらず、建設業の担い手であるダンプや建設労働者の賃金・単価の改善に向けた責務を貴省が十分に果たしているとは言えません。また、建設資材の買い叩きが原因となり、各地の生コンプラントでは過積載ダンプによる砕石・砂・骨材の納入が一般化しています。法令違反をなくし、交通安全を徹底するためには、単価たたき等をおこなう荷主・荷受人(元請建設会社、生コンプラント等)の背後責任が徹底して追及されなければ十分な成果を上げることは出来ません。

要請内容は下記の通りです。


 

1.車持ちダンプ労働者に著しい低単価が押し付けられ、過積載、過労運転、速度超過など違法行為の要因となっています。交通安全を担保し、まともな生活が出来る単価実現のため、下記の具体的な改善策を講じて下さい。

① 公共工事における大型ダンプの工事原価(8時間稼動)は、6万円「直接工事費+間接工事費(福利厚生費含む)+一般管理費(利潤相当額を含まない)」です。しかし、車持ちダンプ労働者には3万円程度しか支払われていません。少なくとも当面は、直工費と福利厚生費(社会保険料相当分)を含めた単価が支払われるよう、請負者と建設業界団体を指導して下さい。

② 不要な重層構造の下で熊本地震の復旧・復興工事に携わる零細下請業者や労働者に対して、契約金や労賃の不払いが多発しております。建設業法第41条に基づく「立替払い」を拒否する建設業者に対し、指導を強化して下さい。

③ 各地で砕石・砂など資材の買いたたきが横行し、ダンプの過積載が復活しています。1994年参院建設委員会では、貴省(旧建設省)の担当者が「過積載行為を防止するために、定量積載を踏まえた実例価格などで発注するなど必要な措置」について検討を約束しています。

資材の納入価格について物価調査会が調査を実施する際に、「ダンプの荷姿を視認」及び伝票確認をするよう指導改善をしてください。

 

2.設計図書のひとつである「現場説明指導事項」(ダンプ・トラック等による過積載防止について)を遵守するよう、国交省の関係職員はもとより、請負者や建設業界に徹底して下さい。

 「ダンプ規制法第12条団体等」に該当する建交労全国ダンプ部会加入者を使用促進するよう請負者ならびに建設業界への指導を徹底して下さい。特に国交省直轄工事の請負者に対する指導を強めて下さい。

 

3. ダンプの過積載根絶と交通安全の推進について

① 過積載が各地で復活しています。過積載根絶の有効な手段として、重量リミッター(過積載防止装置)の開発・装着義務付けに取り組んで下さい。

② 道路法にもとづく大型車両の違法運行(過積載)の取り締まり・指導強化及び罰則については、荷主・荷受人にあたる企業もその対象に加えて下さい。

③ ダンプ規制法第4条(表示番号の表示)違反や荷台を違法改造して運行するダンプへの取り締まりを強化し、違反車両による直轄工事現場への入場を禁止して下さい。

 

4.平成29年度より本格化した「社会保険未加入対策」の推進とあいまって、適用対象外のダンプ・建設など1人親方として働く就業者に社保加入等を迫り、現場から排除する下請業者が出てきています。「社会保険の加入に関する下請指導ガイドライン」における「適切な保険」について」の内容を全ての受注者・業界団体等に周知徹底し、不当な排除をなくしてください。

 

5.直轄工事現場において、1人親方の形態で就労する労働者に「労災保険の特別加入」と「建退共証紙の貼付」を徹底する為、具体的な措置を講じて下さい。

① 土木工事共通仕様書(*下記参照)にもとづき、車持ちダンプ労働者など1人親方の形態で働く人に「1人親方労災保険」の加入促進を図るよう請負者への具体的な指導をおこない、建設工事現場における労災保険未加入者をなくして下さい。

② 「新規入場者アンケート」の中で「建退共加入証明書及び手帳の写し」を提出させ、「建退共証紙の貼付」が二次以降の下請業者まで徹底されるよう指導して下さい。

 

*「国土交通省土木工事共通仕様書」

1-1-40 保険の付保及び事故の補償

3.請負者は、雇用保険法、労働者災害補償保険法、健康保険法及び中小企業退職金共済法の規定により、雇用者等の雇用形態に応じ、雇用者等を被保険者とするこれらの保険に加入しなければならない。

 

以上


全産業水準の賃金・労働条件をめざし集団的労使関係(集団交渉)の実現で解決できる内容~建交労のトラック政策㉑

2017年07月24日 07時24分53秒 | トラック政策

(1)建交労最賃、職種別最賃、年齢別最賃などの協定

賃金体系を整える上では最低賃金の協定が有効です。建交労最賃はトラック運輸産業の賃金水準の底上げに、職種別賃金は一定の総額の保障に、年齢別最賃は賃金体系を整え、将来安心できる水準に役立ちます。集団交渉の確立がより現実的ですが、職場内での交渉も強めます。

 

(2)退職金制度の確立と全産業水準の退職金をめざす

建交労退職金基準をベースに、勤続30年1,500万円以上の退職金をめざします。退職金の支払を担保するために、中小企業退職金共済制度へ加入します。


全産業水準の賃金・労働条件をめざす建交労トラック部会の基本的要求(政府に対して)~建交労のトラック政策⑳

2017年07月22日 09時23分31秒 | トラック政策

(1)厚生労働省への要求

①「改善基準告示」の抜本的見直しによる拘束時間・運転時間の短縮、および「労働時間」の明確化と時間規制(1日8時間労働・週40時間労働を基準に、1ヶ月の時間外労働40時間以内を原則)。

②1日の拘束時間は11時間まで、最大でも13時間までとし、この場合1週2回まで。1ヶ月の拘束時間は252時間まで。

③休息期間は継続13時間以上を原則とし、最低でも11時間以上(1週2回以内)。

④休息期間の場所は運転者の住所地、もしくは駐車施設のある宿泊施設とし、「車両ベッド」での「休息」は認めない。

また、運転者の住所地での休息期間がそれ以外の場所での休息期間より長くすること。

⑤1週1休以上を原則。

⑥「改善基準告示」を法制化し、労働基準法に明文化。

⑦ILO第171号条約を批准し、ILO基準に基づく「夜業に関する規制」の実施。

 

(2)国土交通省への要求

①「1運行144時間」を撤廃し、「改善基準告示」を厳正に遵守する運行義務づけ。

②トラック運転者の労働時間・運転時間管理と安全運行のために、「運行記録計」(タコグラフ)の装着を営業車両全車種に義務化。


全産業水準の賃金・労働条件をめざす建交労トラック部会の基本的要求(企業に対して)~建交労のトラック政策⑲

2017年07月21日 09時19分57秒 | トラック政策

(1)建交労最低賃金・最低保障賃金

①18歳以上の労働者の最低賃金(家族手当、通勤費を除く所定内賃金。パート労働者にたいしても適用)

 月額175,500円以上。

②年齢別最低保障賃金

i.30歳労働者(家族手当、通勤費を除く所定内賃金。勤続5年以上)

 月額235,000円以上。

i.45歳労働者(家族手当、通勤費を除く所定内賃金。勤続10年以上)

 月額365,000円以上。

③職種別最低保障賃金

 40~45歳運転手(勤続10~15年、扶養3人の家族手当を含む所定内賃金)

 月額380,000円以上。

 

(2)退職金制度の確立と増額

①勤続30年での定年の場合、1,500万円以上を基準。

②中小企業退職金共済(中退共)などでの保全

 

(3)労働時間短縮

①1日7時間30分・週35時間制、完全週休2日制の実施。年間総労働時間は1,800時間を視野に、当面、2,100時間の実現。

②変形労働時間制をとっているところでは、本人合意を前提に、1日8時間制を基本に、労働時間を平均して1週間あたりの所定労働時間を35時間以下。対象期間の最長の所定労働時間は1週40時間、1日8時間以内。「1か月単位の変形労働時間制」を採用している場合は、変形期間の開始までにあらかじめ1か月分の「各日ごとの始終業時刻」を具体的に特定し、特定後の変更はおこなわないこと。ただし、やむをえず特定後の変更の必要性が生じた場合は、別途労使で協議するとともに、本人の同意を得ること。

③午後6時~翌朝7時までを「夜間時間帯」として、所定内労働時間であっても、この時間帯にかかる労働時間は25%以上の割増賃金。さらに午後10時~翌朝5時までの「深夜時間帯」ではさらに25%以上の割増(合計50%以上)の割増賃金。

④所定外労働の割増率(超過勤務手当)は50%以上、休日労働の割増率は50%以上とし夜間時間帯割増、深夜時間帯割増と合算。つまり、休日の深夜残業の場合は、割増率が150%となり、本給とあわせて250%の賃金。

⑤深夜労働は、妊婦、出産後1年以内のもの、義務教育未了の子・要介護者をもつ男女を適用除外とし、満18歳未満の労働者の深夜勤務は禁止。また、家族的要件・社会的要件により深夜勤務ができないと申請するものを認め、不利益扱いをいっさいしないこと。

⑥夜勤労働者の労働時間を1日7時間(実働)以下、週35時間以下とし、勤務間隔は16時間以上。また、回数は4週間をつうじ6回以内。


【全労連事務局次長談話】高度プロフェッショナル制度創設・裁量労働制拡大は断念せよ

2017年07月20日 08時36分04秒 | 見解・主張

2017年7月18日 
全国労働組合総連合
事務局次長 橋口紀塩

 安倍政権、連合、経団連の「政労使」合意によって、労働基準法・労働時間法制の規制緩和策である高度プロフェッショナル制度創設と企画業務型裁量労働制の適用対象の拡大が進められつつあるとの報道がある。過労死の根絶、長時間労働の是正は国政の課題とすべきであり、労働時間規制の強化こそ必要である。全労連は、労働時間法制の規制緩和を断念し、1日8時間労働の原則に立ち返るよう強く主張する。

 高度プロフェッショナル制度は、労働時間の規制を適用除外するものであり、労働契約において本来使用者が守るべき重要事項を欠落させ、労働者に対する使用者の責任を緩和する重大な問題を含んでいる。法案は一定の年収が保障された専門職に限るとしているが、専門性の定義は曖昧でグレーゾーンが広く、年収要件については政府や経済団体筋から「小さく生んで大きく育てる」等の言葉もでており、いずれ平均年収水準まで下げることすら目論まれている。
 業務や人事に関する裁量のない労働者に対し、労働時間規制をはずせば、際限のない長時間労働に陥ることは必至である。成果型制度と形容する報道もあるが、成果に見合った報酬を保障する規定など検討されていない。年間104日の休日確保を義務化する原案修正が検討されるとの報道もあるが、週休2日確保程度の措置では、働かせ放題の就労による健康被害を防ぐことはできず、本質的な問題を修正するものではない。

 一方、裁量労働制は、実際の労働が何時間であろうと、一定の労働時間を働いたと「みなす」制度である。現在の適用対象者をみれば、残業代相当の手当もなく、みなし労働時間を大幅に上回る長時間労働を強いられるケースが多数であることがわかっている。今回、企画業務型裁量労働制の適用対象を「課題解決型提案営業」と「裁量的にPDCAを回す業務」へと広げようとしているが、いずれも概念規定が曖昧で使用者の判断によって適用対象を大きく増やすことが可能であり、高度プロフェッショナル制度以上に広範な労働者に働かせ放題の状態を強いるものとなることも懸念される。

 高度プロフェッショナル制度、裁量労働制、いずれも使用者に課されるべき雇用責任、労働時間管理責任を軽減し、「残業代ゼロで働かせ放題・過労死しても自己責任」となる働かせ方をもたらすものであり、過労死の根絶、長時間労働の是正を願う多くの労働者とその家族の思いに真っ向から反する政策である。
 「働き過ぎによって命を失うという悲劇を二度と起こさない決意で長時間労働の是正に取り組む」とした安倍首相の決意は、なんだったのかが問われる労働時間制度の改悪は断じて認めるわけにはいかない。
 全労連は高度プロフェッショナル制度創設や裁量労働制の拡大の撤回を強く求めるとともに、月100時間もの残業を容認する「名ばかり上限規制」も撤回し、原則をふまえた労働時間規制の強化を求め、要求の一致点での共闘をすべての労働者に呼びかける。

以上